【映画】
映画『ヴィレッジ』古田新太、一ノ瀬ワタル、西田尚美ら“怪演”で競い合う
俳優の横浜流星主演、藤井道人監督による映画『ヴィレッジ』(4月21日公開)。横浜が制作準備段階から作品作りに参加し、俳優人生を捧げて“覚醒”した演技を見せる横浜以外にも、“怪物”と呼ぶに相応しい俳優たちたちが“怪演”を競い合っている。
【画像】真顔が怖い大橋ふみ(木野花)の場面写真も
■豪腕を振るう霞門村村長の修作:古田新太
伝統的な“薪能”を継承し、夜霧が漂う美しい霞門村に、半ば強引にゴミ処理施設を誘致。そのゴミ処理施設を利用してヤクザの丸岡(杉本哲太)と結託し、不法投棄にも手を染めていく。ひっ迫する村の運営や、きれいごとだけでは済まされない厳しい現実、代々村長を輩出してきた大橋一族としてのプレッシャ―、母との確執など、密かに葛藤を抱えながらも、村長として絶対的な権力を誇示し、豪腕を振るっている人物だ。
修作を演じた古田は藤井組初参加。「コンプレックスの固まりで虚勢を張って村長になっている。でも物語が進むにつれ、完全なる悪役じゃなくなっていって…」と自身が演じる役柄について明かし、藤井監督とも会話を重ねながら、現場で変動していく物語にあわせて修作という人物を演じていたという。表面上は穏やかな雰囲気を装いつつも、腹の底ではどす黒い何かが渦巻いているような圧倒的なオーラを放ち、観るものの背筋が凍るような人物を体現した。
■権力の使い道を誤ってしまった修作の息子、透:一ノ瀬ワタル
修作の息子で、父の権力を笠に好き放題、全てを思い通りにしようと力任せに生きる透。優(横浜)を虐げ、常に弱い者を食い物にするその姿は、傍若無人で身勝手が過ぎ、問題を起こしてばかりだ。そんな息子を、父・修作もどこか見限っており、その様子にも勘付いている。そのせいで余計に力を誇示するようになっていくのだが、透にも譲れないある想いがあった…。
透を演じた一ノ瀬ワタルは、もともとプロの格闘家。沖縄やタイでの修行を経て培われたガタイの強さは俳優業にも活かされており、本作でも“あるアクションシーン”を見事に演じ切った。優を演じる横浜とのアクションとなった重要なシーンを振り返り「僕もキックボクシングをしていたし、横浜さんも空手の世界チャンピオンで『何も遠慮せずに来てください』と全部を受け止めてくれて。安心感もあってすごくやりやすかったです。チーム一丸となって実践できたシーンです」と撮影秘話を明かしている。横浜はもちろん、一ノ瀬自身の格闘技経験が活かされた見応えたっぷりなアクションシーンにも注目だ。
■大橋一族の母として絶大な権力を持つふみ:木野花
代々村長を継いできた大橋家の絶対的権力者であるふみ。病を患い、ほぼ寝たきりという状態でありながら、今もその存在は村の中で絶大な力を誇り、村中から動向を伺われる。本来は、能の舞手としても優秀だった弟の光吉(中村獅童)を村長に…と思っていた節もあり、現村長で光吉の兄にあたる修作ですら、母・ふみの顔色を常に伺い、萎縮してしまうほどの権力者だ。
ふみを演じた木野は、せりふも極端に少なく、ベッドの上か車椅子上という少ない登場シーンでありながら、不穏な気配を漂わせて物語の緊張感を加速させる役割を担っている。
■影で村を牛耳るヤクザ、丸岡:杉本哲太
ゴミ処理施設を使って不法投棄を行うヤクザの丸岡。村長の修作の弱みにつけ込み、借金を抱えた龍太(奥平大兼)らをゴミ処理施設に斡旋。借金のカタに不法投棄を行わせている。優の母、君枝(西田尚美)も丸岡から多額の借金を抱えている。丸岡は優に同情しながらも、母子ともども食い物にする非道なヤクザっぷり。演じる杉本のビジュルアルもインパクトのある超強面に仕上がっており、サングラスに金のネックレス、激しい入れ墨が掘られた腕を堂々と見せつけ、どぎつい笑顔が恐怖心をあおる。
■ギャンブルに溺れて多額の借金を抱える優の母、君枝:西田尚美
優と同様、過去のある事件によって村中から蔑まれ、冷たい視線にさらされ続けた結果、精神を病んで酒とギャンブルに溺れて自分を見失ってしまう。優に対して懺悔の思いを抱えながらも現状を打開することができず、丸岡からの借金を重ねてしまう。母でありながら優に頼り切りで、ある意味、最も優を苦しめる人物とも言える君枝を西田尚美が熱演している。