【論説】観光立国新計画 体験型の商品充実を
政府は観光立国推進基本計画案をまとめた。月内に閣議決定する。新目標として、2025年に訪日客数の過去最多を更新し、1人当たりの消費額を20万円に引き上げることを掲げた。
いずれも新型コロナウイルス禍前、19年の3188万人、1人当たり15万9千円からの上乗せを目指す。19年の訪日外国人の旅行消費額は、総額で約4兆8千億円あった。自動車、化学製品の輸出額には及ばないものの、電子部品や自動車部品などは上回る。観光は今後も伸びる要素のある数少ない産業だけに、戦略的に大きく育てたい。
最近の訪日客の動向を見ると、中国を除いた国ではコロナ禍前の7割超まで戻ってきた。今後、中国からの観光客も入ってくるだろう。このペースが続けば記録更新は可能だと分析できる。
課題は20万円をどう達成するかだ。訪日観光客の支出は宿泊や飲食、買い物が中心となっている。約4万円の上積みには、新たな消費につながる旅行商品の開発が不可欠と言える。
古道巡り、山登りやトレッキング、スキー、カヤック、田植え・稲刈り、お祭りといった、その地域でしかできない体験を楽しむプログラムを数多く用意することが重要だ。ガイドによる案内の充実も必須である。
1回の旅行で1人100万円以上を使う富裕層向けの高付加価値商品も開発したい。富士山の周りをヘリコプターで遊覧飛行するとか、著名な職人と一緒に焼き物を体験するとか、有名な寺院や城に宿泊するとか、できることはあるはずだ。
訪日客の宿泊先は三大都市圏を中心に上位11都道府県が8割超を占める。地域偏在の解消のためにも地方自治体、観光地域づくり法人(DMO)が中心となって、体験プログラムづくりに取り組み、古い建物を生かした宿泊施設の整備なども進めることが必要だ。
商品開発のノウハウを学ぶこと、訪日客に対応できるガイドを育成することも重要となる。観光庁や日本政府観光局(JNTO)には、これらの支援強化を提案する。
中国からの訪日客も含めて今後は団体旅行から、インターネットを使って自分で日程を組み立てる個人旅行に切り替わると予想される。誘客のため自治体やDMOなどの情報発信が重要となる。
JNTOのサイトが各地の体験型観光などの事例を集めてPRしている。これを充実させ、サイトを窓口に体験の予約から現地までの交通、宿泊の手配も簡単にできるように工夫できないか。インターネットや交流サイト(SNS)上で影響力を持つ「インフルエンサー」もうまく使いたい。
コロナ禍前には京都や鎌倉に訪日客が集中し、地元住民の生活に支障がある「観光公害」が問題となった。この対応も含めて計画案は「持続可能な観光」を打ち出した。環境、社会、経済に配慮した観光地を全国の100地域につくる目標を示している。
環境面では「過剰なプラスチックの消費」「商品の過剰包装」「割り箸、ビニール傘など多い使い捨て」が訪日客から指摘されている。見直しを急ぎたい。住民とのトラブル防止は当然である。
経済面では、訪日客が使ったお金が確実に地域を潤すよう地元の人材、企業をできるだけ活用したい。これが地域の持続可能性の向上にもなる。
いずれも新型コロナウイルス禍前、19年の3188万人、1人当たり15万9千円からの上乗せを目指す。19年の訪日外国人の旅行消費額は、総額で約4兆8千億円あった。自動車、化学製品の輸出額には及ばないものの、電子部品や自動車部品などは上回る。観光は今後も伸びる要素のある数少ない産業だけに、戦略的に大きく育てたい。
最近の訪日客の動向を見ると、中国を除いた国ではコロナ禍前の7割超まで戻ってきた。今後、中国からの観光客も入ってくるだろう。このペースが続けば記録更新は可能だと分析できる。
課題は20万円をどう達成するかだ。訪日観光客の支出は宿泊や飲食、買い物が中心となっている。約4万円の上積みには、新たな消費につながる旅行商品の開発が不可欠と言える。
古道巡り、山登りやトレッキング、スキー、カヤック、田植え・稲刈り、お祭りといった、その地域でしかできない体験を楽しむプログラムを数多く用意することが重要だ。ガイドによる案内の充実も必須である。
1回の旅行で1人100万円以上を使う富裕層向けの高付加価値商品も開発したい。富士山の周りをヘリコプターで遊覧飛行するとか、著名な職人と一緒に焼き物を体験するとか、有名な寺院や城に宿泊するとか、できることはあるはずだ。
訪日客の宿泊先は三大都市圏を中心に上位11都道府県が8割超を占める。地域偏在の解消のためにも地方自治体、観光地域づくり法人(DMO)が中心となって、体験プログラムづくりに取り組み、古い建物を生かした宿泊施設の整備なども進めることが必要だ。
商品開発のノウハウを学ぶこと、訪日客に対応できるガイドを育成することも重要となる。観光庁や日本政府観光局(JNTO)には、これらの支援強化を提案する。
中国からの訪日客も含めて今後は団体旅行から、インターネットを使って自分で日程を組み立てる個人旅行に切り替わると予想される。誘客のため自治体やDMOなどの情報発信が重要となる。
JNTOのサイトが各地の体験型観光などの事例を集めてPRしている。これを充実させ、サイトを窓口に体験の予約から現地までの交通、宿泊の手配も簡単にできるように工夫できないか。インターネットや交流サイト(SNS)上で影響力を持つ「インフルエンサー」もうまく使いたい。
コロナ禍前には京都や鎌倉に訪日客が集中し、地元住民の生活に支障がある「観光公害」が問題となった。この対応も含めて計画案は「持続可能な観光」を打ち出した。環境、社会、経済に配慮した観光地を全国の100地域につくる目標を示している。
環境面では「過剰なプラスチックの消費」「商品の過剰包装」「割り箸、ビニール傘など多い使い捨て」が訪日客から指摘されている。見直しを急ぎたい。住民とのトラブル防止は当然である。
経済面では、訪日客が使ったお金が確実に地域を潤すよう地元の人材、企業をできるだけ活用したい。これが地域の持続可能性の向上にもなる。