【いばらき春秋】

【AD】


「男なんだから、いっぱい働いてね」。久しぶりにこんなフレーズを聞いた。夫婦間で老後の生活に話が及んだ際、定年後を見据えて放った妻の冗談だった

▼「男だから」「女だから」という固定観念から来る男女の役割分担意識は、昭和育ちのわが身に痛い。親に「男は仕事」と言われて育ったせいか、「大黒柱」の父親像が頭から離れない

▼県が昨年行った県民意識実態調査によると、性別役割分担意識に同感しないと答えた人は7割以上を占めた。ただ男女の割合には差があり、女性48.7%だったのに対し男性は42.8%

▼1985年の男女雇用機会均等法成立からきょうで40年。県の調査によれば、職場での地位は女性より男性の方が賃金・昇進・昇格で優遇されていると感じている人が6割以上に上った

▼昔に比べれば女性の管理職は増えたと実感するが、実際に管理職を望む人は少ないようだ。調査結果は、女性管理職の増加に向け必要な制度や支援として、長時間労働の削減や休暇の取得促進が求められていると示す

▼そう指摘されると、今後は管理職の働き方こそ男女格差に影響すると言えそうだ。「働くのは働くけれど、男だとしても、そんなには働けないよ」。妻の冗談には本気で返した。(島)



最近の記事

茨城の求人情報