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やり投げ北口榛花、流行語大賞授賞式で珍名言「名言を残すのは難しい」 まさかのワードがトップテン入り
2024年に最も話題を集めた言葉を決める『現代用語の基礎知識 選 2024ユーキャン新語・流行語大賞』が2日に発表され、「年間大賞」に今年1月期に放送されたTBS系金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』が選出され、トップテンにパリオリンピックの陸上女子やり投げで日本人史上初の金メダルを獲得した北口榛花の「名言が残せなかった」が選ばれた。
【動画】やり投げ・北口榛花「名言が残せなかった」流行語大賞トップテン入り 授賞式で珍名言も「名言を残すことが難しかったパリ五輪」
受賞理由は「名言を残さなくてもいいんです、北口選手。たしかに、オリンピックのメダリストの方々がその瞬間に生む名言は、スポーツに詳しくない層にまで感動を刻んできた。選手が話したことばは、競技の記録とともに、人々の記憶に残る力がある。さて、オリンピック・パリ大会。北口榛花(はるか)選手は、陸上女子やり投げにおいて自己ベスト記録の65メートル80センチで金メダルを獲得。日本の陸上女子、マラソン以外のフィールド種目で初の快挙をなし遂げた。そんな北口選手に名言はいらない。しなやかな身体からダイナミックに放たれたやりの高い放物線と、そのあふれる明るいお人柄。これら全てが『女子やり投げの北口榛花』として私たちの記憶に強く強く残っているのですからという内容だった。
同日に都内で行われた授賞式に出席した北口は壇上で「オリンピックで、いろいろ話題に取り上げていただいた中で、まさかテレビで報道されていない会見上で言った言葉がノミネートされたことに驚いています。ここまで来ちゃったことにびっくりしています」と話した。小さい頃からオリンピックを見て、選手に憧れを抱くと同様に言葉にも感銘を受けてきた。それだけに「いつかは名言を残したい」という思いも強くなったそう。しかし、トップテン入りしたのは「名言を残せなかった」だった。「いつかは名言を残したかった」と悔やみつつ「コンプライアンスを考えて名言を残せなかったのではなくて、ただたんに疲れていたのと、競技が終わった後に日本語、英語、チェコ語で順番にインタビューを受けていたので冷静に話さないと何語をしゃべっているのかわからなくなっちゃう…。自分の気持ちを、もっとストレートに話せたのではないか、という気持ちもあって、名言を残せなかったことが悔いに残っています」と裏話。現在も取材を多く受けるが「『名言を思いつきましたか?』とお話をいただくんですけど…。名言を残すのは難しいと身にしみて感じたパリオリンピックでした」と笑っていた。
トップテンには、「裏金問題」「界隈」「初老ジャパン」「新紙幣」「50-50」「Bling-Bang-Bang-Born」「ホワイト案件」「名言が残せなかった」「もうええでしょう」が選出された。
同日に行われた授賞式には、やり投げの北口榛花や『不適切にもほどがある!』に主演した阿部サダヲが出席。フォトセッションでは、少しだけ関係者がまごついた隙を見つけると、審査員をつとめたやくみつるが北口と阿部にサイン攻め。2人も気前よく応じ、やくは歓喜のガッツポーズを見せていた。
同賞は2023年12月1日から24年11月30日までに発生したさまざまな新語・流行語の中から、より軽妙に世相を衝いたもの、また強烈なインパクトで世上に喧伝されたものに対してその新語・流行語の発生源周辺の人物・団体を顕彰するというもの。
選考委員は、金田一秀穂(杏林大学教授)、辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)、パトリック・ハーラン(お笑い芸人)、室井滋(俳優・エッセイスト・富山県立高志の国文学館館長)、やくみつる(漫画家)(50音順)、大塚陽子(「現代用語の基礎知識」編集長)。
■『現代用語の基礎知識 選 2024ユーキャン新語・流行語大賞』
【裏金問題】
2023年末、自民党派閥政治資金パーティー問題がマスコミに報じられて以来、今年も日本政治は裏金一色。安倍派から非安倍派へと疑似政権交代が行われたものの、国民の怒りは収まらない。10月に行われた衆議院選挙では「裏金議員」の6割が落選となり、与党過半数割れの結果となった。一方、野党は大幅増・躍進で沸いたものの、さて。裏金問題はほったらかしの状態だ。「上の意向に逆らえずに受け取った」って闇バイトじゃあるまいし。ノルマにキックバック、所得税納付はいったいどうなっているのでしょうか?そもそもなぜ裏金がそんなにもたくさん必要なのでしょうか?経緯も責任も明らかにされないまま「選挙で洗礼を受けた」で逃げていては国民の支持は得られまい。裏金問題はまだまだ終わっていないのだ。
【界隈】
同じものが好きな人同士でつながって楽しむような意味合いで、「界隈」が使われ始めた。もともとは地理的な範囲で「その辺り一帯」を意味する言葉だったのだが、新しい展開の流行語である。「仲間」とか「近い存在」といった、「共通の人びと」を指すように、「自然界隈」であれば山や川など自然のある場所を好む人たち、「水色界隈」であれば水色のファッションを好む人たち、といったぐあいである。そこからSNSでは「回転界隈」が話題になった。これは楽曲にあわせて、最初は正面を向いている人がその場で90度ずつ回転して、コーディネートの全体像を披露する動画。こういった発展も含めて、若者もおとなも、「○○界隈」を面白がっている姿がみられた。一般の語が、新たな展開で認識され、思わず使いたくなるような語として広まる。これこそが「新語・流行語」の醍醐味なのだ。
【初老ジャパン】
2024年夏季オリンピック・パリ大会。総合馬術団体で銅メダルを獲得した。馬術でのメダル獲得は92年ぶり。92年前、ロサンゼルス大会の馬術障害飛越で金メダルを獲得したのは、かのバロン西こと西竹一(にしたけいち)、太平洋戦争中に硫黄島で戦死したとされる軍人だ。この伝説的英雄に並ぶ偉業をなしとげたのが、平均年齢41.5歳の精鋭、愛称「初老ジャパン」。この愛称は自らの命名だそう。総合馬術、最終日3位で迎えた日本を思わぬアクシデントが襲う。愛馬のコンディション不良により人馬の交代を余儀なくされ20点が減点、5位に後退した。しかし、初老ジャパンの経験がこの逆境を跳ね返す。3人連続の障害物落下なしで完走、巻き返しに見事成功した。表彰式ではリザーブ選手も合わせて4人での登壇。ベルサイユ宮殿でイギリスのアン王女にメダルを授与された赤いジャケットの4人のアスリートは、初老のイメージを格段に上げてくれたのだ。
【新紙幣】
渋沢栄一が現代のビジネスマンだったとしたら。「しぶさわAIネットバンク」を設立されているかもしれない。津田梅子が今も長生きしていたら。スマホもらくらく使いこなしていらしただろう。さて、飛行機に乗るのもスーパーで買い物するのも、ピッピピッピと電子マネーが急速に浸透、給与さえデジタルで支払われつつある2024年7月3日。3名が新しい肖像としてあえてのお札で登場した。やっぱり紙幣はいいなあと北里柴三郎のキュートなホログラムを転がしながら考える。画面上の数字が増えたって「札束」の存在感にはかなうまい。前回の新紙幣発行は1984年。福澤諭吉先生お疲れ様でした。40年後、新紙幣は印刷されるのかしら。
【50-50】
最終結果は54本塁打、59盗塁の記録を残した。現実が記録の節目を軽やかに超えてしまう。50-50が報道されたときには、すでに51-51だったのだから。大谷翔平選手は2023年末、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍入団会見で「まず優勝することを目指し、優勝に欠かせなかったと言われる存在になりたい」と話し、ほんとうに1年めで実現してしまった。ワールドシリーズでも打つ走るはあたりまえ、パドレスのダルビッシュ投手から打てない姿さえも魅力に映る。昨年に続いてホームラン王。そして打点王と二冠。加えてトリプルスリー達成。2年連続3回目のMVP。これら偉業の前にはメモリアルも賞賛の言葉も追いつかない。2024年も日本全国SHOHEI OHTANI頼みの1年だった。
【ふてほど】
大手自動車メーカーの認証不正、パーティー券収入の収支報告書不記載など、2024年は不適切事案が目白押しであった。一方、昨今強化されているのがコンプライアンス。企業は顧客・株主への社会的責任はもちろん、従業員一人ひとりにもハラスメントだ、働き方改革だと配慮が求められる。集団優先、滅私奉公で経済成長時代を生きた昭和世代にとってはまさにタイムスリップしたかのような激変である。この、昭和の時代に置いて行かれた感を笑い飛ばしてくれたのが金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』。昭和の主人公が令和の社会で堂々と昭和のルール、人の道の原理原則を貫いて令和のルールに疑問符を投げかけながらも、対話することで物事を解決していく道を探る。時代がいつであれ、不適切なことは不適切なのだと教えてくれる。10月に行われた衆議院選挙、自民党の選挙公約が「ルールを守る」。国権の最高機関で法律を制定するセンセイ方の公約がこれ。不適切にもほどがありませんか?
【Bling-Bang-Bang-Born】
子どもも