
【音楽】
クリープハイプ、過去最大規模ツアーが武道館で終幕「“口から人間”出して帰ります」

ロックバンド・クリープハイプが24日、東京・日本武道館で2月から始まった全国ツアー『君は一人だけど 俺も一人だよって』、そして5月からのアリーナツアー『真っ直ぐ行ったら愛に着く』のファイナル公演を開催した。同公演は、ホール&ライブハウス15公演、アリーナ4箇所8公演をまわるキャリア史上最大規模のツアーの締めくくりとして行われた。
【ライブ写真多数】クリープハイプ、自身最大規模ツアーのファイナル公演の模様
1曲目「天の声」は、2024年12月にリリースされた最新アルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』のラストを飾る楽曲。尾崎世界観(ボーカル/ギター)のアルペジオにバンドの演奏が加わり、会場全体が浮かび上がるような感覚を生み出した。続く「生レバ」では、過剰なほどの火柱が上がり、リアルなライブ空間と創作的な演出が交錯。ステージセットは、どこかで見たことのあるような都市のイメージを重ね合わせ、観客の没入感を高めていった。
ライブ中盤には、長谷川カオナシ(ベース)がラジオ番組風の“電話人生相談”を展開。自らが演じるパーソナリティー、相談者、コメンテーターの三役によるやりとりは、架空のやりとりでありながら、自身の内面を投影したような構成となっていた。MC後の「ラブホテル」では、尾崎がそのラジオに電話をかけ、最後のサビをどう盛り上げるかを“相談”する演出も加わり、虚構と現実が交錯する構成がライブの世界観をさらに深めた。
その後、「リバーシブルー」「百八円の恋」など初期楽曲を含むブロックを経て、「ナイトオンザプラネット」では床面のミラーボールが回転。武道館の天井にはミラーボールが反射する無数の光が星となって瞬き出した。
「楽しくやってますか?」と尾崎がメンバーに問いかけ、小川幸慈(ギター)と小泉拓(ドラム)が「楽しい」と返答。カオナシも笑顔で応じると、会場には温かい空気が流れた。「HE IS MINE」「愛の標識」など5曲を畳みかけた後のMCで尾崎は、「目を凝らして近寄っていかないと見えない、触れない、聴こえない、そういうものをこれからもずっと届けたい」と語り、「“口から音源”じゃなくて、“口から人間”出して帰ります」と締めくくった。
終盤は「寝癖」「ままごと」「凛と」「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」を連続で披露。ラストナンバー「幽霊失格」前のMCでは、「曖昧なもの、よくわからないものに向き合うことが大事」とし、「クリープハイプはそれをずっとやってます。根気強く粘り強くやっていきましょう」と観客に呼びかけた。