【エンタメ総合】
『誘拐の日』ドラマPが語る“韓ドラ”リメイクの難しさ 日本版オリジナル“衝撃ラスト”への伏線も明かす【独占インタビュー】

『誘拐の日』ビジュアル(C)テレビ朝日


 俳優・斎藤工(43)が主演し、子役の永尾柚乃(8)と共演するテレビ朝日系連続ドラマ『誘拐の日』(毎週火曜 後9:00)。斎藤演じる“心やさしきマヌケな誘拐犯”と永尾演じる“記憶喪失の天才少女”という奇妙な凸凹バディが次々と襲いかかる危機を乗りこえながら犯人捜し&逃亡劇を繰り広げる、巻き込まれ型ヒューマンミステリー。



【場面写真】8歳とは思えない演技力…多言語で長ゼリフを披露した永尾柚乃



 8日に初回が放送されると、息もつかせぬ展開と豪華キャストのリアリティーあふれる演技力が話題となった。人気韓国ドラマをリメイクした本作だが、日本を舞台にした新たな物語として再構築するにあたってのこだわりやキャスティング、そして今後の展開について、ゼネラルプロデューサー・大江達樹氏に話を聞いた。



――主演のキャスティングについて、“間の抜けたおじさん”という役柄を、そのイメージのない斎藤工さんにオファーした理由は何だったのでしょうか。



【大江P】誰にこの役を演じてもらったら、既視感のない役になるか?を考えた時に、いつもクールな役やセクシーな役が多いイケメン40代俳優の斎藤工さんだったら、三枚目も演じられると思いました。韓国版をご覧になっていた人にとっては意外なキャスティングかもしれないけど、実際に見てもらったらハマリ役だと思ってもらえるし、日本版のオリジナリティの要素の一つにもなるだろうと思い、斎藤工さんにオファーしました。実際に出来上がった政宗を見たら、想像以上でした(笑)。



――また、オリジナルの“天才少女”は11歳という設定。11歳でも難しいと思われる“七瀬凛”という役柄を、“8歳”という設定に変更してまで永尾柚乃さんに任せようと思ったのはなぜですか?



【大江P】日本で天才少女というと、パッと永尾柚乃さんが頭に浮かびました。そこから年齢設定を11歳から8歳に下げることによるメリット、デメリットを分析しました。通常、8歳の子役に七瀬凛の台詞をしゃべらせると本人の経験値との乖離からうそっぽく聞こえてしまいます。しかし、どんな大人びた台詞も天才少女という生意気な振る舞いも、永尾さんであれば、なぜかストンと腑に落ちる、納得できる感じがあるなと思いました。逆に言うと、永尾さんがいなければ、8歳への年齢設定の変更もしてないでしょうし、もっと言えば、日本には永尾さんがいるから『誘拐の日』のリメイクを決断したと言っても過言ではありません。



――また、イメージとのギャップということでは、弁護士役のSnow Man深澤辰哉さんの起用も意外だった視聴者も多いのではないでしょうか。



【大江P】山崎弁護士の役は、メガネ必須だと思っていたので、誰にメガネをかけさせたいか?を考えました。その時に、クールな顔立ちの深澤さんを思い付きました。深澤さんとは『今日からヒットマン』でご一緒したことがあったのですが、その時は、かなり抜けてる天然で出来ない部下役が見事にハマっていました。しかも、海千山千の勝村政信さんとの2人だけの長いお芝居とかが結構あって、勝村さんがアドリブの球をたくさん投げてくるのですが、ダメな部下役として、全て瞬時に対応していたので、その瞬発力は流石だなと思ってました。ですので、今度ご一緒することがあれば、全然違う役をオファーしたいと思っていて、山崎弁護士はまさに正反対の役柄でした。



――そんな『誘拐の日』の原作は『シグナル』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』などのヒット作を生みだした韓国有数のスタジオ・ASTORYが2023年に製作した連続ドラマですが、この3人をはじめ、日本のキャストで贈るリメイク作としてつくりあげていく際に特に意識されたことはありますか?



【大江P】海外ドラマをリメイクしたいと思った時には、その原作の好きな部分、一番大切な幹みたいなものは変えてはいけない部分だと思います。小説や漫画原作と違って、海外ドラマのリメイクは一度、人間が演じている正解の一つが提示されてしまっているので、比較して見られてしまうプレッシャーは常にあります。でも、キャスティング含め、全てを真似して作っても、絶対に別の正解にはたどり着けないと思っています。ですので、日本の文化というフィルターを通すと、自ずとキャスティングや台本や演出が変わってきますが、より面白いものを作ろうと皆で精魂込めて作っていけば、結果、韓国版と近いものになろうが、別物になろうが、視聴者に思いが届くと信じています。



――では、改めて日本の文化に物語を落とし込むうえで、複雑な設定と入り組んだ人間関係をわかりやすく描くために工夫されたことはありますか?



【大江P】政宗が誘拐しようとする少女の父親が院長を務める病院が政宗の娘が入院している病院と同じ病院に設定変更していたりしています。韓国版では福住の役は、30歳ぐらいの役者さんが演じていて、半グレみたいな常軌を逸したジェイデンという役でした。日本の設定に置き換えると、ジェイデンの年齢やキャラだと表の顔がエリートビジネスマンには見えないですし、部下の鮫洲とも差別化を図りたかったので、日本版では福住の50歳前後に年齢を上げて、見た目はビジネスマンだけど、狂気を内に秘めているキャラクターという設定に変更しました。その福住役にキャスティングさせて頂いたのが、鈴木浩介さんです。



――では最後に、第1話からさまざま謎が散りばめられていましたが、原作とは違った結末になりそうですか?中盤~後半にかけての注目ポイントや見どころを、今言える範囲で教えてください。



【大江P】日本版の脚本を作る打合せでは、非常に複雑なミステリーですので、どうしても韓国版のこの設定はあまり上手く生かされてなかったよね?という議論にもなっていきます。そう感じた設定の一つを際立たせていくために、主人公の政宗が緊張すると頭痛がして、なぜかラムネを食べると落ち着く、という設定を日本版では足しています。それがクライマックスの謎への伏線にもなっているんです。日本版の結末は韓国版では描かれていない“ジャパンオリジナル”の度肝を抜く衝撃のラストとなっておりますので、ご期待ください。これは初めて話すことなので、ここだけの話にしてください(笑)。

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