【デスク日誌】名前を変えるか守るか
「平成の大合併」のピークは20年前。取材を担当した県西地域でも新市名を決める議論が合併協議会で活発に行われた。地域の歴史や住民の誇りをどう受け継ぐかが問われた
▼下妻市では当初、広域合併が模索されたが実現しなかった。下妻二高の夏の甲子園出場やアテネ五輪柔道女子での塚田真希選手の金メダル、映画「下妻物語」公開で、下妻の名が全国に知られ、継続を望む声が強まったことも影響した
▼一方、筑西市は、旧下館市が歴史ある名を捨てる形で3町と合併し誕生。桜川市では、旧真壁町の名が住所に残された
▼国会で今、名前の在り方を巡る選択的夫婦別姓の議論が続く。反対派は家族の一体感を重視し、賛成派は自己尊厳を守りたいと主張。いずれにも理があり、多様な選択肢を許容する社会こそが互いの理解を育てていく。議論の行方に注目したい。(整理部・船橋義勝)