
【映画】
石田ひかり「39年の俳優人生で初めての体験」 カンヌ国際映画祭参加に感慨、“主演”12歳・鈴木唯の存在感を称賛

映画『ルノワール』(英題:RENOIR)が現在開催中の第78回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミア上映され、監督・脚本を務めた早川千絵(48)、主演の鈴木唯(12)、石田ひかり(52)、リリー・フランキー(61)が参加した。
【写真多数】リリー・フランキー&石田ひかりが登場!レッドカーペットの模様
本作は『PLAN 75』で注目を集めた早川監督が脚本も手がけた新作で、最高賞である「パルム・ドール」を競うコンペティション部門に選出された唯一の日本映画。
17日(現地時間)に、『ルノワール』公式上映が行われワールドプレミアを迎えた。カンヌの真っ青な空の下、大勢のマスコミや観客があふれる中、レッドカーペットに登場したのは、早川千絵監督をはじめ、主人公・フキを演じた鈴木、フキの両親役の石田、リリー、そしてプロデューサー陣。
LEMAIREの黒いワンピースをまとった早川監督、Comme des Garcons Girlの白色のジャケットに、Comme des Garconsの赤色が映えるチュール&コットンのスカートを着こなし、圧倒的な存在感を示した鈴木。石田は、黒地に金やピンク色の桜の花びらが散りばめられた着物姿で登場。艶やかな姿に海外メディアから大歓声が沸き起こった。また、リリーはBERLUTIのミッドナイトブルー色のタキシードにサングラスを掛けて登場し、カンヌ常連の貫録を見せた。
レッドカーペットを歩く直前、鈴木は高揚感をおさえきれず飛び跳ねる子供らしい一面も。その後、満面の笑顔で両手を振りながら歩き始めると、次々呼びかけるメディアの声に堂々と対応。声を掛けられる度に大きく手を上げて、ポーズを決めた。上映会場の入り口に続く階段を昇る際には、リリーにエスコートしてもらい、本編さながらの仲睦まじい様子も垣間見えた。
ワールドプレミア上映が行われたパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレのシアター・リュミエールの約2300席は満席。本編の終盤、エンドロールに差し掛かると、早くも場内からは惜しみない拍手と歓声が巻き起こり、劇場を埋め尽くした観客たちから約6分間のスタンディングオベーションで賞賛を受けた。熱気に包まれた会場からは同作への評価の高さがうかがえた。場内を出ると、多くの海外のファンが集まり、サインを求める様子も。大好評の中、公式イベントを終えた。
上映後に行われた日本メディア向けの囲み取材で、早川監督は「映画祭の1番大きいリュミエールで上映するのは初めてでしたが、場内の熱気が段違いで、胸が一杯になりました」と述べた。また、初めての国際映画祭への参加となる12歳の新鋭・鈴木は「私は、俳優を始めてたった2年でカンヌに行けてしまい、びっくりしています。自分が想像していた以上に、観客の皆さんがワァーと反応してくれたり、“ユイ”って声を掛けてくれたり、(今までに自分が)見たことがないぐらいの数の人に映画を観てもらえて、すごく嬉しかったです」と答え、「経験したことがないことばかりでびっくりしたけど、あ~めっちゃくちゃうれしいなぁって身体の底から感じました」とはにかんだ。
石田は「海外の映画祭に参加するのは39年の俳優人生で初めての体験。海外の観客の映画を観てやるぞという意気込み、クレジットひとつひとつに拍手が起こることに驚きました。映画に対する真摯さと温かさを感じました」と感慨深げに語った。リリーも「この映画のすばらしさが前評判として観客に伝わっていたと思うが、真剣に映画を観ていることがひしひしと感じられました」と上映中の様子を述べ、「スタンディングオベーションをいただけるのはうれしいのですが、いつも座持ちがしないなと思っていたんです。でも、唯ちゃんが居ると何分でもできるなって、楽しかったです」とちゃめっ気たっぷりに振り返った。
鈴木の魅力について尋ねられると、石田は「唯ちゃんはまだ幼いので、深いところで本作のことを理解することはできない部分もあるでしょうが、ただただ自転車を漕ぐとかそこに存在するということができるというところがとっても素敵だと思います」と鈴木の純粋無垢な存在感を称賛した。
また、リリーは「撮影当時11歳で、何かになりかけている、その一瞬の夏を監督が切り取ったからこその生々しさと彼女の演技力がすごくマッチしている。演技だけではなかなか成立しない魔法の一瞬を早川監督が収めた、稀な映画だと思います」と本作の貴重性を力説した。早川監督は「子どもに演出をするのは難しいだろうなと覚悟を持って挑んだのですが、唯ちゃん何も言わなくても演技をしてくれて、監督としては非常に楽でした。どうやったらこんな風にできるんだろうなって思うことばかり。唯ちゃん様々でした」と明かし、鈴木の柔軟さと高い演技力に感謝を述べた。
早川監督の印象についての質問に、石田は「“言葉にできない想いを映画にしているんです”と仰っていて、それが早川監督の作品を一番表しているなと、撮影を通して感じました」と答え、鈴木は「優しくて、ほわんとしてて、あたたかい太陽みたいな人」だと語った。
タイトルについて質問が及ぶと「『PLAN 75』が割と作品の説明になるタイトルだったので、今回はそういうところから離れたいなと思い、作品の意味をタイトルに持たせたくなかったんです」と回答。また、「海外のメディアの取材を受けた中で、“この映画はいろいろなエピソードがあって、点がどんどんつながっていき、全体像が見えてくる。そういったところが、印象派の絵画のようだ”と仰っていただいた。面白いなと感じましたね」と観客からの見解を嬉しそうに明かした。
同映画は6月20日より劇場公開予定。