【いばらき春秋】

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いたずら好きで時に悪さもするが、どこか憎めない。そんなカッパの伝説が県内各地に残るが、利根町には「禰々子(ねねこ)」と呼ばれる異色のカッパの言い伝えがある
▼安藤操・清野文男著『河童の系譜』(五月書房)によると、禰々子は全国的にも珍しい女のカッパ。しかも大勢の子分を従えた女親分。江戸後期の地誌学者・赤松宗旦(そうたん)の『利根川図志』にも記される
▼禰々子は利根川全域をすみかとしつつも居場所を毎年変え、先々で川の堤を壊したり子どもを川に引きずり込んでいた
▼そんな無法者も江戸時代の川奉行・加納家の若旦那に捕まりついに御用となる。その後は心を入れ替え現在の利根町にあった加納家屋敷で懸命に奉公したという
▼カッパというと牧歌的でユーモラスな姿を連想するが、これは牛久沼を愛した仙境の画人・小川芋銭の影響。実際はやや乱暴な禰々子など多様だったらしい
▼無数の小旗が揺れる観覧席に大歓声の熱気。そんな従来のイメージとは程遠い東京五輪だが、観客がいないと盛り上がるはずがないというのは勝手な思い込みだった。五輪は今後も多様な開催があっていいのかもしれない。「多様性はカッパの世界だけじゃねえよ」。禰々子親分のたんかが聞こえてきそうだ。(敏)

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