【映画】
妻夫木聡×安藤サクラ×窪田正孝ら共演、芥川賞作家・平野啓一郎の「ある男」実写映画化

芥川賞作家・平野啓一郎「ある男」を実写映画化、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝らが出演 (C)2022「ある男」製作委員会


 芥川賞作家・・平野啓一郎が小説家デビュー20年目の節目となる2018年に発表した「ある男」が、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝らの出演で実写映画化されることが発表された。監督は、『愚行録』(17年)でベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出され、『蜜蜂と遠雷』(19年)では、毎日映画コンクール日本映画大賞、日本アカデミー賞優秀作品賞など多くの賞を受賞し、国内外で高い評価を得る石川慶。2022年、全国公開予定。



【画像】原作者・平野啓一郎と書影



 物語は、主人公である弁護士・城戸が、“ある男”の真実に迫っていく、「愛」と「過去」をめぐるヒューマンミステリー。脚本は、『リアリズムの宿』(03年)、『リンダリンダリンダ』(05年)、『マイ・バック・ページ』(11年)、『聖の青春』(16年)など、数々の話題作を手掛けてきた向井康介。石川監督とは『愚行録』に続き2本目のタッグとなる。



 主人公の弁護士・城戸章良(きど・あきら)を演じるのは、シリアスからコメディまで多種多様な役を演じ、邦画界に欠かせない存在として話題作への出演が途切れない妻夫木。石川監督とは『愚行録』、ドラマ『イノセント・デイズ』に続き、本作で3度目のタッグ。弁護士役は初挑戦となる。



 妻夫木は「人間のアイデンティティとは何かを問い詰めるこの作品との出会いは、自分の人生を見つめ直す良いきっかけとなりました。人生に正解はない。かといって間違いもない。どんな答えであってもいいと思う。だから恐れずに向き合って欲しい。観てくださった方にとって、この作品が人生の道標のような存在になるのであれば僕は幸せです」と、コメントを寄せている。



 城戸に夫の身元調査を依頼する谷口里枝(たにぐち・りえ)役には、『0.5ミリ』『百円の恋』『万引き家族』など数々の作品で異彩を放ち、国内だけに留まらず海外でも高い評価を得る安藤。映画への本格出演は、『万引き家族』以来、4年ぶりとなる。



 安藤は「久しぶりの映画、石川監督のもと、たくさん笑ってたくさん泣いて、苦しみながらも楽しく撮影させていただき、あ~わたしは現場が好きだ!と再確認しました。この作品だったからそう感じられたのだと思います」と、充実した現場の様子を伝えた。



 里枝の夫となる谷口大祐(たにぐち・だいすけ)を連続テレビ小説『エール』で主演を務めた窪田が演じる。「ある男の静寂な心の中にうごめく『悍(おぞ)ましいナニカ』をずっと感じながら演じてました。人の皮を被った怪物が身体の中からずっと自分だけをみている。そんな支配されて壊れきった空っぽの心を里枝が少しずつ溶かしていく。里枝役のサクラさんはやはりとても刺激的で芝居の面白さ、やりがい、その答えをどこまでも追求していきたい衝動に駆られました。ある男が観ていただく方々にどんな感情を残すのか今から楽しみでなりません」と、見どころを語っている。



 さらに、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊、仲野太賀、真木よう子、そして柄本明の出演。石川監督は「日本映画界の最前線にいる俳優たちが集結してくれました。カメラの後ろで日々目撃した、あの奇跡のような瞬間の数々を、早くみなさんに届けたくてうずうずしています」と、自信をのぞかせている。



 最後に、原作者・平野氏のコメントを紹介する。



 「『ある男』は、私の小説家生活20年目のタイミングで刊行された長篇です。前作『マチネの終わりに』で描いた「未来は過去を変える」という主題を、分人主義的に更に発展させ、『愛にとって過去は必要なのか』という切実な問いを追求しました。重層的に入り組んだ複雑な構成美が持ち味の小説なので、映像化はなかなか難しいだろうと思っていましたが、素晴らしい監督と俳優陣に恵まれ、強く胸を打つ映画となったことに感動し、また感謝の気持ちを抱いています。原作と映画、両方の世界を是非お楽しみください」(平野啓一郎)

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