
【その他】
卒業アルバム、写りの悪さを笑って誤魔化した経験「嫌な思い出として深く残る」 突き詰めた“メイク研究”で変わった見た目への考え方

さまざまな有名人に似せたものまねメイクは、SNSでも度々注目を集めている。HIMARIさんが投稿した半顔で左右異なる芸能人のメイクを施すモノマネメイク動画は、667万回再生され、「メイクの凄さがわかる」「上手すぎて尊敬する」「ほんとに天才」などと多くの反響が寄せられた。「メイクの可能性を伝えたい」という思いから、SNSでメイクの発信をしている彼女だが、メイク研究前はつり目やにんにく鼻など、多くのコンプレックスを抱えていたという。モノマネメイクをはじめたきっかけやコンプレックスを乗り越えた方法について、投稿者・HIMARIさんに話を聞いた。
【写真】コンプレックスの塊だった卒アル時から目は倍に、鼻筋も誕生…HIMARIさんの垢抜けビフォーアフター
■「メイクの可能性を伝えたい」たどり着いた“半顔モノマネメイク”という手法
――SNSで披露されているさまざまな芸能人の半顔モノマネメイクは、「メイクうますぎる」「本当に天才です」と投稿されるたびに話題になっています。このような反響をうけていかがでしょうか?
【HIMARIさん】何よりも、何者でもなかった私が多くの人に認知していただいていることは、本当にありがたいと感じていますし、いまだに実感は湧いてないです。周りの方が知ってくれていたり、初めて会う人に声をかけていただいたり、本当に恐縮です。また、数百万再生を超えるコンテンツが複数あり、多くの方に楽しんでいただいていることに感謝しています。ただ、欲を言えば、「動画を見たことはある。知ってる!」とは言われるのですが「誰か」はわからないと言われることが多く、HIMARIとしての認知をもっと増やしたいと感じています。私のコンテンツを通じて、私の過去や思いを知ってファンになってくれた方達がメイクの可能性を感じたり、メイクに関心を持ってくれたり、垢抜けの一歩を踏み出したという報告をもらえることが何よりも幸せです。しかし、自分の伝えたいことと、実際の大部分の視聴者の受け取ることに大きなズレがあることも最近実感しました。
――どのような部分にズレを感じたのでしょうか?
【HIMARIさん】メイクの可能性を伝えたいのに、似ている・似てない、すごい・すごくないと、もちろんコメントをしていただけるだけで嬉しいですが、そういうコメントが多いと、すごいと思われたいという承認欲求でやっているわけではないので、自分のコンテンツは伝えたいものを届ける最適解ではないのではと最近実感させられます。反響が大きくなったことによりリクエストをいただく方も増え、結婚などの速報が出るとアップロードのプレッシャーが大きく、研究に時間をかけ、撮影を始めるまでに時間がかかることも多くなりました。
――そもそもSNSで発信したきっかけは?
【HIMARIさん】元々は、コンプレックス解消や美容tipsを紹介していたのですが、当時撮影も編集も下手くそで、何よりありきたりなコンテンツで、再生数があがりませんでした。そこで、コメント欄に来ていた「TWICEのサナちゃんに似ている」というコメントをみて、モノマネメイクをしてみました。当時モノマネメイクはあまりなく、世界観メイクやコスプレのような誇張したメイクしかなかったため再現性のあるモノマネメイクとして、たくさん反響をいただきました。思い返してみると、自分がメイクを始めた時にギャル雑誌で見ていた大好きな人のメイクや表情までモノマネメイクのように真似していたなと。そこから、私は実際に垢抜けられたし、自分の好きな人に少しでも雰囲気が近づくと自分が少し可愛く見えて嬉しかったなと思い出しました。何よりサナちゃん風メイクを通して自分自身も新たな発見がたくさんありました。
――その経験から、半顔メイクにつながるわけですね。
【HIMARIさん】はい。"モノマネメイク(〇〇風メイク)"は、私の分析技術を伝えつつ、メイクの可能性をより多くの人に楽しく伝えられ、よりわかりやすく「みんなのなりたい」を表現できる最適なコンテンツだと考え、モノマネメイク(〇〇風メイク)の人として発信の方向性を変えました。最初は一人の顔を再現し、再生数が増えていきましたが、TikTokユーザーが増えるにつれて、動画の再生数が上がりにくくなりました。そこで、より1つの動画内の情報量を増やすために半顔メイクを始めました。また、時事ネタは関心が高くコメントが盛り上がる点に着目し、「ケミ」を意識した撮影企画を行うようになりました。結果、1つの動画内で、雰囲気の違う顔がメイクで作れることも表現できるようになりました。
■小学校の卒業アルバムを見ることに嫌悪感…メイク研究でコンプレックス解消
――まだメイクを研究する前、HIMARIさんがコンプレックスを抱いていた部分やパーツなどはございましたか?
【HIMARIさん】コンプレックスは、本当にたくさんありました。私はもともと、腫れぼったくて小粒なつり目に、大きくて存在感のある“にんにく鼻”、とんがった唇に、アンパンマンのようにふくらんだ頬、おたふくのような下ぶくれの輪郭。そして、垂れ下がった眉毛です。特に印象に残っているのは、小学校の美術の時間です。自画像を版画で描く授業があったんですが、鏡を見ながら下書きをしていたとき、自分では「美術が得意なわけじゃないのに、すごく雰囲気が出てる」と思うくらい、そっくりな絵が描けました。でも、完成した絵を見たとき、そこに写っている“自分”が、あまりにも不細工に見えてしまって(笑)。 誰にも何も言われていないのに、自分で「私ってやっぱり可愛くないんだな」と思いました。周りの友達も目が大きく、小柄で顔も小さい子が多かったので、写真を撮るたびに、自分だけ存在感が大きく今思えばあまり、写真を撮られるのも好きじゃなかった気がします。
――周囲からの言葉や態度で傷ついたことや精神的に辛い経験などもあったのでしょうか?
【HIMARIさん】小学校の卒業アルバムの写真を見るのが本当に嫌でした。笑顔で写っていたはずなのに、あとから見返すと「こんな笑顔ブスなんだ…」と思っていました。卒アルを配られた時にある男の子に「この顔やばっ」と笑われたとき、自分も認めざるを得なくて、笑って誤魔化したのも嫌な思い出として深く残っています。そこから少し前まで、いつか卒アルの写真などが晒されるのではないかと怖かった時期がありました。ひとつひとつの経験が積み重なって、もともと男勝りなのもありましたが、より一層そういうキャラでいた方がいいという感覚が強くなった気がします。そういう経験が重なって、美容や「可愛い」に対して抵抗が強くなっていきました。
――メイクを研究する上でコンプレックスを解消したエピソードがございましたら、おすすめのメイク方法とともに教えてください。
【HIMARIさん】私は、サナちゃん風の三角シャドウのメイクと涙袋のメイクを研究したことで、自分の小粒で釣り上がった目と、面長で目の位置が高いのを克服しました。涙袋があることで、縦幅拡張と目線が下にいき、三角シャドウと涙袋を「ハ」の字にする事で、垂れた優しい印象と、横幅を延長することができました。
――昨年には渡韓して、二重整形にも挑戦したHIMARIさん。見た目のコンプレックスに悩む方へ、どんな言葉をかけていきたいですか。あるいはどんな発信をしていきたいですか?
【HIMARIさん】人の目を気にしたり、自分のキャラなどに縛られて美容のハードルが高い人や、自信がなくて自分自身に対して諦めている人たちにとって、少しでも自分を愛おしく感じられる機会を作りたい、美容で誰かに寄り添い背中を押したい、自分の可能性を感じて人生を主体的にポジティブに楽しんでもらえるような発信をしていきたいです。誰かに否定されても気にしないでほしい、私があなたを肯定する、メイクでなりたいは作れるし、変わりたいなら世間の目は気にせずに挑戦してみてほしいと、伝えていきたいです。今後は、よりエンタメ性よりも具体的な解決方法の発信や、発信以外の美容や悩みに寄り添う、自分と向き合えるようなサービス、最終的には高校生からずっと追いかけている美容のテーマパークを作りたいと思っています。現在4月3日で2期目になる、freesiaという日本法人の会社を立ち上げ、運営しており美容のテーマパークという目標・野望に向けて一歩ずつ進んでいます。