【いばらき春秋】
暑くなればプールに行きたくなる。先日、常陸大宮市民プールに出かけた。開場前から長い列ができ、入場すると、早速子どもたちの元気な声が響いた
▼だが、学校のプールに目を向けると、子どもたちの声は減っている。施設の老朽化などを理由に使われなくなったりしているからだ
▼児童・生徒数の減少、夏季限定の利用、定期的な消毒・清掃に伴う教員の負担、さらに近年は猛暑でプールの授業を中止せざるを得ない状況も理由に加わる。自治体にとって、利用が少ない施設の改修や造り替えは「重荷」と感じているらしい
▼阿見町は先日、中学校1校に屋内プールを建設し、水泳の授業を集約する計画を示した。温水プールのため、夏季以外でも使え、各校で授業の期間をずらす。一般の人も利用できるようにするという。水戸市などでは既に、近くの民間スポーツクラブを活用している
▼学校の水泳授業導入は、1955年に香川県沖で起きた客船沈没事故で多くの子どもたちが犠牲になったことがきっかけだという。いざという時の泳力を養っている▼本紙俳壇で、「校庭にプールの声の響きけり」(土浦市、今泉準一さん)を見つけた。今となっては、校庭に漏れてくる声は懐かしい音になっている。(臣)