【いばらき春秋】
古河市出身の俳優・渡辺徹さんはドラマ「太陽にほえろ!」でデビュー後、出演したチョコレートのCMで歌った曲「約束」が大ヒット。テレビの歌番組「ザ・ベストテン」に出演することになった
▼本番の生中継。司会の黒柳徹子さんが「さあ歌っていただきましょ。『約束』です」。が、前奏が始まると緊張で頭は真っ白。歌詞が吹き飛んだ
▼出だしの〈小さな夢を唇に〉を、何と「小さな胸に唇を」と言ってしまった。その後も〈歌って君は僕と出会った〉が出てこず、「君を抱きしめ燃えていくのさ」
▼若いころ下半身麻酔をして盲腸の手術を受けた。執刀医が開腹して「すごい炎症!」と驚くと、すかさず「三遊亭圓生(えんしょう)!」とギャグで返すも、麻酔でろれつが回らない。医師から「何、苦しいの?」と口に酸素マスクを押しつけられた(渡辺徹著『すべては出会い』より)
▼人を喜ばせる話に事欠かない。人懐こい笑顔でいつも周りを明るくした。そんな天性のエンターテイナーが61歳で急逝されてからあさって28日で3年になる
▼今年9月には生前、同級生の針谷力古河市長らとともに構想していた映画「SENSEKI」が完成。あの笑顔で故郷へエールを送る姿が浮かんでくる。(敏)












