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【TAAF2025】『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、監督が感謝「ファンの皆様に育てていただいた映画」 個人賞でも製作陣が3部門で受賞

国際アニメーション映画祭『東京アニメアワードフェスティバル 2025(TAAF2025)』の授賞式が13日、都内で行われ、各受賞賞が発表された。劇場アニメ『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が、『アニメ オブ ザ イヤー』〈アニメファン賞〉を受賞。さらに本作の製作陣が〈個人賞〉3部門で受賞した。
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「アニメファン賞」は、ファンによる投票総数2万1316票の中から選ばれた2024年もっとも愛された作品を表彰するもの。〈アニメファン賞〉受賞にあたり登壇した古賀豪監督は、「本作は本当にファンの皆様に育てていただいた映画」と表現し、「ファンの方たちが非常に真摯に作品を愛してくれまして、この作品をきっかけに水木しげる先生の他の著作もちゃんと読む、そのような感じに広まっていってくれております」と本作特有のムーブメントがあることを明かした。本作が原作者の水木しげるさんの生誕100周年記念映画として製作されたことに触れ、「水木先生が激動の100年を生きて、身をもって残してくれた作品を、若い方へ受け継いでいく。そういうバトンにこの作品がなれたのであれば非常にうれしいなと思いますし、若い方々がそうやって真摯に取り組んでくれてるっていうことは、未来もまま明るいのではないかと希望を持てました」と。時代を超えたバトンとなったことへの思いを語った。
また〈個人賞〉でも本作の製作スタッフが3部門で受賞。「原作・脚本部門」を受賞した脚本の吉野弘幸氏は「賞を欲しいわけじゃないし、賞のために書いてないし、別に賞をもらったからって言ってアニメがヒットするわけじゃないし、僕にとってずっと賞というのは酸っぱいブドウだったわけですが」としつつも、「いざこうして賞をいただいてみると、発表されたときに周りの人からは『おめでとう』。そして久々のプロデューサーからは『またなんかやろう』みたいな話をいただき、『やっぱこのブドウ甘い?』という感動に浸っております」と心境の変化を明かした。
「美術・色彩・映像部門」を受賞した美術監督の市岡茉衣氏は、「お前にはもったいない」という言葉もあったことを明かし、制作スタッフに感謝の言葉を述べたあと、最後に「『お前にはもったいない』と言った美術監督に抜擢してくれた社長に感謝を伝えたい」と一転して感謝の言葉に変えあいさつ。
「アニメーター部門」を受賞したキャラクターデザイン・総作画監督の谷田部透湖氏は、「この度はこのような賞をいただけて大変うれしいです」としつつ、「アニメの仕事を始めまして10年になるんですけど、個人のアニメーターとしての仕事をこうして注目していただいたことはほぼ初めてだと思います。なので、この受賞の知らせを聞いたときは大変驚きました」と驚きが大きかったことを吐露。「制作の初期から公開の直前ギリギリまで、最初から最後までめいっぱい関わらせていただいた、個人的にもとても思い入れのある作品なので、その作品を通してこうして自分の仕事が評価していただいたことが大変感慨深いです」としみじみ語り、「支えてくださった、観てくださった皆さん、そしてアニメの世界を支えてくださってる皆さん全てに感謝したいと思います」と感謝を述べた。
本作は、2018~2020年まで放送されていたテレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6期をベースに映画化したもので、知っているようで知らない、“鬼太郎の誕生”について隠された謎に迫るストーリーを描き、鬼太郎の父と人間・水木がW主人公となっている。2人が立ち向かった運命の切なさ、さらにバトルシーンの迫力などが大きな話題となり、2023年11月に公開され、興収27.9億円/総動員数195万人を記録。2024年に32.2億円まで興収を伸ばした。2024年には、第47回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞、6月にはフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン部門にノミネートされた。
東京アニメアワードフェスティバルは、2025年で12回目の開催を迎える国際アニメーション映画祭。日本国内で未興行の世界のアニメーション作品を対象にした「コンペティション部門」、日本国内で発表されたアニメーション作品を対象とした「アニメ オブ ザ イヤー部門」、アニメーション業界に貢献された方々を顕彰し、先人達の歴史、技術、生き様を伝える「アニメ功労部門」を中心に、その他招待作品の上映やシンポジウム、子ども向けのワークショップなどを実施。新たな人材の発掘・育成、アニメーション文化と産業の振興に寄与すること、及び東京の魅力を発信し、東京の観光振興に資することを目的に開催されている。
『東京が、アニメーションのハブになる。』を合言葉に、高いクオリティとオリジナリティに富む世界中の作品を東京で上映することで、世界中のアニメーションを愛する人々との交流を図り、クリエイターや観客に刺激と感動を提供し、そしてその感動や刺激を糧にアニメーションの新たな波を東京から世界へ発信していく。
■『東京アニメアワードフェスティバル 2025』の受賞者・受賞作品
【コンペティション部門】
▼長編アニメーション
・『ボートインザガーデン(A Boat in the Garden)』(グランプリ)
・『クラリスの夢(Clarice's Dream)』(優秀賞)
▼短編アニメーション
・『一人ぽっちの洗濯(Loneliness & Laundry)』(グランプリ)
・『クマと鳥(The Bear and the Bird)』(優秀賞)
▼豊島区長賞
・『ピエトラ(Pietra)』
▼学生賞
・『ヨビとアマリ(Yobi and Amari: Story of Spares)』
▼東京都知事賞
短編・長編グランプリ作品に授与
【アニメ オブ ザ・ イヤー部門】
▼作品賞
・『葬送のフリーレン』(TVシリーズ部門)
・『ルックパック』(劇場映画部門)
▼個人賞
・原作・脚本部門:吉野弘幸(代表作:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』脚本ほか)
・監督・演出部門:押山清高(代表作:『ルックバック』ほか)
・アニメーター部門:谷田部透湖(代表作:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』キャラクターデザイン・総作画監督ほか)
・美術・色彩・映像部門:市岡茉衣(代表作:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』美術監督ほか)
・音響・パフォーマンス部門:エヴァン・コール(Evan Call)(代表作:『葬送のフリーレン』音楽ほか)
▼アニメファン賞
・『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
【アニメ功労部門】
・岩崎正美(プロデューサー 代表作:『ムーミン』『太陽の牙ダグラム』ほか)
・吉井孝幸(プロデューサー 代表作:『クラッシャージョウ』『勇者エクスカイザー』ほか)
・友永和秀(アニメーター 代表作:『ルパン三世 カリオストロの城』『リトル・ニモほか)
・野中幸子(色彩設計 代表作:『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』ほか)
・掛須秀一(編集 代表作:『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『COWBOY BEBOP 天国の扉』ほか)
・鈴木清司(音楽監督 代表作:『ゴルゴ13』『それいけ!アンパンマン』ほか)
・堀内賢雄(声優 代表作:『機動戦士ガンダムZZ』マシュマー・セロ役ほか)