
【エンタメ総合】
『19番目のカルテ』松本潤ら、現場で生んだ“相乗効果” 岩崎Pが明かす

松本潤が主演を務める、TBS系日曜劇場『19番目のカルテ』(毎週日曜 後9:00)。7日に最終回を迎える本作は、多くの人の心に寄り添い続けてきた。ここまで作品と向き合ってきた岩崎愛奈プロデューサーに制作の舞台裏と最終話への思いを語ってもらった。
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■視聴者から届いた声に支えられて
――岩崎さんのもとにどんな反響が届いていますか?
「徳重晃先生のような先生に診てもらいたい」という声がたくさん届いています。真摯に患者さんと向き合う医師像を、松本潤さんが丁寧なお芝居で作り上げてくださったおかげだと思っています。
そして、ありがたいことに、同じ病気で大変な思いをされている方やそのご家族の方から「自分のことを描いてもらえたようでうれしい」「病気のことを知ってもらえてありがたい」「痛みや苦しみをリアルに表現してくれてうれしかった」といった声を多くいただいています。おこがましいかもしれませんが、このドラマが少しでも病気と戦っている方の力になれているのだとしたら、本当にうれしいです。
――そういった反響をドラマに生かした部分はありますか?
撮影現場で松本さんのお芝居を見ていても「こんなお医者さんがいたら救われる方がいるだろうな」と思っていたので、その思いが届いてうれしかったです。松本さん演じる徳重先生の影響で、魚虎総合病院の先生達や雰囲気は少しずつ変わってきましたが、それは徳重先生の真摯さや優しさが波及していったから。このドラマを見てくださった方にもその優しさが広がっていって、世界が今よりほんの少し優しくなったら…ということを大きな目標に掲げていたので、受け止めてくださった皆さんのおかげでその目標に少し近づけたのかなと感じています。
皆さんから届いた声が私たちの力となって、これまで積み重ねてきたものに自信を持って取り組んでいます。
■撮影現場で心に残った瞬間
――撮影で印象に残っているエピソードを教えてください。
第6話では、小芝風花さん演じる滝野みずき先生がターミナルケア(終末期医療)に向き合いました。同時に、そんな滝野先生を見守る徳重先生の存在の大きさを実感する回でした。命と真正面から向き合うお医者さんの存在の難しさや心強さを、松本さんと小芝さんが素晴らしいお芝居で体現してくださり、本当に心が震えました。徳重先生が滝野先生に「つらいね」と声をかけるシーンは、大好きなシーンです。
肺がんステージ4と診断された半田辰を演じた石橋蓮司さんやご家族役の今野浩喜さん、近藤公園さんのお芝居も圧巻で、命を描くドラマの意義を改めて俳優の皆さんから教えていただいた気がします。
さらに第7話、第8話では、赤池登役の田中泯さんと松本さんの芝居を存分に堪能できると思います。監督やキャストと意見交換を重ね、シーンごとに圧倒される日々です。このお2人と同じ空間でドラマを作れる幸せをかみしめながら撮影しています。
撮影現場で私たち自身が毎日心を震わせていたので、きっとその力は視聴者の皆さんにも伝わると思います。魚虎総合病院が徳重先生の存在によって変わっていく姿も、ぜひ最後まで見届けていただきたいです。
■ディスカッションから生まれる深み
――意見交換から生まれたシーンもあるとのことですが、特に印象的な場面は?
全体を通してディスカッションは多く、その中で松本さんの言葉からインスピレーションを受けることがたくさんありました。俯瞰で物事を見て「こうしてみたらどうだろう」と提案してくださり、演出や芝居に深みが増すことがよくあります。
特に赤池先生と徳重先生のシーンは難しい部分もあり、松本さんはもちろん泯さんとも何度も話し合いながら作っています。坪田さんの脚本が、俳優お2人のお芝居やスタッフの力を引き出し、そこにそれぞれの意見が合わさって相乗効果を生んでいると感じます。
また、医療監修を担当してくださっている総合診療医・生坂政臣先生の存在も大きいです。一般的に監修は専門用語の修正や手技の指導が中心ですが、生坂先生は医師としての哲学や教育、医療の未来像まで語ってくださいます。そのお話から多くのヒントをいただき、医療監修の枠を超えて一緒に物語を作ってくださっていると感じています。
――最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
新しい医療ドラマを作りたいと考え、最も新しい診療科である総合診療科を取り上げました。作っていくうちに医療の未来や可能性へと切り込む壮大な物語になっていったと感じています。
その根底にあるのは「優しさ」と「命への尊厳」。皆が一丸となってその芯がぶれることなく最後までくることができました。放送当初の思いは「日曜の夜、いつもより少しだけでも安心して眠れるように」。最終話に向けても、静かな優しさや温かさが皆さんの胸に残るような物語になることを願っています。ぜひ最後まで見届けていただき、一緒に「生きるとは何か」を考えていただけたらうれしいです。