
【その他】
感情を失った“繁殖引退犬”を保護して1ヵ月後…激変した姿に「全然違う!」「涙が止まりません」「幸せになって」

ケージのすみに体を寄せ縮こまり、「何も期待していない目」をしていた1匹のゴールデンレトリバー。全てを拒絶していた彼女が、少しずつ心を癒やし、また人を信じようとする姿を捉えた動画に1093万再生もの反響があり「涙が止まりません」「最初と最後の表情が全然違う」「たくさんの愛をもらって幸せになってほしい」など感動の声が寄せられている。動画の投稿者で、行き場のない犬や猫を保護し、新しい飼い主と繋ぐ活動をしているセカンドピース(@second.peace.0707)代表・田中希さんに、保護犬「ラスク」のことや保護活動について話を聞いた。
【画像】感情を失った“繁殖引退犬”、保護から1ヵ月後の変化とは…?
■人と暮らしていたはずの犬が「何も期待していない目」をしていた衝撃
――今年6月に投稿された保護犬ラスクちゃんについての動画に反響が寄せられています。一般的に人にも犬にもフレンドリーとされるゴールデンレトリバーであるラスクちゃんが、光を映さない暗い目をして、部屋のすみで体を縮こませている姿にとても衝撃を受けました。
「ラスクは『繁殖引退犬』として別団体さんにレスキューされた子です。大型犬をたくさん飼育している我が家でなら心を開きやすいのではと預かりましたが、はじめは人はおろか、ほかの犬たちとも交流しようとしませんでした」
――そこまで徹底的に、周りを拒絶していたとは…。
「うちに来た当初のラスクは、触られても、声をかけられても無反応で、人との関わり方を知らないような子でしたね。私は普段、外の世界で生きてきた『野犬』をメインにレスキューしているのですが、人と暮らしたことがない野犬たちは、当たり前ですが最初から人を受け入れようとはしません。でも、そんな野犬たちと同じ『人に対して何も期待していない目』を、人と暮らしていたはずのラクスがしていたんです」
――動画を見た人から寄せられた声で、印象に残ったものはありましたか?
「『人間大好き前提のゴールデンレトリバーがこんなことになるなんて』というコメントに、全てが詰まっているように思いました。一般的にゴールデンレトリバーは、人が大好きで、誰にでも尻尾を振ってくれる、食いしん坊な子といったイメージが強いと思うんです」
――愛嬌があって、社交的な印象ですよね。
「しかし保護犬としてやってきたラスクは、そのどれにも当てはまりませんでした。人を怖がり、誰のことも受け入れず、与えられた餌も食べない…。今までの暮らしがどんなものだったかは想像するしかありませんが、きっとイメージとかけ離れた姿になってしまうほど、過酷な日々だったのだと思います」
――保護された後、日に日に明るくなっていくラスクちゃんの様子に「目の輝きが変わったところで涙があふれた」「また信じてみようって思ってくれた事が何よりも嬉しい」など温かいコメントが相次ぎました。心に傷をもった保護犬と生活する上で心がけていること、注意していることを教えてください。
「人が怖いと思っている子に、『怒る』という行為は逆効果だということは意識しています。もちろん人と生きていくためのルールや、やって良いこと、悪いことを教えてあげることも大事ですが、まずは人を好きになってもらうことを第一に。『人は優しい』『人といると楽しい』『人を信じてみたい』…そう思ってもらえるように、最初のうちは害のない生き物になってひたすらお世話に励むようにしています(笑)」
■固定化された「犬種」のイメージではなく、犬自身を理解して上げることが大切
――犬の保護活動を通して感じていること、伝えたい想いなどをお聞かせください。
「『あの犬種は賢い』『この犬種は大人しい』など、人は犬に固定化されたイメージを抱きがちで、そうした偏った印象で『だから飼いたい』と考える人が多くいます。しかし、人に個性や感情があるように、犬にもそれぞれ個性や感情がある。『犬種』として見るのではなく、その子の性格をしっかりと理解し、人と犬がお互いに気持ちよく過ごせることが理想だと感じています」
――確かに、私もゴールデンレトリバーに固定化されたイメージを抱いていました。
「多くの人が『ゴールデンレトリバーは明るい、人懐っこい』という固定観念を抱いているからこそ、動画に映ったラスクの表情や姿に衝撃を受けるんでしょうね。犬たちの全てを決めるのは飼い主です。もともとの性格もありますが、環境や育て方によってその性質は大きく変わります。躾や犬の問題行動で悩んでいる方は、一度立ち止まって『どうしてこの子はこれをするんだろう?』と向き合うことから始めてみて欲しいと思います」