【論説】コロナ規制緩和 安全・安心が最優先だ

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政府は新型コロナウイルス対応を巡り、屋外で会話が少なければマスクを不要とし、主要国で最も厳しいとされる水際対策も6月から緩和する。

だがオミクロン株による流行「第6波」はなお沈静化していない。コロナ対策は当然、国民の安全、安心が最優先だ。岸田文雄首相は、各種規制を緩和しても安全が確保できると判断した根拠を明確に説明するべきだ。

これまで政府は、マスクを主要な感染防止策とし、屋内にいる時や会話をする際には着用を徹底するよう呼びかけてきた。ただ、どのような場面では不要なのか判断基準を示していなかった。今回、専門家の見解を踏まえ、屋外で「周囲との距離を十分に取れる。十分に確保できなくても会話が少ない」といった場合に不要とした。

今年2月から一時的に推奨されていた2歳以上の未就学児のマスク着用についても、熱中症のリスクや、表情が見えなくなることが子どもの心の成長に影響する懸念を考慮し「一律には着用を求めない」と元に戻した。

ただ専門家は「全国的に見れば昨夏より感染者数が多い。基本的な感染対策がまだ必要」としており、屋外でも人混みに入ったり会話したりする状況になれば着用が求められる。これは、着用義務の解除、撤廃が進む欧米、韓国などとは違い、「マスク着用が基本」という従来の政府の考え方がむしろ維持されたと見る方が適当ではないか。

さらには「距離は十分か。会話が多いか」などマスク着用が必要か否かは個人の感覚に委ねられ、かえって判断が難しくなる。他人とのトラブルにもなりかねない。

法律で強制されなくても周囲に合わせる「同調圧力」が強い日本社会である。政府は、場面、状況ごとにマスク有無の感染確率への影響を科学的データで示すなど、より丁寧に説明してほしい。

また、オミクロン株が急拡大した昨年11月、政府は全世界を対象に外国人の新規入国を禁止。その後、1日当たりの入国者数の上限を3500人から4月までに段階的に1万人へ引き上げてきた。それでも、海外では一足早く入国規制を撤廃、緩和していることから、経済界からは「鎖国政策」と不満が出ていた。

これを受け政府は入国者数上限を6月から2万人に引き上げると決めた。従来は入国者全員を対象としてきた感染有無の検査を、感染状況が改善した国・地域については免除し、観光目的の外国人の受け入れ再開へ向け小規模ツアーの実証事業も始めることとした。

第6波は重症者数こそ全国で100人程度まで減少したが、それでも1日当たりの感染者数は4万人前後と高止まりしている。経済再生は焦眉の課題だが、欧米に置いて行かれないよう急いだのが「開国」の実情ならば本末転倒だ。

厳しい水際対策をトップダウンで決め、発表したのは首相自身だ。ならば今回、規制緩和へかじを切った理由をなぜ記者会見を開いて自ら語らないのか。なし崩し的に重心が感染対策から経済活動に移っていく現状に募る国民の不安を解消するよう、努めるべきだ。

一方、政府は約2年半のコロナ対策を1カ月間で検証し結論を公表する。夏の参院選に向け成果のみアピールし、議論を呼ぶ難題では矢面に立つのを避ける姿はトップリーダーにふさわしくない。

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