【映画】
南沙良主演、武田綾乃原作『愛されなくても別に』映画化 7月4日公開決定

南沙良主演、武田綾乃原作、映画『愛されなくても別に』7月4日公開決定 (C)武田綾乃/講談社 (C)2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会


 俳優の南沙良が主演する映画『愛されなくても別に』が7月4日より劇場公開されることが発表された。原作は、『響け!ユーフォニアム』で知られる武田綾乃による同名小説。浪費家の母親に依存され、人生に一度も期待を抱いたことのない主人公・宮田陽彩(みやた・ひいろ)を演じた南は、「ただ生きることがこんなにも難しいこの世界で、未来を見ることが出来なくても、今を生き抜く力を持てたら、と強く思えた作品でした」とコメントしている。



【画像】映画『愛されなくても別に』場面写真



 “フツー”とはかけ離れた大学生活を送る宮田陽彩(南)は、学校に通いながら朝から晩まで寝る間もなくアルバイトや家事に追われる…母親に金を渡し、世話をするために。母親から暴力は振るわれないし、暴言もない。ただ「愛している」と言う言葉でしばられ、陽彩は緩やかな絶望と人生に対する期待のなさの中で生きている。そんなある日、同じバイト先の同級生、江永雅(えなが・みやび)と出会うことによって、陽彩の人生は大きく変わっていく――。



 陽彩役に起用された南は、三島有紀子監督作『幼な子われらに生まれ』(17年)で鮮烈なデビューを果たし、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18年)で、報知映画賞、ブルーリボン賞ほか、数々の映画賞を受賞し、その演技力が高く評価されている。主な出演作にドラマ『ドラゴン桜』『鎌倉殿の13人』『女神の教室~リーガル青春白書~』『君に届け』『光る君へ』、映画『女子高生に殺されたい』『この子は邪悪』(※主演)など。DMMTVオリジナルドラマ『外道の歌』、ABEMAオリジナルドラマ『わかっていても the shapes of love』も配信中。



■南沙良のコメント(全文)



 お芝居している中で、自分が不幸であることを他人との物差しとして用いてしまう陽彩を抱きしめてあげたくなりました。誰かと出会うこと、何かを失うこと、なにかを信じること。ただ生きることがこんなにも難しいこの世界で、未来を見ることが出来なくても、今を生き抜く力を持てたら、と強く思えた作品でした。



■武田綾乃作品初の実写化



 原作者の武田は、2013年、日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』で作家デビュー。続く『響け! ユーフォニアム』はテレビアニメ化され大ヒット。吉川英治文学新人賞を受賞した本作『愛されなくても別に』は、著作の中で初の実写化となる。



■監督・監督は日本最年少でカンヌ国際映画祭への出品を果たした井樫彩



 監督・脚本を務めるのは、井樫彩(29)。16年公開の短編映画『溶ける』が日本人最年少で「第70回カンヌ国際映画祭」シネフォンダシオン部門の正式出品を果たし、その後も映画『真っ赤な星』(18年)、『NO CALL NO LIFE』(21年)、『あの娘は知らない』(22年)ほか、ミュージックビデオ、ドラマ『隣の男はよく食べる』(23年)など数々の作品を手掛けてきた。



 長編映画4作目となる本作について、井樫監督は「映画にはならないような、劇的とは程遠い、表現という手段からこぼれ落ちてしまうような小さな小さな傷や痛み。それらをこぼすことなく映画に閉じ込めたい、と思いながら制作しました」と語る。「だって、学生の時にわたしは陽彩と同じく“わたしの苦しみは大したことじゃないんだな”と思ったから。でも、苦しみや痛みは、大きさで測れるものではないし、誰かと比べるものではないと今はわかっている。 “愛されなくてもいい”と言いながらも他者の手を取り、握ってしまうような……『心』は一辺倒ではない。愛も苦しみも、とてもグラデーションのあるものだと思うから」と自身の思いを重ねる。オリジナル作品をフィルムライクな映像表現で描きながら、若者たちの言葉で表現しづらい心情を見事に映像化する手腕を本作でも遺憾なく発揮した。



 主演の南について井樫監督は「南さんとご一緒するのはABEMA短編映画『恋と知った日』以来、2度目でした。 彼女の魅力はたくさんありますが、その1つは内に秘めた感情を実感を伴って表面に出すことができること。陽彩という心の中でさまざまな感情が渦巻いている主人公を、言葉少なくとも繊細に表現してくれました」と、信頼関係を寄せている。



■企画意図:佐藤慎太朗プロデューサーのコメント



 物価や税金は高くなっているのに、給料は上がらず、新宿の歌舞伎町では「トー横キッズ」と呼ばれ、家に帰りたくない未成年たちがたくさんたむろしている。核家族化が進み、地域の交流も薄れ、家族という形態も変わっている。



 本作を企画した佐藤慎太朗プロデューサーは「社会問題をテーマにした題材はどうしても重たくなりがちですが、武田先生の描くこの物語にはそれだけではなく、作品全体を包み込む不思議なポップさがありました。原作が持つその独特な世界観を大切にし、なおかつ鑑賞後に清々しさを与えられるような映画にしたいと、井樫監督にこの企画を持ち込みました。同年代で同じ時代を生きてきた井樫さんとだからこそ、この映画が作れたと思います。生きていくうえで不安や悩みはつきものですが、登場人物たちの勇気が、誰かに寄り添い、救うことを願います」と、映画化の意図を明かしている。



■ストーリー



 宮田陽彩(19)は、“クソ”のような大学生活を送っていた。大学に通い、それ以外の時間のほとんどを浪費家の母に変わっての家事とコンビニでのアルバイトに費やし、その中から学費と母と2人暮らしの家計8万を収める日々。遊ぶ時間も、金もない。何かに期待して生きてきたことがない。親にも、友人にも…。



 いつものように早朝にバイトを終えた宮田は、母のために朝ご飯を作り、家事をした後に大学に登校していた。そこで大学の同級生であり、バイト先の同僚でもある 江永雅(えなが・みやび)(24)のひょんな噂を耳にする。威圧的な金髪、メイク、ピアス──バイト先ではイヤホンをつけながら接客する、地味な宮田とは正反対の彼女の噂。「江永さんのお父さんって殺人犯なんだって」。他の誰かと普通の関係を築けないと思っていたふたり。ふたりの出会いが人生を変えていく――。

関連記事


最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース