【いばらき春秋】

県北ロングトレイルをヨルダンのリーナ・アンナーブ駐日大使が歩いた記事が社会面に掲載された。大使は母国で観光・考古大臣を歴任し、世界的に人気を集める全長650キロのヨルダン・トレイルの創設に関わった

▼トレイルとは未舗装道のこと。県北ロングトレイル整備は2018年に県が始めた6市町にまたがる県北振興事業。周回320キロに及び、林道や登山道、日本の原風景が残る里山や田舎の街並みを巡る

▼JR常磐線や水郡線、バスなど公共交通も利用可能で、始点と終点を自由に決められる。登山やトレイルランのほか、歩いて県北の自然や文化を感じ体験してもらう仕組みを作る事業でもある

▼地元を中心に380人の協力隊員がコース整備を担い、昨年度までに105キロを開通させた。里山や森林の管理は山の荒廃を防ぐ効果もある

▼整備を委託されている水戸市のアウトドア用品店、ナムチェバザールの和田幾久郎社長は「マップや時刻表などコース内の情報を検索するアプリ開発も必要」とし、多様な人たちの力の結集を呼びかける

▼コースに散在する古民家や温泉、空き家などを休憩や宿泊施設として活用することも視野に入れたい。登山道整備から新たな文化が生まれそうだ。(小)