【音楽】
「逃げてもいい」──孤独と向き合ってきたBocchiが、記憶と再生を刻んだ1stアルバム【インタビュー】

Bocchi


 カバー動画の投稿から活動を始め、着実に歩みを重ねてきたバンド・Bocchiが、1stフルアルバム『空に薫るは夏の影』を5月28日にリリースした。記憶や思い出をテーマに紡がれた全10曲には、バンドの原点と今が詰まっている。6月29日には東京・渋谷WWWで初のワンマンライブも開催予定。ドラマーの脱退を経て新体制となったまさや(ボーカル)、慶哉(ギター)、ゆい(ベース)の3人が語る、音楽への想い、そして“孤独”との向き合い方とは。



【画像】3人編成となって1stアルバムをリリース!Bocchiのメンバーショット



■名前の通り友達は少ないけど、より特別な関係になってきてる

――1stフルアルバム『空に薫るは夏の影』が完成した今の気持ちを聞かせてください。



【慶哉】あっという間というか。気づいたらできてたって感じですね。覚悟を決めて「作るぞ!」っていうよりも、シングルを出していく中でテーマみたいなのが生まれてきて、「じゃあ、これひとつのアルバムにしたら面白いんじゃない?」って。そんな流れでできた感じです。



【ゆい】曲ごとのコンセプトがけっこう似てたんですよね。別にテーマを決めて作ってたわけじゃないけど、まとまってみたら自然と統一感が出てきたというか。



――楽曲はどういうふうに作っていったんですか?



【慶哉】基本的には、ゆいが作曲で、まさやが作詞。僕はアレンジとか全体の流れを見る感じでやってます。でも今回は自分が作詞作曲したのが2曲あるんですけど、自分の曲以外も見てみたら、歌詞とか曲調とかに同じような温度感があって。それなら、ひとつの作品として出せたらいいんじゃないかなって提案しました。小さいときから僕の中でずっと記憶って何なのかっていう疑問がずっとあって。いまだに答えは出てないんですけど、でも普遍的な恋愛だったり、友達と過ごした日々とか人との別れだったり、過ぎ去ってなくなってしまったものを、人は名前をつけて残しておくんだと思うんです。それが“記憶”だと思ったんです。それをひとつの作品という形にしたくて。僕が生きてきたなかで強く残った記憶の一部分から作ったのが「忘却、」という、今回のアルバムに収録されている曲なんです。



――まさやさんは、アルバムが完成したとき、どんな印象を持ちましたか?



【まさや】バンドの名刺みたいな、ひとつの看板ができたなって思いました。10曲のうち5曲は新曲なんですけど、これまでやってきた曲も含めて、僕たちが作ってきた世界観をちゃんと引き継いだ作品になったと思ってます。集大成って言葉が近いかもしれないです。バンドがずっと大事にしてきた「夏」だったり、「出会いと別れ」だったり、今回は「生」っていうところまで深掘りできた気がします。



――アルバムを制作していて特に苦戦した曲はありますか?



【慶哉】僕は「影送り」ですね。レコーディングは「愛憎にレモネード」と「瞼」と一緒に録ったんですけど、その2曲はわりとスムーズにいけたのに、「影送り」だけがほんとにギターのフレーズが浮かばなくて。でも最終的には、なんとか仕上げられました。



【ゆい】ピアノが入っている曲なので、ギターを考えるのが難しかったというのもあると思うんですけど、ベースもピアノの左手とかぶらないように工夫しました。ちゃんと綺麗に合わせられたと思います。



【まさや】ボーカル的には、最近の曲って全体的に音程が高くなってる気がしてて、それもあって「影送り」とか「透命人間」とかはしんどかったですね。同じ日に3曲まとめてレコーディングして、なんとか歌えたし、感情の込め方とか、マイクの選び方もいろいろ試せたのはよかったです。



――マイク以外にも機材を変えたりはしましたか?



【慶哉】直近のレコーディングはスタジオなどの環境を変えたので、今までと音もガラッと変わってるんです。ギターは5〜6本用意してマイク録りしましたし、今までよりも理想のバンドとしての音に近づけた感じがしています。



――作詞に関しては何か変わった部分はありますか?



【まさや】今回は「透命人間」に特に思い入れがありますね。デモをもらって聴いた瞬間に「これはアルバムのラストになるな」って感じて。今まで「夏の曲」をたくさん作ってきたけど、「透命人間」はその終着点みたいな気がしてて。



――作曲者のゆいさんはテーマの提示などはしないんですか?



【ゆい】いつもは「こういう感じでお願い」って伝えるんですけど、「透命人間」だけは何も言わずに渡したんです。そしたら、まさやが書いてきた歌詞がイメージにドンピシャで。「うわ、すご!」って思いました。



――今回、3人編成での制作になりましたが、体制が変わったことで影響はありましたか?



【慶哉】もともとはドラムがいたんですけど、3人になったとき、自分がリーダーだからこそ不安も大きくて。そこからちゃんと話し合って、「じゃあ次の作曲からは3人でやっていこう」って決めたんです。LINE電話とかで、めちゃくちゃ会議しました。



【まさや】時間をかけて話すのって、やっぱり大事だなって思いました。ちゃんとお互いを信頼できるようになったのは、そうやって積み重ねてきたからだと思います。ゆいが作った曲を俺が解釈して歌詞を書く、それを慶哉がさらに広げてくれる。ライブの演出とか、映像面も含めて、うまく役割分担できているのが今のBocchiかなと思います。



【ゆい】3人が同じ方向を向いてるから、こういう形が成り立ってるのかなって。誰かが引っ張るんじゃなくて、自然と一緒に動ける感じがしてます。



――以前より関係が深まった実感もありますか?



【慶哉】それはありますね。「ぼっち」って名前の通り、3人とも友達が少ないし、バンドメンバーってなんだろう?って聞かれたら、友達でもないし、家族っていうのも恥ずかしい。でも、仕事仲間でもない、みたいな。言い表せないけど、より特別な関係になってきてると思います。



【ゆい】特に慶哉は変わったよね。昔は感情で走っちゃうタイプだったけど、めっちゃ丸くなった。



【慶哉】自分でもそう思う(笑)。自分たちにとってはバンド活動は職業じゃないですか。だから「甘えてるな」って思う部分があったときに伝えなきゃって思ってストレートに言ったら、2人に嫌われそうになって(笑)。今では言い方に気をつけて、相手を理解しようとしています。



【まさや】メンバー脱退のときにちゃんと話し合えたのが大きかったよね。



【慶哉】うん。自分も譲れない部分もあったけど、2人の言い分もちゃんとわかったし。結果的に、お互いちゃんと向き合えたことで今があると思ってます。



■好きなことだったら、孤独かどうか関係なくできる



――そういう経験が、作品にも表れているように思います。では、少しテーマを変えて。春って、新生活や新しい環境に馴染めず孤独を感じる人も多い時期だと思うんですが、そういう人に向けて、みなさんからメッセージをいただけますか?



【ゆい】僕も高校卒業して専門学校に進んだとき、ほんとに友達ができなくて、ずっとひとりでした。でも、「自分が一番売れてやる」って気持ちがあったから続けられたし、その気持ちがなかったら、もっと寂しい思いをしてたかもしれません。少しでもそういう気持ちが持てたらいいのかもしれないです。



【慶哉】孤独を感じてるときって、いろんな要因があると思うんですけど、好きなことがあるなら、それを頑張ればいいと僕も思います。ゲームでもなんでもいい。好きなことだったら、孤独かどうか関係なくできるし、それが仕事に繋がるかもしれない。それで、無理って思ったら逃げてもいい。自分はそう思ってます。



【まさや】今ってSNSとかで承認欲求を感じやすい時代だから、自分も学生のときは、周りによく思われたいって気持ちで八方美人みたいに振る舞ってて。でも、実際はちゃんと話せる友達もいなかったし、どこかで疎外感を感じてました。それが、Bocchiの2人と出会って、ちゃんと向き合える人がいるってわかって。バンドをやってるのに、どこか仕事っぽく感じないのって、たぶんこの2人とだから。もし誰か大切な人がいるなら、その人だけにはちゃんと向き合える自分でいてほしい。それでいいと思います。



――6月にはワンマンライブが控えていますね。



【慶哉】今回のワンマンに関しては、自分たちで脚本のようなものを用意してるんです。ワンマンは初めてなので、僕たちだけを見に来ようとしてくれる人たちがこんなにいるんだっていうのが、まずすごくうれしくて。だから、その日が10年後にも残るようなライブにしたいです。



――今後の活動について、

関連記事


最近の記事

茨城の求人情報

https://cpt.geniee.jp/hb/v1/207318/39/instbody.min.js"