【いばらき春秋】
「全国こども陶芸展inかさま」が開幕した。小・中学生を対象にした全国唯一の公募展で、24回目を迎えた。1100点を超える応募があり、全作品が8月31日まで会場の県陶芸美術館(笠間市)に展示される
▼会場は子どもたちの個性であふれている。作品は大きさが規定されているだけで、何を作ってもいい。表現は自由。器があればオブジェもある
▼子どもたちが学校や地域の陶芸教室で学んだ成果を、発表できる唯一の全国の舞台だ。高校球児が甲子園を目指すように、子どもたちは「笠間」を目指して土を練ってきた
▼応募作品の最高賞・内閣総理大臣賞は、栃木県益子町立益子中3年の大岩愛弥さんの「クロガネノトラ」が射止めた。戦後80年を意識したのだろう。第2次世界大戦で散った兵士のイメージを端正に力強くオブジェで表現した
▼今回から特別賞に板谷波山賞と松井康成賞が設けられた。板谷波山は陶芸を芸術に高めた筑西市出身の文化勲章受章者。松井康成は笠間市に住んだ陶芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)である
▼金子賢治審査員長は「テーマと技術が見事に融合しレベルが上がった」と総評で述べている。将来、歴代出品者から人間国宝や文化勲章受章者が、と思うと楽しい。(小)