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吉本新喜劇の座員が“ジェンダーを超えた”役柄を熱演 佐藤太一郎が新作舞台をプロデュース

吉本新喜劇・佐藤太一郎企画その27『ボクのサンキュウ~男だらけの育児奮闘記~』が、10月8日~10日に大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01で上演された。
【写真多数】佐藤太一郎企画その27『ボクのサンキュウ~男だらけの育児奮闘記~』の様子
高校時代から演劇に魅せられ、劇団「ランニングシアターダッシュ」を経て新喜劇入りした経歴を持つ佐藤が、演劇人としての顔を見せる「佐藤太一郎企画」の27回目。作・演出は劇団「空晴」代表の岡部尚子氏で、新喜劇からは佐藤を筆頭に、ケンと筒井亜由貴、さらに湯浅崇(テノヒラサイズ)、ドヰタイジ(STAR★JACKS)らが勢ぞろい。テーマは“男性による育児”。9人の男たちがぶつかり合う、笑いあり涙ありのハートウォーミングな舞台で、初日から客席を大いに沸かせた。
社員寮の代表電話にかかってきた一本の電話を、佐藤扮する寮母・林(りん)が取るところから物語はスタート。続いて電話を取り次がれた寮生一人ひとりの“ワケあり”な会話を、観客はのぞき見していく。
姉の体調不良にうろたえる大地(筒井)、彼女が電話口で泣いているらしい海人(徳城慶太/GEN × SEN)、親からの電話に辟易している空野(まえかつと/コトリ会議)、友人から初デートの相談を受けている川村(ケン)、祖母からの電話で“人気者”を演じる山田(湯浅)、詐欺電話に素で返して引かれる先輩(F.ジャパン/劇団衛星)、そして何も言わず受話器を置く管理人の田(ドヰ)──そんな男たちが暮らす寮に、突然“赤ちゃん”がやってきた(?)という事件をきっかけに、それぞれの人生や想いが交錯していく。
佐藤の役どころは、男性でありながら女性的という、ジェンダーを超えた寮母・林。寮生たちを母のように見守り、時に叱咤しながら明るく支えるが、実は悲しい過去を抱えていた。笑いも涙も一手に引き受ける活躍ぶりで、憎まれ口ばかりのドヰとの掛け合いは、酸いも甘いも知る“大人の味わい”を醸し出した。
カーテンコールの後は、客電がついてもしばらく拍手が鳴り止まない盛り上がり! 劇場ロビーでは、観客を見送るキャストたちに「めっちゃよかった!」といった称賛の声が次々とかけられたていた。