
【音楽】
Mrs. GREEN APPLE、10周年ライブで“新曲”初披露 大森元貴「見つけてくれて、気付いてくれて、ありがとう」【独占写真あり・ライブレポート】

Mrs. GREEN APPLEが7月26日と27日の2日間、神奈川・山下ふ頭特設会場で野外ライブ『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE 〜FJORD〜』(読み:フィヨルド)を開催。バンドのデビュー10周年を記念した公演で、メンバーの大森元貴(Vo/Gt)はこのライブのために作った新曲を初披露して感謝を伝えた。27日の公演をレポートする。
【写真多数】「フィヨルド」ステージショット(独占含む)
「フィヨルド」と名のついたタイトル通り、会場のセットは美しい山々が連なり、ステージ上は滝が流れ、たくさんの緑とオーロラ色の氷岩が鮮やかさを演出していた。オープニング映像が流れた後、ステージに大森、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)の3人が、コンセプトにぴったりな衣装やメイク、アクセサリーをまとい登場。「コロンブス」のイントロが流れる中、大森が「フィヨルド―!」と叫んであいさつすると、会場は瞬く間に熱狂に包まれた。
「ビターバカンス」「フロリジナル」「ANTENNA」と続き、観客は心地よい音色と美しい歌声に酔いしれた。冒頭から3人がたびたび顔を見合わせて演奏する姿が印象的で、この日のステージを迎えることができた喜びと、バンドの絆をかみしめているようだった。
最初のMCで大森は「フィヨルドへようこそ!」とあいさつ。5万人もの観客を目の当たりにして改めて驚き、「アニバーサリーライブということで、デビュー10周年を記念した特別な日となっています」「この日を楽しみにしてきました」と感謝を伝えた。
そして「せっかくだから、さっそくだけど。みんなの近くにいきたいと思うんだけどいいですか?」「そっちに向かうね」と、3人はバンドのロゴが描かれた“フロート”に乗り込み移動。その間、藤澤は「今日めちゃくちゃ楽しみにしてきた。みんな、楽しみにしてきた人?会いたかったよ、フィヨルド!」とあいさつ。若井は「ありがとう!奥の人も今からそっちにいくからね」と呼びかけ、大森はいきなりの大規模演出に「序盤にしてクライマックスのような演出!」「後ろのほう必ず行くからね、待っててね」などと盛り上げていた。
3人はフロートに乗ったまま「クスシキ」を披露。大森はウォーターガンを掲げ、スプラッシュを噴出させながら盛り上げた。客席の中央付近にあるステージに到着すると、デビュー年である2015年に発売したミニアルバム『Progressive』の収録曲「アンゼンパイ」を久々に披露。ライブハウスを彷彿とさせるミニサイズのステージで、3人は背中合わせで集まり、360度の客席を見渡しながら演奏した。
その後、フロートへ乗り込み再び移動。移動中は、ミセスの楽曲をBGM風にインストアレンジにして聞かせ、観客は心地よいリズムを楽しんでいた。
客席最後方のステージに到着した3人。大森は手を振りながら「後ろまで来ちゃいました!」と説明し、「ちょっと懐かしい曲やります」と、ミニアルバム『Progressive』収録の「WaLL FloWeR」を熱唱。その後は「道徳と皿」を聞かせ、勢いのあるバンドサウンド2曲で会場は熱気に包まれた。
ステージを降りるとフロートに乗り込み、再び移動。「Magic」のイントロが流れると会場の雰囲気はポップな雰囲気に一変し、ライトスティックのキラキラとした光が会場を埋め尽くす中、観客は一緒にコールして盛り上がった。
空がオレンジ色に染まり、心地よい夕風がそよぐ中、「Feeling」を披露しながら3人はメインステージに到着。MCで一息ついたあと、改めて大森がこれまでのバンド活動を振り返った。
当時18歳で『Variety』というミニアルバムでデビュー。「最強のバンドを作りたい」と覚悟を抱いた一方で「青春時代を犠牲にしたような感じもあると思うんだよね…」と吐露。「その空いた穴を何かで埋めようとしていたんだと」と語った。
そして「たかが10年されど10年。僕たちにとってこの10年は特別なものだった」と感謝し、「本当に…夢にも見てました。ありがとうございました。謙虚な意味でね」と謙遜。しかし「デビューして(心に)空いたものを埋めようとしてたんだけど、結局埋まらないなということに、大森少年はどこかで気づくわけです。それでも何かで埋めようと、ずっとまだ僕は今日も曲を作ってるんだなって思います」と明かし、「ピュアで愚直な濃密な10年は、後にもきっとないだろうと。大切な10年でした。本当にみんなと会えて、すごくうれしいです、ありがとうございます」と伝えた。
「奇跡だな、奇跡なんだよ。本当に、特別な日だなと思います」としみじみ話し、「特別な日だから、柄にもなく今日のために曲を作ってきました」と、突然の新曲紹介。沸き立つ観客に「『ANTENNA』というアルバムに「ANTENNA」という曲があるように。『Attitude』というアルバムに「Attitude」という曲があるように。この曲にも特別な名前をつけました。なんで歌を歌っているのかとか。なんで曲を作っているのかとか。なんでこのメンバーで鳴らしているんだとか。特殊な、異色な楽曲だなと思います。僕の、僕らの、3人の、Mrs. GREEN APPLEの楽曲です。『Variety』」と紹介した。
2015年に発売したアルバムタイトル名を曲名とした「Variety」は、今この瞬間の思いがぎゅっと詰まったような楽曲。真摯に音楽で伝え続ける大森のバンドとしての覚悟も感じられ、演奏中に「若井!」「涼ちゃん!」とそれぞれのソロでメンバーの名前を叫んだシーンも印象的だった。
その後、2016年発売のアルバム『TWELVE』収録の「No.7」でギターをかき鳴らし、ステージの雰囲気は一変。スクリーンには祭りのシーンが映し出され、観客はこの楽曲でおなじみの“盆踊り”風の振り付けでも盛り上がった。
ここから撮影がOKに。若井が「声出す準備はできてんのか!もっともっと」と観客をあおり、大森が「夏だー!」と叫んで「青と夏」へ。藤澤は笑顔全開でパフォーマンスし、会場は熱気に満ち溢れた。大森はライトスティックの景色をしみじみと眺め、「綺麗です、ありがとう」とほほ笑んだ。
続く「どこかで日は昇る」でしっとり歌い上げ、「Loneliness」で炎の演出とともにバンドの表現力を存分に見せつけ、ジャジーなアレンジで始まった「breakfast」でステージに彩りを加えた。また、「天国」での圧巻な歌唱力とパフォーマンスも、観客を驚かせていた。その後の「ニュー・マイ・ノーマル」は、バンドが活動休止を経て再開した2022年「フェーズ2」の幕開けの曲。明るくポジティブなポップソングで、観客はノリノリとなった。
ライブ終盤となり、大森が「知ってたら歌ってください」と呼びかけ「ダンスホール」へ。観客も「ダンスホール!」と一緒に熱唱し、大ヒットした「ケセラセラ」「ライラック」でラストスパート。観客も一緒に大合唱し、大森が「愛してるよ!ありがとう」と叫び、3人はステージを後にした。
その後スクリーンに、デビュー時から現在までのライブシーンが次々と映し出され、アンコールへ。3人は再びステージに登場し、バンドの代表曲のひとつである「我逢人」を披露。今日の出会いに感謝を伝えた。
ここで大森が、「フィヨルド」公演の映画と、ドキュメンタリー映画の2本が11月28日に同時公開されることを発表。「ランキングとかチャートとかさ、本当に有難いというか、すごいことが起きていて。僕らもよくわからないんだけど、そこに惑わされることなく、僕らは僕らでやりたいことをやる。楽しいと思ったことにまい進するということを大事にして、活動していけたらなと思います」と改めて宣言。名残惜しそうに「終わりにしよっか…フィヨルド」とつぶやいた。
そして「必ずまた会いましょう、この曲でメジャーデビューしました。本当にありがとうございました」と、初心の気持ちを込めた「StaRt」で締めくくり。ステージ上には1200機のドローンが、バンドのロゴや「THANK YOU ALL JAM'S」などの文字でメッセージをつづり、たくさんの花火が打ち上げられ、盛大な演出で幕を閉じた。
エンディングで若井は、「本当に幸せで最高の時間でした。こうして10周年をみんなと迎えることができて、本当にうれしくて幸せです。これからもMrs. GREEN APPLE、よろしくお願いします」とあいさつ。藤澤は、「今日は本当に本当に、最高の1日でした。自分が音楽を始めたことや、メンバーに入ったこと。いろんな瞬間のことを思い出しながら…。みんなと過ごしたことを一生忘れません、ありがとうございました」と伝えた。
そして大森は、「多くの人が楽曲を聞いてくれているという事実がありますけども、数ではなくて」「僕らは僕らのために曲を書いて、巡りめぐって誰かのもとに届いているというのがたまらなくうれしいんで