【映画】
『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』ラインナップ発表 コンペ審査員長に竹中直人が就任
2004年に埼玉県川口市で始まり、今年で18回目となる『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』のラインナップ発表会が1日、オンラインで開催された。昨年に続いて、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、動画配信サイト「シネマディスカバリーズ」でのオンライン配信で、9月25日(土)~10月3日(日)の9日間、開催される。
【動画】『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021』予告編
同映画祭は、国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の計3つのコンペティションがあり、“若手映像クリエイターの登竜門”として毎年開催を重ねている。これまでに、『孤狼の血 LEVEL2』の白石和彌監督、『浅田家!』の中野量太監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『岬の兄妹』の片山慎三監督など、第一線で活躍している監督たちを多数輩出してきた。
主催者を代表して埼玉県の大野元裕知事(実行委員会会長)は、ビデオメッセージで、「海外に出掛けることがままならない状況の中、映画を通して世界に触れていただき、若手クリエイターの才能のきらめきを感じ取っていただければ」と、次代を担う新たな才能の発掘を目的とした同映画祭の開催意義を唱えた。
昨年は、初めてオンライン配信で開催し、総視聴回数8142回を記録。来場するよりも多くの作品を鑑賞する機会となった。引き続きコロナ禍で映画製作の現場も大きな影響を受けているが、今年もコンペティション3部門に104の国・地域から長編・短編合わせて計1084本のエントリーがあり、厳選された全24作品が配信されることになった。
国際コンペティションには、過去最多となる889本の応募があり、厳正なる一次審査を経て10作品がノミネート。すべて日本初上映作品となる。中でも、同映画祭初ノミネートとなるマルタとキュラソーの作品は、日本ではほとんど観ることのできない国や地域の作品を観ることができる国際映画祭ならではのセレクション。
ヨーロッパ・地中海に浮かぶ島国マルタの映画『ルッツ』は、先祖代々受け継いできたマルタの伝統漁業を続けていくか、家族の生活を守るか、決断を迫られる男の逡巡を描いた作品で、今年のサンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック部門で俳優賞を受賞した。
一方、17世紀から続いたオランダ植民地時代の歴史を持つカリブの島キュラソーを舞台にした『ケンザの瞳』(オランダ・キュラソー合作)は、島に息づく神秘的な伝統にひかれていく少女の成長を描いた作品で、第93回米アカデミー賞国際長編映画賞のオランダ代表作品に選ばれた。
国際コンペティションの審査委員長は、俳優、映画監督の竹中直人が務めることも発表された。竹中はビデオメッセージで「すっげえ! なんだこれ! 怖い! なんて感動的! そんな素敵な映画が、いっぱい集まってくると思います。僕は心の奥底から、その日を楽しみにしております。皆さんに出会えること、最高の映画に出会えること、とてもとても楽しみです。映画祭でお会いしましょう」と呼びかけていた。
国内コンペティション長編部門では、今後の日本映画に新風を吹かすであろう、監督それぞれの個性が光る力作6作品を厳選。同部門では初めて長編アニメーション作品(谷中屋監督の『バトルクライ』)がノミネートされている。
同・短編部門には、8作品がノミネート。東京とパリを拠点にする松井雅也監督が繊細に映し出す、パリの街角にいそうな男女3人が織りなす切ないラブストーリー『10センチの彼方』や、10月1日公開の『DIVOC-12』にも傘下する齋藤栄美監督が台湾人女性と日本人女性の一夜の交流を描き、オーストラリアのブリスベン国際映画祭でワールド・プレミアされた『一夜二糸』、実在するカンボジアのサーカス学校と、そこで夢を追う少年たちに降りかかるコロナ禍の影響を物語に落とし込み、今年6月の上海国際映画祭でワールド・プレミアを飾った逢坂芳郎監督の『リトルサーカス』など、国際色豊かなラインナップとなっている。
国内コンペティションの審査委員長は、鈍牛倶楽部代表取締役、プロデューサーの國實瑞惠氏が務める。