【経済・トレンド】
循環社会推進協議会と東北大学の共同研究チーム、高周波誘導加熱を用いたマグネシウム製錬に成功

循環社会推進協議会と東北大学の共同研究チームが発表


 グリーン・マテリアルの自給/循環社会の構築を目指す一般社団法人循環社会推進協議会(代表理事:熊谷枝折)と国立大学法人東北大学多元物質科学研究所材料分離プロセス研究分野(教授:柴田浩幸)は10日、共同研究により、高効率な高周波誘導加熱を用いた試験装置を開発設置、酸化マグネシウムをシリコンで還元して金属マグネシウムを得る実験に成功したことを発表した。



【画像】製錬された金属Mg(拡大写真)



 マグネシウムは実用金属中、最軽量であり、構造材として用いられる他、アルミ合金の添加剤、鉄鋼生産における脱硫剤、チタン生産における還元剤などの重要な役割を果たしている。しかし、ほぼ全量を輸入に頼っているため、資源の安全保障の観点から国内生産が望まれている。最近では供給国が限定されていることによるカントリーリスクも高まっている。



 無尽蔵な資源である海水にはマグネシウムが豊富に含まれており、海水から採取した水酸化マグネシウムを再生可能エネルギーや余剰時のエネルギーを使って金属マグネシウムに製錬することができれば、CO2の削減および資源のカントリーリスク削減に利点がある。加熱方法には、身近な例ではキッチンのIHクッキングヒーターで使われている高周波誘導加熱の技術を効率的に用いて省エネを図っている。



 SDGsの視点からは、使用エネルギーの削減やグリーンエネルギーの活用による環境負荷の低減、鉱物資源の採掘量低減による埋蔵資源の節約、リサイクルの推進による廃棄物の削減などに貢献する。



 また、マグネシウムはエネルギーキャリアとしても、CO2を発生しないだけでなく、エネルギー密度、保存性、輸送性等あらゆる点で優れた能力を備えている。その循環利用技術と社会システムを構築することにより、地産地消のエネルギー利用、再エネ電力供給の安定化、エネルギー備蓄による防災対策などにおいて社会のエネルギー安全保障に多様に貢献することが出来る。



 共同研究チームは、「グリーン・ピジョン法」と名付けた再生可能エネルギー等による電力を用いたCO2を発生しない加熱方法によりマグネシウム製錬を行う装置の実用化開発を進める。

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