
【エンタメ総合】
『人事の人見』Pが語る主演・松田元太の“計算力” 天性の才能に「我々は惚れ込んでいます」

Travis Japanの松田元太が主演するフジテレビ系連続ドラマ『人事の人見』(毎週火曜 後9:00)第8話を前に後藤博幸プロデューサー(以下、後藤P)による合同インタビューに参加。現場で感じた主人公・人見廉を演じる松田の俳優としての魅力。人事部を通し描かれるリアルな社会問題と人見の“ぶっとんだ”解決策が軸となる今作の制作裏について聞いた。
【写真】自身のキャラクターを反映?松田元太演じる人見廉
今作は“人事部”に焦点を当てた、痛快オフィスエンターテイメント。古い熱血体質の残る大企業を舞台に、おバカでピュアすぎる主人公・人見廉(松田)と、会社を変えたいと願いながら日々奮闘する真野直己(前田敦子)をはじめとする個性豊かな人事部の面々が、会社の中で巻き起こる社員のさまざまな問題と向き合いながら、「現代人の悩み」に立ち向かっていく。
10年ほど前から、人事や総務を舞台にしたドラマが描けるのではないかと考えていたという後藤P。既存の原作を検討するなかで「やるならオリジナルで」と決意し、自らの経験も踏まえて「会社の人事部というのは、大小さまざまな相談ごとが持ち込まれる場所。きっと誰もが一度は関わる存在として、視聴者の共感を得られる題材になる」と考え企画に踏み切ったという。
そんな本作の主人公・人見廉を演じる松田に対して、後藤Pは「脚本を本格的に書く前に一度お会いして話した時から、“この人しかいない”と感じた」と振り返る。松田の持つ天性の明るさやエネルギーに惚れ込んだ一方で、その“明るく暴れていればいい”では済まされないキャラクターを演じる上での緻密な計算に驚いているという。「その才能に我々は惚れ込んでいます」と言い切る。
「あるシーンで、ちょっとおとなし過ぎる?と感じる演技をしていたので、撮影後松田さんに探ったら『前後のシーンの流れを考えて、このくらい抑えて真面目にしておくのがいいと思った』と。編集して全体を見たとき、確かにそのバランスがベストだった。シーン順に撮影できないことが多いので、あらかじめ全体像を見据えて芝居を組み立てられる力は必須で、主演の方は大変。そういうところが松田さんはすばらしい」と“九九”ができないことで一躍話題を呼んだ松田だが、俳優として持つその“計算力”は折り紙付きだ。
数あるお仕事モノのなかでも今作ならではの強みは、脚本家が書いたセリフや展開を、松田の感性に委ねて成立させていくという手法にある。「相手のセリフを何度もオウム返ししたり、普通に振り向くのではなくのけぞるような態勢で真後ろを向いたり、松田さんなら次はどうくる?と。人見というキャラクターは、ほとんど松田さんそのものなので、完全に“当て書き”になったが、松田さん演じる人見がすごく魅力的という声が多く、作品として大きな強みになった」と後藤Pは語る。
第5話では、出世欲高めの須永(新納慎也)の意外な一面をドタバタ喜劇として描いたがこちらも大きな反響が寄せられた。「“くだらないな~”と思ってもらえることを大事にしながらも、しっかり笑えて、泣ける――そういう感想が多かったのも5話。狙い通りの反響が返ってきてうれしかった」と手応えをみせる。
毎話、人事部の個性豊かなメンバーや社員たちが抱える思いと社会問題がリンクし、人見がポップで突拍子もない解決策で打開していく。「人見がどう変なことをして解決するか。変なことをするのがマスト。真っ当なことならいくらでも思いつきますが、突拍子もないことじゃないといけないのでそれが非常に難しい」と制作上の苦労も明かす。
第1話はパワハラ上司と退職代行を使って辞める若者がまさかのラップで想いをぶつけ合ったり、第2話ではサービス残業を自らしてしまう社員を監禁状態に…など「くだらなくて、理屈とかではなく、なんだかんだいい方向に向かうことが大切。1話1話ひねりだしてきて、やっと9話まで見えてきましたが、人見のセリフ『いいことを思いついたんですけど』の具体をひねり出すのが本当に大変です(笑)」としながらも脚本家とともに緩急あるストーリーを紡いでいる。
また、現場では、テストやスタンバイの合間も笑いが絶えず「なにで盛り上がっているのかわからないけど、気づけば爆笑しているような雰囲気が常にある」という。「モニター前にいると、なんのことで盛り上がっているのか聞こえてこないのですごく気になるんです。つい、嫉妬してしまいますね(笑)」と話すほど和やかな撮影の模様をのぞかせていた。
■第8話あらすじ
人見の上司である平田(鈴木保奈美)は、『日の出鉛筆』初の女性部長だった。だが、社長の小笠原(小野武彦)や役員に何も言えず、部下に対しても強く出られず、部長である意義を見失いつつあった。
そんな折、常務の里井(小日向文世)は、人事部が草案をまとめた「日の出鉛筆子育て支援策」に関して、社長以外の取締役の賛同を取り付けたことを報告。平田は、この取り組みをアピールするため、かつての先輩・篠原裕美子(久世星佳)がライターをしている有力雑誌に取材をしてもらおうと提案する。
一方、調達部の川戸舞(大塚千弘)は、「マミートラック」について平田に相談をする。「マミートラック」とは、女性社員が産休や育休明けに仕事内容の変更などを命じられ、キャリア形成に支障が生じること。川戸の場合は上司に訴え、改善してもらったが、どうしても同僚にフォローしてもらう機会が増えてしまい悩んでいた。平田はそんな川戸に、社内託児サービスの設置など、子育て支援が始まることを告げる。
ところが社長の小笠原は、子育て支援が自分の知らないところで進んでいたことに腹を立て、これを却下。明日は雑誌の取材日、それに合わせて社内託児サービスもプレオープンする予定だった。平田が頭を抱える中、子育て支援策は必須と考える真野は社長にバレないように取材と託児サービスを両方行い、既成事実を作ってしまおうと提案する。翌日、人事部一同連携を取って、作戦を決行するも、出張しているはずの小笠原社長が突然現れ…!?人事部を率いる平田はこの困難を乗り切ることができるのか…。