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ドラマライターの予想は?今年の「百想芸術大賞」作品賞ノミネートの名作韓国ドラマ5選!【ハングクTIMES Vol.201】

『ソンジェ背負って走れ』(C)CJ ENM Studios Co., Ltd.


韓国の数ある授賞式の中でも、映画・テレビ両方を扱った唯一の総合芸術賞であり、長い歴史と信頼ゆえに「韓国の演技者たちが最も受賞したい賞」とも言われる「百想芸術大賞」。視聴率や話題性だけではなく「芸術性」の観点から審査されるため、受賞はおろかノミネートされるだけでも栄誉なこと。



【写真】日本では未配信…“高品格ドラマ”『こんなに親密な裏切り者』



5月5日の授賞式を控え、本記事では、そんな「百想芸術大賞」の中でも最も注目度が高いとも言える「作品賞」に今年ノミネートされている、選ばれし韓国ドラマ5作品を、ドラマライターであり百想オタクの筆者の受賞予想も交えてご紹介します!授賞式前にぜひチェックしてみてください!



■『おつかれさま』



作品賞、脚本賞、男女最優秀演技賞(IU、パク・ボゴム)など、今回最多となる8部門でノミネートを果たし、放送部門の最高賞となる大賞候補として囁かれているのが、3月に感動のラストを迎えた『おつかれさま』。



本国では20%を超える高視聴率を記録し、「ドラマ史に残る名作」と謳われる『椿の花咲く頃』のイム・サンチュン脚本家と、『ミセン-未生-』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』といった数々の名作を生み出したキム・ウォンソク監督という、韓ドラオタにはたまらん最強布陣がタッグを組んだ一作です。



本作は、1950年代の済州を舞台に、済州島で生まれ、自らが与えられた運命に立ち向かうヒロインエスンと、彼女を一途に愛し続ける誠実な男グァンシクの冒険に満ちた一生を描く物語。



エスンとグァンシクの初恋を1~4話の“春”に盛り込み、夫婦が子どもを育てていく時期が“夏”に描かれるというように、全16話で1960年代から2025年までのある家族の約70年にもわたる歳月を描き出します。過酷な境遇でも腐らず前を向いて立ち向かっていく夫婦の、壮大なラブストーリーであり、家族の物語が展開していきます。



こちらまで思わず微笑んでしまう幸せな瞬間から、胸が張り裂けそうなほど辛い瞬間まで、彼らの人生史が濃密に描かれるのですが、妻、夫として、親として、そして誰かの子どもとして、誰もが自分の家族を思い浮かべて、共感して、涙してしまう…。全世代の心を震わせる脚本は、正直レベチの域!ラスト4話は、家族の絆と、無性の愛に嗚咽するほど大号泣してしまい、次の日はとんでもなく目が腫れました。なんですが、決して激重なわけではなく、たまにクスッと笑わせてくれるのも、さすがイム・サンチュン作家!



一方で、「頑張ったけど報われなかった」とか「誰かのために自分を後回しにした」経験を肯定してくれるような優しさが、ドラマ全体の「おつかれさま」というテーマに繋がってるのも秀逸すぎて…。韓国でも配信後から「歴代最高の名作」と大絶賛されていて、まさに百想が求める大衆性と芸術性を兼ね備えているので、個人的には今年の大賞は堅いのでは?と予想しています。



どの世代であっても苦労して生きてきた人々への、「おつかれさま」という慰めのメッセージに、心が震える今年の大傑作。観てない人はティッシュ一箱抱えてNetflixへダッシュです!



▼配信情報

Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中



■『こんなに親密な裏切り者』



そしてそんな『おつかれさま』の強力な対抗馬と見られているのが、2024年本国で圧倒的な高評価を得ていた『こんなに親密な裏切り者』です。



日本では放送はあるんですがまだ配信がなく、5作品の中では最も知名度が低いかなと思うのですが、韓国では、放送終了後から「演技、演出、脚本まで完璧な高品格ドラマ」「2024年最高のドラマ」と絶賛の声が相次ぎ、昨年末、韓国の映画誌『CINE21』が実施した、25人の映画評論家が選ぶ「2024年を輝かせたシリーズ」では、見事1位に輝いた一作。この中では唯一、地上波MBCで放送された作品でもあります。百想では、作品賞、演出賞といった作品関連の賞をはじめ、ハン・ソッキュが最優秀演技賞にノミネートされるなど、『おつかれさま』に次ぐ6部門でノミネートを果たしています。



本作は、韓国最高のプロファイラー(ハン・ソッキュ)が、自身が捜査している殺人事件と関連した娘の秘密を知り、凄絶に壊れながら深淵の中の真実を追うサスペンスドラマ。愛する子どもへの信仰と疑いの間で葛藤しながら、真実に向かって歩んでいく父親の物語です。



サスペンスドラマの醍醐味って“犯人探し”が大きいですが、本作はその面白さもさることながら、娘を疑う父親の心理サスペンス的要素がかなり大きい。娘を信じたい父親の心情と、事件の真相を追うプロファイラーの冷徹な視点が交錯し、“家族の絆”が試される展開に、ガッツリ感情を揺さぶられてしまうんです。観ているこちらも10話ずっと、彼の娘を疑い、信じて、また疑ってを繰り返し、何を信じれば良いのか疑心暗鬼になってしまう。



展開は決してはやくないんですが、事件の真相が少しずつ明らかになるたびに、新たなミスリードを招く仕掛けがあったりして、二転三転する展開が続くので、目が離せません。「誰が本当の裏切り者か」を追い続けるスリルを、ラストのラストまで緊張感途切れることなく味わえるのがスゴイ。



そして単なる謎解きサスペンスを超えて、崩れゆく家族の絆や信頼を通じて、裏切り、贖罪、親子関係について視聴者に絶えず考えさせる展開がまた、とてつもなく深いんです。心理サスペンスとしての完成度がバッチリ高いうえにメッセージ性まである。これまで百想の「作品賞」は芸術性や物語の緻密さを重視する傾向があるため、このドラマの重厚な脚本と演出はピッタリハマりそうだなと感じています。



個人的には、『おつかれさま』が大賞にあがると仮定するならば、本作が作品賞の最有力候補になるのでは?と予想しています。深い感情表現と繊細な演技で圧倒したハン・ソッキュの最優秀演技賞と、堂々とした演技を見せたチェ・ウォンビンの女性新人賞も有力かな?とみています。



■『ソンジェ背負って走れ』



上半期ラストにドラマオタを超絶夢中にさせた『ソンジェ背負って走れ』。百想では、作品賞をはじめ、脚本賞、最優秀演技賞(ピョン・ウソク、キム・へユン)、男性新人賞(ソン・ゴニ)など5部門でノミネート!ロマンスコメディジャンルで、百想の、しかも作品関連の賞までノミネートを果たすというのはかなり異例のこと!作品賞をはじめ、ソンソルカップルの最優秀演技賞ノミネートは、個人的にも小躍りするほどうれしかったです。



一見視聴率だけ見るとそんなに高くはないんですが、ドラマの台本集は予約販売だけで、3日間で約2万部を売り上げてベストセラー。ポップアップストアはあまりの人気に朝の5時から大行列という人気っぷり。SNSでの言及やYouTubeでの反応などをみても、視聴者のハマり度が半端なく深かった作品だったように思います。



本作は、ある日突然生涯を終えてしまった有名アーティストのリュ・ソンジェ(ビョン・ウソク)と、彼の死に絶望した熱狂的なファンのイム・ソル(キム・へユン)が、“推し”を生かすために時間を遡って2008年に戻るタイムスリップファンタジーロマンス。



「またタイムスリップかよ…」とややげんなりしてしまう気持ちは痛いほど分かるんです。筆者も観る前はそう思ってました。ファンタジーが超絶苦手な筆者がまずハマった要因は、主人公を演じるキム・へユン&ピョン・ウソクの没入度高めな演技力!正直この2人の演技力あってこその『ソンジェ背負って走れ』だったと。



筆者は1話冒頭、ソルが事故で生きる希望をなくして、ソンジェの言葉に救われるシーンでの、キム・へユンの演技が凄まじすぎて、フルマックスで感情移入させられ、一気に心つかまれてしまいました。ウソクもしかり、まさに作品を導く演技力を披露した彼女の最優秀演技賞ノミネートは、本当にうれしい(二度目)!



「推しとの恋」に沸き散らかしていたら、その夢物語をいい意味で華麗に裏切ってくる物語の奥深さ。回を重ねるごとに深まる謎と、練りに練られた何層にも重なったストーリーに、「面白すぎるだろうよ…」と、3話くらいからもうどっぷり沼へ…。



サスペンスの謎は入ってくるわ、号泣展開は待ち受けているわ、まぶしい青春ドラマはあるわで、視聴者をとりこにする脚本に脱帽…!なのに小ざかしいことはせず、各所でしっかり笑える“ラブコメ”に徹してるのも本当に良い!



超絶激甘な瞳でソルを見つめて、「愛してる」、「かわいいな」といったパワーワードの連続に、秒で沼に引きずり込まれ、後半はあまりの破壊力にもうヒィヒィ息切れしておりました(笑)。これまで報われない役も多かったがゆえに、ずっと見たかった“恋するピョン・ウソク”の全てが詰め込まれていて、本当に監督に感謝申し上げたいです(笑)。ときめきを摂取したいなら

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