【映画】
金子雅和監督『リング・ワンダリング』特報解禁 映画祭コンペ出品決定
俳優・笠松将主演、阿部純子がヒロインを務める映画『リング・ワンダリング』(2022年2月公開)の特報、ティザービジュアル、場面写真が解禁された。10月にポーランドで開催される「第37回ワルシャワ国際映画祭」コンペティション部門への正式出品も決定したことも明らかになった。
【動画】金子監督自ら手がけた『リング・ワンダリング』特報
映画『アルビノの木』(2016年)で北京国際映画祭など、各国の映画祭で上映されグランプリ含む20の賞を受賞した金子雅和監督のオリジナル作品。笠松が演じるのは、漫画家を目指す草介。幻のニホンオオカミを題材にした漫画を構想するものの、上手く描けず悩む青年に扮する。そんな草介が出会う、不思議な娘・ミドリと、草介が描く漫画のヒロイン・梢の二役を阿部が演じる。
物語の舞台は東京の下町。草介がミドリを図らずも怪我させたことから、彼女の家族が営む写真館まで送り届けることになり、その家族との出会いを通じて、東京という土地に眠る過去の記憶を知ることとなる。人間の「生」や「死」に実感を持てない若者が、運命的な出会いを通して、命の重みを知る幻想的で切ない物語が展開する。
特報は、金子監督自身が手掛けた。雪の積もった土の上を歩く男の姿、涙をこぼす主人公・草介、動物の頭蓋骨、凛とした表情を見せるヒロインなど、本編中の印象的な場面が切り取られ、最後に「忘れないで、私の姿…」というヒロインの声で締めくくられる。監督が表現したいものが凝縮されている、と見ていいだろう。
ティザービジュアルは、筆書き風のタイトル文字とともに、劇中漫画の作画を担当する漫画家の森泉岳土が手掛けたイラストレーションがあしらわれ、描かれたニホンオオカミの頭の中に、草原でアルバムを眺める草介の姿が見えるデザインとなっている。
出品が決まったワルシャワ国際映画祭のコンペティション部門は、同映画祭において最高賞を競う部門。映画祭ディレクター、ステファン・ラウディン氏は、本作を選出した理由について「物語に感動し、泣き笑いする時、私たちは映画の素晴らしさを感じます。また、映画を観ていると、私たちはある種の魔法の目撃者となることがあります。映画の魔法。それは素晴らしく、しかし稀にしかできない体験です。そして『リング・ワンダリング』には、その全てが備わっているのです」と、激賞している。コンペティション部門グランプリのこれまでの受賞作は、2004年にアスガー・ファルハディ監督の『美しい都市(まち)』(日本劇場未公開)、2007年にディアオ・イーナン監督の『夜行列車』(日本未公開)、10年にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『灼熱の魂』、13年にパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『イーダ』など、現在、世界的に評価される監督たちの初期作品が多く受賞している。