【映画】
金子雅和監督作『光る川』、ポルト国際映画祭オリエントエクスプレス部門最優秀作品賞を受賞

ポルト国際映画祭オリエントエクスプレス部門最優秀作品賞を受賞した映画『光る川』金子雅和監督


 ポルトガルで開催された世界三大ファンタステック映画祭の一つ、「ポルト国際映画祭(ファンタスポルト)2025」(2月28日~3月9日)のオリエントエクスプレス部門(Orient Express OFFICIAL SECTION)に出品された、金子雅和監督の映画『光る川』が、最優秀作品賞を受賞した。



【動画】映画『光る川』予告編



 同映画祭は、ポルトガル第二の都市であり世界遺産の街・ポルトで毎年開催される国際映画祭で、1981年創設。シッチェス・カタロニア国際映画祭、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭と共に、世界三大ファンタスティック映画祭と称されている。第45回となる今年は世界71の国・地域から長編・短編あわせ1800作品のエントリーがあり、その中から厳選された約100作品が上映された。



 メインコンペティションの過去のグランプリ受賞監督には、デヴィッド・クローネンバーグ、ピーター・ジャクソン、ギレルモ・デル・トロ、ダニー・ボイル、デヴィッド・フィンチャー、ウォシャウスキー兄弟、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥなど世界の名だたる巨匠が名を連ねている。



 今回のオリエントエクスプレス部門は、同映画祭のファンタジー長編映画部門、および監督週間部門に選出されている作品の中からアジア映画の最優秀作品を競うコンペティションで、『あのコはだぁれ?』(清水崇監督)、『ドールハウス』(矢口史靖監督)、『THE KILLER GOLDFISH』(堤幸彦監督)などの日本映画や、台湾、マレーシア、中国、シンガポール、フィリピンの計16作品で賞が競われ、『光る川』が最優秀作品賞に選ばれた。同作は昨年11月に行われた第62回ヒホン国際映画祭でのユース審査員最優秀長編映画賞に続く受賞となった。



 金子監督は「川を中心とした美しい街・ポルトで、川を舞台にした日本映画『光る川』が上映されたことにまずは大きなご縁を感じましたし、一種の“巡礼の旅”とも言える映画内容が、キリスト教三大聖地のひとつサンティアゴ・デ・コンポステーラへ至る巡礼路にあるポルトの皆さまに、しっかりと受容されている手応えを感じました。結果、本映画祭に選出されたアジア映画の最高賞、ジャンル映画ではないこの作品に最も相応しい賞を授けていただき、大変光栄です」と喜びを語っている。



 『光る川』は、川や山といった圧倒的なロケーションと民俗学・美術等に裏打ちされた世界観により、現代人が忘れかけている自然への畏怖や人間の根源にある生命力を描き出す作風で国内外から注目を集めている金子監督の長編3作目。



 無垢な少年の眼差しを通し、現代化への分岐点となる高度経済成長期、そしてさらに昔、まだ人が自然への畏怖を持っていた時代が交錯して描かれる。少年が目撃する里の娘と木地屋の青年の関係性には、支配的な社会制度から解き放たれた世界へ向かおうともがく様が描写され、疲弊する現代人への原点回帰的なメッセージが秘められている。



 物語の根幹を支える女性・お葉を演じるのは、Netflix映画『シティーハンター』でくるみ役を演じた華村あすか。お葉との悲恋の相手・朔は、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』で注目された葵揚。物語の眼差しとなる少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎を子役の有山実俊が一人二役で演じている。足立智充、山田キヌヲ、堀部圭亮、根岸季衣、渡辺哲らが脇を固め、『リング・ワンダリング』に続き安田顕が出演している。



 同映画は、3月22日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開(配給:カルチュア・パブリッシャーズ)。



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