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【RIZIN】榊原信行CEO「大みそかは格闘技の未来への第一歩が始まる」対抗戦への自信と朝倉兄弟に期待すること【独占インタビュー前編】

ORICON NEWSの単独インタビューに応じたRIZIN榊原信行CEO【撮影/谷脇貢史】 (C)ORICON NewS inc.


 大みそかに開催される格闘技『湘南美容クリニック presents RIZIN.40』(さいたまスーパーアリーナ)に向けて、ORICON NEWSでは大会に向けてさまざまな調整に追われるRIZIN榊原信行CEO(※榊=木へんに神)の貴重な時間をキャッチし、独占インタビューを実施した。世界中の格闘技ファンを歓喜させたBellator(ベラトール)との対抗戦実現までの経緯や、ベラトール軍としてRIZINに襲来する立場となった堀口恭司への思い、今大会は不在となる朝倉未来&朝倉海に期待することなど、じっくりと聞いた。(全2回の1回目)



【動画】榊原信行CEO、対抗戦は「RIZINファンには残酷な結果になるかも」



■戦友との協力で実現した豪華な対抗戦だが…「残酷な結末が待ってるかもしれない」



――今回のベラトールとの対抗戦は、世界中の格闘技ファンから好評ですが、これだけのカードを実現させるための交渉は大変だったのでは?



【榊原】ベラトール代表のスコット・コーカーとは、この業界で25年くらいヘルシーなライバルとしてやってきて、苦しさや辛さを共有してきたし、時にはぶつかったこともある仲です。年齢も同世代で僕が来年に60歳になるんだけど、自分たちが去った格闘技業界の未来のことも考えるようになって、今回の大みそかが10年先でも20年先でも50年先でも「あそこから格闘技業界が変わったね」っていうきっかけにしたいという思いは同じでした。そのためには、中途半端な交流をしても世間は驚かないので、目先の損得勘定を抜きにしてトップアスリートを全部出してやろうと。同じコンセプトを持っていたから、交渉はそんなに大変ではなかったと思います。



――長年の戦友のスコットさんとの協力によって、今回の豪華な全面対抗戦が実現したと。



【榊原】僕がRIZINを作った2015年からずっと言っているのは、UFCを筆頭にした格闘技の各プロモーション(団体)内の順位決定戦では、このスポーツのプレゼンス(存在感)は上がらない。サッカーのW杯は、普段は別々のクラブで戦っている選手が国のために戦う対抗戦だから、とんでもない化学反応というか世界を熱狂させる力を持っている。サッカーの歴史は数100年で、格闘技の歴史については1976年のアントニオ猪木さんとモハメド・アリの試合がMMA(総合格闘技)の源流だと僕は思っていて、まだ50年にも満たないです。そんなスポーツがサッカーや野球やテニスなど歴史を刻んでいるスポーツのように定着していくためには、対抗戦というかNo.1を決める世界選手権が必要だと感じていて、その第一歩を日本で始められることがすごく画期的だと思っています。



――ベラトールの代表選手には現役王者や元王者が勢ぞろいし、もしかしたらRIZIN側が全敗してしまう可能性もありますが…。



【榊原】あるでしょうね。ホベルト・サトシ・ソウザやクレベル・コイケはRIZINでは王者でトップアスリートだけど、この数年はコロナの影響で海外の選手を呼ぶことができなかったから、もしかしたら彼らは“井の中の蛙”かもしれない。RIZINで鎬(しのぎ)を削ってきた選手が本当のワールドクラスに手が届くのか、まさにW杯でドイツやスペインと対戦したサムライブルーと一緒で、今年の大みそかは「俺たちの国の代表は世界とどれだけ戦えるのか」が見られるけれど、それによって残酷な結末が待ってるかもしれないです。



――サムライブルーはW杯で強豪国を次々と撃破し、日本中に大きな熱を生み出しました。今回も5対5の対抗戦ということで、ワンマッチとも違う熱気が生まれそうですね。



【榊原】MMAは個人競技なので完全なチーム戦にはならないけど、ファンの方には普段のワンマッチとは違う楽しみ方を持っていただけると思いますし、自分の国や団体のアイデンティティをかけて戦うファイターの姿を目撃してください。



■クレベルVSピットブル“現役王者同士の対決”は「大きな意味を持つ試合」



――日本のRIZINとアメリカのベラトールの対抗戦ですが、RIZINバンタム級王者の堀口恭司選手がベラトール軍としてRIZIN軍の扇久保博正選手と対戦することで、「どっちを応援したらいいのか」と迷っているファンもいます



【榊原】プロの世界だからこそ起こりうる現象で、複雑な思いの方も多いと思います。3回目の堀口VS扇久保が堀口の3連勝になるのか、扇久保が一矢を報いるのか。4回目はないと思うので、この試合については2人のここまでのドラマや生き様を中心に見るのか、対抗戦の大事な試合として見るのか、お互いにベストの階級であるフライ級に落としてスピードが増した2人の攻防を楽しみにするのか、いろんな角度で楽しめる贅沢なカードとして期待してください。



――5試合の対抗戦はどれも豪華ですが、榊原さんが一番激しい試合になるだろうと考えている試合は?



【榊原】たぶんファンの方も同じだと思いますが、クレベルと(パトリシオ・)ピットブルの試合です。クレベルは日本人としての魂を持っていて、タイトルマッチで流れる国歌も日本の「君が代」を希望するくらいの人だけど、ベースの部分はブラジルの選手であり、ピットブルもブラジル人なので、お互いに「絶対にこいつには負けたくない」と思っているはず。クレベルはRIZINで連戦連勝だけど、ピットブルはベラトールの絶対的王者で今までの対戦相手と経験値と実績が圧倒的に違うので、クレベルにとってかなり厳しい試合になるだろうなと。今回の対抗戦で唯一の現役王者同士の対決だし、ほかの4試合に勝ってもこの1試合で負けてしまったら対抗戦の戦績の価値がガラッと変わるぐらい、大きな意味を持つ試合です。



――クレベル選手が勝利したら、その名が一気に世界中に広まりそうですね。



【榊原】RIZINのマッチメイクを担当している(チャーリー)柏木が「プロモーターの僕らの立場では、普段の大会はどちらかの選手を明確に応援することはできませんが、今回は対抗戦なので思い切りRIZINの選手を応援できますね」って言っていて。いつも僕らは心のなかでは叫んでいても、立場上いつでもポーカーフェイスでいなくてはいけない。でも今回は、会場にたくさん来てくださるRIZINファンの皆さんと同じメンタリティで、この5試合は観戦したいと思います。



――リングサイドで興奮している榊原さんを見ることができそうですね。



【榊原】おそらく大絶叫しているはずです(笑)。



■朝倉未来、朝倉海、那須川天心が不在でも「過去に比べて決して見劣りしない大会になる」



――対抗戦以外の試合では、女子スーパーアトム級トーナメントの決勝が伊澤星花選手(日本)VSパク・シウ選手(韓国)という、こちらも結果的に国を背負うような試合となりました。



【榊原】この階級はRIZINがスタートした2015年からRENAを中心に山本美憂や浅倉カンナ、浜崎朱加など日本人選手によって磨かれた階級ですが、パク・シウは1試合ごとにどんどん強くなって自信もつけているし、フィジカルでは伊澤よりも上かもしれないから、この階級のトップの座が国外流出の可能性もあります。一方の伊澤も現役王者のまま決勝に勝ち上がって、ポテンシャルの底がまだ見えていない強さもある。ベラトールとの対抗戦の話題に押されている部分はあるけど、すごく勝負論があるし、今後のRIZINの女子格闘技が誰を中心に回っていくのかを示す重要な一戦です。



――今回の大みそかも注目カードが多いですが、昨年までの大みそかを盛り上げてきた朝倉未来選手、朝倉海選手、そして那須川天心選手が不在となり、マッチメイクに苦労が多かったのでは?



【榊原】RIZINのリングの中心で熱を作った選手は1年でずいぶんと変わったし、新しい世代の選手もどんどん魅力を発信しているので、苦労というのはそんなになかったです。もちろん、未来、海、天心というトップアスリートたちもいてくれたら良かったという気持ちもあるけど、彼らがいないからと言って過去の大会に比べて見劣りすることは決してありません。別に未来や海と揉めている訳ではなく、彼らがベストコンディションになって2023年のRIZINで存在感をしっかり見せてくれるはずです。天心は確実に出ませんけどね、ラップくらいしか(笑)。



――9月の『超RIZIN』と『RIZIN.38』のハーフタイムショーでは、天心さんがラッパーとして凱旋しましたが、再登場もあり得る?



【榊原】どうしようかな(笑)。今年の大みそかはオープニングアクトにRepezenFoxxの出演が決まって、ものすごい反響をいただいているので、天心もまたあるかもしれないですね。

<後編では来年へのビジョン、今年急成長した平本蓮、そして世間の注目を集めるBreakingDownについて語った>



◆『湘南美容クリニック presents

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