
【音楽】
川島明「今の世の中は帰ってくる場所がない」 『ラヴィット!ロック』で訴えた“帰る場所”の重要性 9分35秒“魂のスピーチ”【ほぼ全文】

お笑いコンビ・麒麟の川島明と田村真子アナウンサーがMCを務める、TBS系『ラヴィット!』(月~金 前8:00)の音楽イベント『LOVE IT! ROCK(ラヴィット!ロック) 2025』が8月23日、東京・国立代々木競技場第一体育館で開催。恒例ともいえる、終盤での川島によるスピーチは、今年も大きな反響を呼んだ。9分35秒にわたって、川島が紡いだ言葉を、なるべく忠実に紹介する。
【ライブ写真約50枚】新たに追加になった『ラヴィット!ロック2025』のライブ写真(主に後半)
今年もさまざまな“ラヴィットアーティスト”が、アカペラあり、弾き語りあり、バンドあり、演劇ありの個性豊かなパフォーマンスを次々と披露。『ラヴィット!』らしい企画で、3時間半以上にわたり、会場を訪れた1万1000人、さらに配信で5万5000人もの“観客”を大いに楽しませた。
本編終盤、今回のメインアクトでもあるおだみょん(おいでやす小田)の感動的な弾き語りが終わり、会場に温かい空気が流れると、田村アナが「ところで川島さん、今年も『ラヴィット!』を支えてくださるファンの皆さんに、今の気持ちを伝えていただけますでしょうか?」と切り出す。川島も「ちょっとよろしいですか?5分ほどお時間いただいて」と呼応。過去の同イベントで、感動的なスピーチを残してきた川島が話し始めると、観客席は静寂に包まれた。
◇
■川島明スピーチ全文(ほぼそのまま)
『ラヴィット!ロック』盛り上がってますか?盛り上がってますか?「ほぼ見えない席」見えてますか?ありがとうございます。今年も5分ほど、『ラヴィット!』を代表してお話させていただきます。MCの麒麟・川島明です。よろしくお願いします。
『ラヴィット!』の皆様のおかげで、今年5年目を迎えることができまして、本当にありがとうございます。この番組、始まった当初のコンセプトは『ライフアイデア発見バラエティー』というジャンルだったんですけども、いわゆる笑える情報番組で目指してたんですが、いつの間にか5年目を迎え、『ラヴィット!』は現在、何の情報もお届けできてない、そういう番組になりました(笑)。
自分のことを「ハンバーグボーイ」と言い、子どもをひき連れて踊り、そう言い切る中年男性を見ても何の情報もないと思いますし、「今から音楽が流れます、太鼓を叩いてください。でも4発しか叩けません」。その姿を見て主婦は何を思うのかと思いますが、精一杯、バラエティーをやらしてもらっている、そんなつもりで2025年も走ってきました。でも、ただのバラエティーではないような気がしてて。なんか今年は、ひとつ“特別な場所”になったんじゃないかなと思う出来事が、7月28日にありました。
月曜日だったんですけど、月曜メンバー、ぼる塾とか丸山さん、本並さんとかみんながいて、そこになすなかにしの2人ももちろん出てたんですけど。那須くんは皆さんご存じの通り、2023年の年末にちょっと脳梗塞を患って、突然緊急入院して、突然手術して、もう戻ってこれないのかもしれないなんて状況を、「なすなかにし」という看板を、中西くんが守り抜き、そして那須くんの奥さん、家族、皆さんが懸命なリハビリにサポートしたおかげで、驚異の5ヶ月というスピードで那須くんは『ラヴィット!』に帰ってきてくれました。帰ってくる番組として『ラヴィット!』を選んでくれました。
那須くんが帰ってきた時は、僕はもうほんまたまらなくてハグしてしまったんですけども、そこから1年3ヶ月、なすくんは“ビリビリ”を受けることはできなかったんです。そらそうですよね、お医者さんに脳梗塞で倒れて、4ヶ月リハビリしてるんですけど、「『ビリビリイス』受けていいですか?」と言って、「どうぞ」っていう医者はこの世にはいないと。「知らないことなんで、ちょっとやめといた方がいいんじゃないですか?」ということが続いて、那須くんは『ビリビリイス』を受けられなかったんですね。那須くんも悔しかったと思うんですよ。仲間がみんな『ビリビリイス』くらってんのを、ちょっと離れたところでいるしかなかったっていう。
そして、またそこからリハビリがあって、リハビリを完全に終えて今年の7月28日、なんと那須くんのお医者さんが『ビリビリイス』を受けてもいいという判断を下しました。聞いたことない判断だったんですけども、もし(ゲームに)失敗したらっていうことだったんですけど。覚えてる方もいるかもしれないんですけど、つい1ヶ月前のことなんで。みんなでぼる塾とか僕らとか、月曜メンバーみんなで食パンの値段を当てたり、デニーズのオムライスの値段を当てたりという。近似値が出ればそのチーム優勝みたいなことだったんですけど、結果、蓋開けたら全員が大きく値段を外しまして、全員がビリビリっていうことになったんです。
もちろん那須くんがそこにいて、僕は初めてのことなんで、那須くんに何かあったらどうしようっていう不安ももちろんありました。自分もビリビリをくらうんですけど、那須くんの方ばっかり見てました。で、無情に3・2・1というカウントが流れて、全員にビリビリが来ました。那須くんも、もちろんバンッとくらって、僕はつい那須くんに「どうですか?」と振ったんですけども、そん時に「痛い」とか、「なんやねん、これ」とか言わず、那須くんは「ただいま」って言いました。
すごいなと思って。なんか『ラヴィット!』ってみんなが帰ってこれる場所になってるんだなと、そこではっと思ったんです。昨年の『ラヴィット!ロック』からいろんなことがあったんですけど、いろんな理由で『ラヴィット!』に出たくても出られない人がすごく増えたんです。近藤千尋さんのようにめでたい出産という理由もあれば、大人の事情とか、なんかいろいろあったり。はっきり言って「謹慎」の人が出てきたりですね。これはでも今までなかったんですけど、『ラヴィット!』にとっては、非常にダメージがあったんですけど。
でも、今の世の中というのが、そういった方々に対する「休め」っていう判断はすごく早いんですけど、彼らが何かを成し遂げて、気持ちを整理した時に、帰ってこられる場所がないんですよ。世の中全体そうかなって思うんですけど、それがすごいなんか反省したり、いいことしたのに悲しいなと思って。だから『ラヴィット!』という番組は、みんなが、そういったみんなが帰ってこられる場所になったらいいなと思って、スタッフさん、そして演者、メンバーが、相変わらず楽しいバラエティーをずっと守り続けております。(客席から拍手)ありがとうございます。
皆さんもそういうことがあると思うんです。今から受験のある方とか、就活したり、なんでしょうね、人生の大きな決断があったり、ちょっと、自分のせいじゃないのになと思って、日常からちょっと離れるなんてことがあるかもしれません。だから、『ラヴィット!』見たかったんだけども、ニュースしか見ることが許されなかったり、ニュースっていうのかテレビを見ることもできなくなるっていう方々も、今いるかもしれませんし、これからそういう人がいるかもしれないです。
だけどまた、一生懸命頑張って夢中になるというのは、人間とって1番すてきなことなんですけど…そこでやっぱ疲れたなとか、ちょっと休みたいな、しんどいなと思った時は、ぜひ『ラヴィット!』をつけていただきたいと思っております。変わらない日常、そして相変わらず真剣にふざけるみんなの様子を見て、「またこんなことやってる」とか、「あんなことやってる、笑ってもうた」「また明日から頑張ろう」、そういうふうに思える番組作りを目指して、スタッフと出演者一同、頑張っております。
そうですね。そうやって、別に『ラヴィット!』が皆さんに寄り添うなんておこがましいことは言いたくないんですけど、つらかったり、しんどかったり、ちょっと嫌やな、自分を肯定できないなっていう時はぜひ『ラヴィット!』に持たれてください。
ふとテレビをつけたら、またぼる塾がハンバーグを食べ、どこのチェーン店のハンバーグか一生懸命悩んでると思います。またある時は、若槻さんにビビる大木さんがタメ口で怒られてると思います。そしてまたある時は、ラッピーに盛山が飛びかかり、スタッフ全員に取り押さえられてると思います。ある時は、屋敷が5メートルのロングパットを決め、その30分後に嶋佐がカラオケで大きな声で歌ってると思います。金曜メンバーがカメラに向かってキス顔を披露し、全員が顔を赤くしてキツネに襲いかかるという瞬間もあると思います。その一部始終を見ていた田村真子さんが、さっきまで爆笑していたのに、急に「報道フロアから最新のニュースです。高柳光希アナウンサーお願いします」と、本業に戻ったみたいな顔してると思います。
つまり、変わらない日常というのを皆さんにお届けできたらと思って、出演者、スタッフ一同頑張っております。これからもよろしくお願いいたします。
(客席から拍手)
ありがとうございます。最後になりますが、今日ほんとに365日『ラ