【いばらき春秋】

どんなに奥ゆかしいサポーターであっても、ここまで来たら現実を見据えるしかない。サッカーJリーグは最終盤。県内2クラブはそれぞれ激戦にあえぎながら首位に立つ

▼冒頭の一文はもちろん「常勝」を誇るJ1鹿島のことではない。J2水戸である。8連勝を含む15戦連続無敗で首位を走る中盤、サポーターは「8連敗すれば最下位」とマイナス思考をのぞかせた

▼昔なじみのファンであればこその傾向。「期待に胸膨らませて何度裏切られたことか」と後ろを向く。多くを望まず、どんなに負けが込んでも長年、温かく見守ってきた愛である

▼そんなサポーターにとって現状はまぶし過ぎるか。チームは26日の勝利で首位奪回。4試合を残し、3~6位で昇格を争うプレーオフ圏内をほぼ手中にした。現実を直視すれば自動昇格の優勝、2位も全く夢ではない

▼チームはかつてヒット映画にちなみ、「おくりみと」と呼ばれた。2000年のリーグ参入以来、幾度となく最終盤の試合で昇格を争うチームと対戦、J1に送り出してきた

▼今季は逆に昇格を祝う花道を相手につくってもらおう。そんな想像をして楽しむのはサポーターの特権である。当然、チームには一戦必勝を。夢が現実になるように。(島)