【映画】
下津優太監督、「組体操」を題材にした『NEW GROUP』ファンタジア映画祭で審査員特別賞受賞

下津優太監督、映画『NEW GROUP』「第29回ファンタジア国際映画祭」審査員特別賞受賞


 下津優太監督の映画『NEW GROUP』(2026年公開)が、カナダ・モントリオールで開催中の「第29回ファンタジア国際映画祭」(7月17日~8月3日)の北米プレミア・コンペティション部門(Cheval Noir Competition)に出品され、審査員特別賞を受賞した。



【画像】人間ピラミッドが見えるティザーポスター



 下津監督は、昨年の商業映画監督デビュー作『みなに幸あれ』で「幸せは、人の不幸の上に成り立っている」というテーマを描いた。2作目の本作『NEW GROUP』では、組体操という「集団行動」を題材に、人間の行動心理の根底をコミカルかつシリアスに描出。多様性が叫ばれる現代において、“集団に埋没することの意味”を問い直すSFサイコ・エンタテインメントとなっている。



 主演は、映画『ゴールデンカムイ』(24年)、『正体』(24年)、今年公開の『恋に至る病』(25年)、『ChaO』(25年※声の出演)などで活躍中の山田杏奈。家族に問題を抱える、内気な高校生・愛を演じている。



 上映後のティーチインでは、「集団行動」の心理をめぐる鋭い質問が相次いだ。「なぜ主要キャラクターが海外から転校してくるのか?」という問いに対し、監督は次のように答えた。



 「社会学の統計によると、欧米圏では集団の中で自分という個が優れていることを表現することに幸せを感じ、アジア圏では集団の輪を保つことに幸せを感じる傾向がある。どちらが良い悪いということではないが、アジア圏での集団の輪を保つことは、時に行きすぎると同調圧力となり思考停止を生む。さらに集団に属すことで安心を感じ同時に思考停止に陥る。まわりに流されるのではなく、自ら考えて行動した集団が輪を保つことで良い集団、NEW GROUPへつながると考えました」



 下津監督は「観客のリアクションがすごすぎて、せりふが聞こえないほどでした。アジア圏での上映時とは異なり、欧米圏では組体操という題材自体が異様に映ったようです。上映後のQ&Aでは映画の本質に迫る質問が続き、モントリオールの観客の知性と、映画への強い愛を感じました。とても温かく迎えていただき、受賞もできて、最高の北米プレミアになりました」とコメントを寄せている。



 本作は、「プチョン国際映画祭」(韓国)ではワールドプレミア コンペティション、「ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭」(スイス)ではヨーロッパプレミア コンペティションで上映され、今秋開催の「シッチェス映画祭」(スペイン)スペインプレミア コンペティションなど、海外映画祭への出品が次々と決定している。

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