【アニメ】
『風都探偵』椛島洋介監督、影響を受けたのはロボットアニメ界の巨匠の大張正己「描き方を開発された」

劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』イベントWビギンズナイトに登壇した椛島洋介監督(C)2024「風都探偵」製作委員会


 劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』が期間限定で劇場公開中。大ヒット記念で19日に新宿バルト9にて、Wビギンズナイトが開催された。



【動画】劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』の大ヒット御礼PV



 2009年9月から2010年8月にかけて、平成仮面ライダー第11作目として放送された「仮面ライダーW」の正統続編として2017年8月から「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載を開始し、累計発行部数240万部を超えたマンガ『風都探偵』。2022年8月には仮面ライダー史上初のシリーズアニメ化され、幅広い世代から人気を得た。本作では、主人公の左翔太郎(CV:細谷佳正)と相棒のフィリップ(CV:内山昂輝)が仮面ライダーWとして戦うきっかけとなったエピソード・ビギンズナイトを描く。キーパーソンとなる翔太郎の師匠・鳴海荘吉のキャストには津田健次郎が配役された。



 現在上映中の劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』と2009年公開の『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』の2本立て上映、そして椛島洋介監督、田崎竜太監督(※崎=たつざき)によるW監督トークショーを実施。MCはエグゼクティブプロデューサーである塚田英明氏が担当した。



 映画本編の上映後、椛島監督、田崎監督、塚田プロデューサーが登壇。塚田プロデューサーが前説として、『MOVIE大戦2010』の『仮面ライダーディケイド 完結編』を話題に出し、客席からは大きな笑いと拍手が。『仮面ライダーW』で園咲琉兵衛を演じた寺田農さんが、屋台のシーンの撮影で長時間待たされて怒っていたという、映画の撮影秘話も飛び出した。



 劇場版『風都探偵』の感想について聞かれた田崎監督は「撮影現場の緊張感とかも思い出され、いろいろなものを吸い込んでリジェネレーションしていただいたなという気がして。椛島監督の『W』に対しての愛がすごく出ていて、ビックリしたと同時にうれしかった」と語った。



 椛島監督は『仮面ライダーW ビキンズナイト』を研究し、仮面ライダースカルとタブー・ドーパントが戦った場所のロケ地の完全再現を目指したと明かし、田崎監督がスカルの足元の通路に隠れている翔太郎のシーンの構図、カメラアングルの再現度の高さを絶賛。それを受けて椛島監督は「いつもの僕だと、(翔太郎がいる)通路と(スカルがいる)上の部分を一体化してくれとオーダーするんですけど、今回はあえてやらずに。ただ、翔太郎が見上げているシーンはタービンの下にカメラを入れていて。あれは3Dならではのアングルかなと」と話した。



 翔太郎にとっての荘吉のように、影響を受けた人について聞かれた椛島監督は、「アニメーターの大師匠」として、ロボットアニメ界の巨匠である大張正己を紹介し、「ロボットなのに腕や足に筋肉のラインを感じるフォルムの描き方を開発されて、今もなおその技術で描かれているから、現在のロボットの作画はカッコいい」と、すごさを熱弁した。



 田崎監督は、喜劇映画の名手である瀬川昌治監督と、『仮面ライダーBLACK』などに携わった小林義明監督の名前を挙げ、特に瀬川監督からは人物の動かし方の基礎などを見て学んだと話した。



 椛島監督は弟子的な存在として、劇場版『風都探偵』のメインアニメーターの一人である木村和貴を、「仮面ライダー作画監督頭」として紹介。「僕に近いライダーを描いてくれて、アニメーターとしてもすごく優秀で、スカルの変身シーンからアントライオン戦の原画を描いてくれたんですけど。僕の意志を全部くみ取ってくれて、彼がいたから今回の仮面ライダーの作画が安定したところもあるので、彼を基軸に後進を育てていきたいです」と、今後の展望を語った。



 田崎監督は、若い監督が続々とデビューしている仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズ、京都撮影所の状況に言及し、「特撮がお好きな方は、注目いただくといいんじゃないかなと思います。僕は特に若い人には何かしているわけではなくて、一緒に飲むくらいですけど(笑)」と笑いを誘いながらも後輩たちの活躍をアピールした。



 もうすぐ監督デビュー30周年を迎える田崎監督は「女性スタッフがものすごく増えて、男女比がだんだんイーブンに近づいてきた」と撮影現場の変化を語り、椛島監督も「一枚描いていくらという世界だったのが、最近はどこの会社も社員雇用をするようになってきた」と、アニメ業界の現状を話した。



 田崎監督は「15年前の映画も愛してくださって、本当にありがとうございます」と、ファンへの感謝を伝えた。椛島監督は、自身が着てきた劇場版『風都探偵』仮面ライダースカルTシャツを見せながら、劇場物販と23日開催の生コメンタリー上映をアピール。「『あれ話せばよかったな』と、終わってから思い出すこともあるので、気になる人はXで絡んでください」と話し、笑いと拍手に包まれてイベントは幕を下ろした。

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