【いばらき春秋】

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日立市大みか町の小平記念館に日立製作所の創業者、小平浪平が開発を指揮した現存最古の5馬力モーターが展示されている。「日本で使う機械は、われらの手で作る」。電気機械の国産化はここから始まった

▼97年前の夏、日本は敗戦から奇跡の復興へ歩み出した。けん引したのは自動車、家電をはじめとする国産技術。テレビや洗濯機、冷蔵庫は豊かさの象徴であり、憧れの家電だった

▼日本が主権を回復した1952(昭和27)年、日立は日本初のウインドー型エアコンを発売し、京都の老舗、都ホテルに納品した。やがて〝日の丸家電〟は、機能に優れ、壊れにくいと定評を得て一時代を築いた

▼日立が家庭用エアコンからの撤退を発表した。「白くまくん」の名称で長年愛され、最新型はエアコン内部の汚れを凍らせて洗い流す機能を採用し消費者を驚かせた

▼日本製エアコンの寿命は10年余と長く、メーカー各社の販売合戦は熾烈(しれつ)。日立は鉄道などのインフラやIT事業に軸足を移しており、今後の国内市場の縮小を見据え、海外勢への事業売却を決断したのかもしれない

▼小平の精神を継ぐのは難しい時代なのか。否と言わんばかりに、わが家の白くまくんは今日も快適に涼を届けてくれる。(山)



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