【論説】衆院選・エネルギー政策 原発や炭素税の議論深めよ

地球温暖化が深刻化し、気候危機と呼ばれるまでになる中、温室効果ガスの排出を減らし、持続可能なエネルギー需給を実現するための政策が、多くの国で重要な課題となっている。衆院選で、これが政策論争の主要テーマになっていないことは大きな問題なのだが、エネルギー政策は国の将来を左右する重要なものだ。各党の積極的な論戦を求めたい。

エネルギー政策の中心となるのは菅義偉前首相による「2050年に温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする」というカーボンニュートラル宣言だ。そのために「30年度の排出量を13年度比で46%減らし、50%の高みを目指す」との目標も掲げた。

与野党を問わず主要な政党がこの「50年のカーボンニュートラル」を支持している。

忘れていけないことは、排出ゼロとそこに向けて重要な30年ごろの大幅削減のためには、化石燃料への依存が続くエネルギー政策を根本的に変革し、再生可能エネルギーとエネルギーの超効率的な利用を基本とする社会を実現する政策が今、求められているということだ。

与党のエネルギー政策は総選挙の公示後に閣議決定された新たなエネルギー基本計画に沿ったものとなる。だが、これは求められるエネルギー需給の根本的な変革にはほど遠い。再生可能エネルギーの導入目標は低く、温暖化対策から各国が全廃を決めた石炭火力の新設も認めている。

今のままでは困難な目標の達成を確実なものとするため、与党として、より野心的な政策を打ち出す責任がある。与党より大きな30年度の排出削減目標と再生可能エネルギー導入目標を公約としする立憲民主党や共産党にもこれは当てはまる。

各党は、気候危機とまでいわれる状況に直面する中、早急にエネルギー政策を根本的に改める必要があるとの認識と覚悟を持って政策論争に臨むべきだ。石炭火力発電の扱いと、脱炭素社会実現に不可欠な炭素税など「カーボンプライシング」と呼ばれる政策への姿勢が重要なポイントだ。

エネルギー政策に関しては、原子力の扱いが大きな争点になる。東京電力福島第1原発事故から10年半の大半の期間、与党の座にあった自民党、公明党の連立政権は、原発についてほぼ判断停止状態にあったと言える。

専門家の多くが達成困難だとする30年度の原発の発電比率目標である20~22%を維持し続けていることがその典型だ。

原発事故以降、原発の再稼働は思うように進まず、安全対策費がかさんで高コスト化が目立つ。脱原発を求める声が強い世論に反して、事故のリスクも抱える原発をあくまで重視する政策を堅持するのなら、その理由をきちんと説明し、批判を恐れずに目標達成に向けた明確な政策を示す責任がある。

くしくも投票日の31日から英国で国連気候変動枠組み条約の第26回締約国会議(COP26)が始まる。気候危機への対処のため、各国の一層の排出削減が求められる中、世界第5位の大排出国である日本の政策、特に石炭火力発電への姿勢に国際的な注目が集まる。総選挙でどのようなエネルギー政策を掲げた政党を選ぶかという、日本の有権者の判断も問われていることを心に刻みたい。

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