
【映画】
福本莉子インタビュー: 映画『お嬢と番犬くん』撮影現場ではジェシーのコメディセンスが支えに

公開中の映画『お嬢と番犬くん』は、極道の孫娘であることを隠し、“普通の青春と恋”をすることを固く心に決めた高校生のヒロインと、彼女のお世話係で過保護すぎるがゆえに年齢詐称をして高校に裏口入学までしてしまう若頭との恋愛模様を描いた溺愛ロマンティックコメディ。はつはる氏による漫画が原作で、テレビアニメ化もされた人気タイトルだ。
【画像】映画『お嬢と番犬くん』場面写真
瀬名垣組の孫娘・瀬名垣一咲(せながき・いさく)を福本。瀬名垣組の若頭・宇藤啓弥(うとう・けいや)を男性アイドルグループ・SixTONESのメンバー、ジェシーが演じている。
俳優・福本莉子のインタビュー後編は、映画『お嬢と番犬くん』での役作りやダブル主演として共演したジェシーとの撮影を振り返ってもらった。
■“普通の青春”に憧れるヒロイン・一咲役へのアプローチ
――一咲の個性をどのように捉えて演じられましたか?
【福本】一咲は極道の孫娘で、世間慣れしていない女の子です。幼なじみの啓弥とは子どもの頃から一緒に育ってきたので、彼の前では何でも話せるし、突っ込みも入れるし、毅然とした態度をとることもあるんです。でも、一歩外に出て学校に行くと、内気で控えめな性格になるので、ギャップが大きい女の子だと感じました。
――演じるにあたって、プレッシャーや楽しみはありましたか?
【福本】一番のプレッシャーは、やはりビジュアルの違いですね。漫画で描かれている一咲は、もっと大人っぽくて綺麗なイメージがありました。また、普段からわりとハキハキ話すタイプの私にとって、可憐で繊細な一咲の雰囲気を出せるかどうかも心配でした。
――一咲のキャラクターに寄せていくのは難しかったですか?
【福本】クランクインしてから監督と話し合い、ちょっと上目遣いで、相手の様子をうかがうような姿勢を“一咲のデフォルト”として意識するところから始めました。話し方や立ち振る舞いなど、細かい部分を積み重ねて一咲を作り上げていきました。
――一咲は「普通の高校生活」や「普通の恋愛」に憧れを抱いているキャラクターでしたが、共感できましたか?
【福本】共感しました。共学で、同じクラスの男の子と両想いになって、制服デートをして…というのが憧れでした。私自身は女子校だったので、文化祭や運動会などの行事も女子だけで過ごしました。もちろんそれもすごく楽しかったんですが、「共学の高校生活ってどんな感じなんだろう?」という憧れはありました。特に、中学生のときは、高校生になったら、恋愛も勉強も充実したキラキラした青春を夢見ていましたし、一咲も憧れていたと思います。
■初挑戦の本格コメディに奮闘
――ジェシーさんと初共演された印象はいかがでしたか?
【福本】最初は、バラエティ番組などで見ていた“明るくてユーモアがある”イメージが強かったんです。でも、啓弥は寡黙でクールな役柄だったので、撮影の初期は現場でもクールな印象でした。「思っていたジェシーさん像と違うな」と驚きましたが、撮影が進むにつれて、次第にジェシーさん節が出てきて(笑)。例えば、教室のシーンで「マイケル・ジョーダン似じゃん」というせりふがあるんですが、そこで「下段、中段、上段!」とボケて、みんなをドッと笑わせて。現場の空気をすごく和ませてくださいました。
――コメディシーンにも挑戦されていますが、いかがでしたか?
【福本】本格的なコメディシーンに挑戦するのは今回が初めてだったので、とても不安でした。以前、『センセイ君主』(2018年)という作品で少しだけコメディシーンを演じたときは、ホテルの鏡の前で一晩中練習したくらいです(笑)。今回は、ジェシーさんと本読みの段階からしっかり練習して、テンポや間合いを作っていきました。漫画のシーンをそのまま再現する場面もあったので、原作の一咲の表情を参考にしつつ、自分なりのアレンジも加えました。コメディシーンの表情に悩んでいたときに、ジェシーさんに「一度やってもらえますか?」とお願いして、その演技を参考にさせてもらったこともありました。ジェシーさんに助けてもらいながら、思い切って演じることができました。
――ジェシーさんとの“身長差キュン”も話題ですね。
【福本】あの“上目遣い”が意外と大変だったんです(笑)。“一咲のデフォルト”として意識していた上目遣いが、高身長なジェシーさんに合わせると、さらに視線を上げる必要がありました。今回、ジェシーさんは極道の若頭役ということで、筋トレをして完璧な体作りをされていて、漫画の第1話でも印象的な一咲を持ち上げるシーンも、すごくかっこよく仕上がっています。
――お気に入りの胸キュンシーンは?
【福本】放課後の教室で文化祭の出し物の「ロミオとジュリエット」のせりふを引用しながら2人の距離がちょっと近づくシーンがお気に入りです。教室でのバックハグというのが、グッときますよね(笑)。
――福本さんご自身の文化祭の思い出はありますか?
【福本】クラスの出し物で「お化け屋敷」をやったときは、顔を真っ白に塗って、黒目が小さくなるカラコンを片目だけつけて、お化け役に扮し、怖がらせようと頑張ったことがあります(笑)。
――そうした経験も、今の演技に活きているのかもしれませんね。
【福本】そうかもしれませんね。私が通っていた学校は、文化祭や体育祭、合唱祭など、どの行事にも全力で取り組むのがモットーのような学校でした。映画の撮影現場も同じで、みんなで力を合わせることが作品作りにはとても大切なんだと、あらためて感じています。
撮影:山崎美津留※崎=たつさき
ヘアメイク:伏屋陽子(ESPER)
スタイリスト:武久真理江