【経済・トレンド】
専門家が語るAmazon新サービス「Amazon ファーマシー」の将来性 医療DX拡大のカギとなるか
Amazonは23日、Amazonショッピングアプリの新サービス「Amazon ファーマシー」を発表し、都内で発表会を開催。医療法人長久堂野村病院・薬剤科科長の荒川隆之氏を招き、同サービスをはじめとする医療DXの現状と将来像に関するトークセッションを行った。
【写真】『amazon ファーマシー』利用方法
きょう23日から開始される「Amazonファーマシー」は、Amazonショッピングアプリ上の自身のアカウントから、同サービスに登録されている薬局で薬剤師によるオンライン服薬指導を受けた後に、処方薬を自宅などに配送、または薬局の店舗で受け取ることができる新サービス。
アマゾンジャパンの前田宏氏は「日本では2020年のコロナ禍をきっかけに、オンライン服薬指導が本格的にスタートし、昨年1月からは電子処方箋の運用も開始されました。日本国内で医療DX、デジタルイノベーションが推進されていった」と振り返り、同サービスもその時代の流れの中で生まれたものであるとアピールした。
この意見を受け、荒川氏は「医療DXの動きは、日本の医療においても少しずつ取り組みが行われていて、現場でも土壌ができつつある」と実感を伝え、「Amazonファーマシー」について「オンライン診療やオンライン服薬指導などと非常に親和性が高いサービスだと思うので、今後に期待している」と評価した。
続けて、医療DXのメリットとして「病院と薬局で患者情報のスムーズな共有が進むこと」を挙げ、「薬局側で電子処方箋を導入していますと、電話でドクターに質問をして診療を遮ってしまうことなども少なくなりますし、何より情報伝達の手段が増えるのは、医師と薬剤師の双方にとってメリットがある」と、患者にとっての利点のみならず、医師や薬剤師の働き方の柔軟性が向上することなどにも期待した。
そんな医療DXが浸透するためには「何よりもメリットを感じることが重要」と言い、「患者さんと医療従事者がともによさを実感する瞬間があればすぐに浸透するのではないか」と予想。「すでにDX化への土壌ができている日本の医療現場の中で、今回知名度と信頼性の高いAmazonさんが『Amazonファーマシー』をスタートしてくださることで、より多くの方への認知拡大が進むと期待しています」と伝えた。
同サービスの利用方法は、Amazonショッピングアプリ上の自身のAmazonアカウントを通じ、「Amazonファーマシー」に登録されている薬局からオンラインでの服薬指導を受け、処方薬を購入するというもの。利用にあたっては、医療機関で診療を受けて電子処方せんの交付を受けるか、患者向け総合医療アプリ「CLINICS(クリニクス)」で受診できる医療機関でオンライン診療を受け、処方せんデータを取り込む必要がある。
そして、処方薬は薬剤師によるビデオ通話を介した服薬説明を受けた後、処方薬を自宅など指定の住所に配送するか、薬局の店舗で受け取ることができる。薬局各社の対象店舗は、アインホールディングス、ウエルシアホールディングス、クオールホールディングス、新生堂薬局、中部薬品、トモズ、ファーマみらい、薬樹、ユニスマイルなどの約2500店(23日時点)。