【映画】
山崎まさよし「One more time, One more chance」は「歌そのものが生きている感じ」

山崎まさよし(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.


 デビュー30周年を迎えたシンガー・ソングライターの山崎まさよし。代表曲「One more time, One more chance」は、映画『月とキャベツ』の主題歌として世に出た後、新海誠監督の『秒速5センチメートル』でも注目を集めた。いまなお多くの人の心に響き続けるこの曲が、『秒速5センチメートル』の実写化作品で再び劇中に流れることになった。節目の年にめぐってきた“再会”を、山崎はどのように受け止めたのか。



【動画】「One more time, One more chance」リリックビデオ



――デビュー30周年を迎えられたということで、おめでとうございます。ちょうど節目の年に、代表作のひとつとも言える楽曲「One more time, One more chance」が使われたアニメーション映画の実写版が作られ、劇中歌として再びコラボするという巡り合わせになりました。率直に、どのように感じられましたか。



【山崎】そうですね。あの曲を作ったのはデビュー前、まさに横浜・桜木町に住んでいたころです。その後、映画『月とキャベツ』(1996年)のお話をいただいた際、当時のマネージャーが篠原哲雄監督に「この曲も使ってもらえないか」と提案してくれて。僕自身は新人でしたから「使ってください」とは言えなかったけれど、本読みのときにギターを持って行って、監督とプロデューサーの前で弾き語りしたのを覚えています。



――それで山崎さんが音楽を担当し、主演として俳優デビューされた『月とキャベツ』の主題歌に用いられたのですね。



【山崎】「One more time, One more chance」はシングルカット(1997年1月)もされて、その約10年後に新海誠監督の『秒速5センチメートル』(2007年)で使われました。その後もいろんな場面で流れて、カバーしてくださる方も多くて。自分のライブでも歌いますが、もう“手を離れた”感覚がありますね。



――まるで、歌が自立して育っていったような?



山崎: そうそう。歌そのものが、いろんな人の思いを乗せて生きている感じです。多くの方に愛してもらえて、本当にありがたいです。



――新海監督の『秒速5センチメートル』で楽曲が使われたとき、あの仕上がりを見てどう思われましたか。



山崎: すごくありがたかったです。セリフがない中で、情景描写とともに音楽が流れる。あれはもう、映像と歌が“対等”なんですよね。CMやドラマのようにBGM的に流れるのではなく、作品と肩を並べて存在している。そういう使われ方は新鮮でした。



――当時、かなり斬新な演出でしたね。今回、実写映画で再び劇中歌として使われることになったときは?



山崎: 幸せな歌だなと思いました。「やめて」「実写はちょっと……」なんて言えませんよ(笑)。



――ご自身で分析されて、これほど長く愛される理由はどこにあると思いますか。



山崎: なんでしょうね……。まずタイトルが長いですよね(笑)。「セロリ」みたいに短いタイトルが多い中で、「One more time, One more chance」は僕の作品の中でも珍しく長いし、全部英語。でも、それが逆に印象に残るのかもしれません。この曲は自分でモチーフを考えてゼロから作りましたが、最近はCMやドラマのタイアップで絵コンテや脚本を見ながら作ることが増えて思ったのは、映像と歌が離れていると興ざめするということ。やっぱりお互いに寄り添っていないといけない。『月とキャベツ』のときも、篠原監督が僕の歌を聴いて、あの映像を撮ってくださった。新海さんの作品も、「いつでも捜しているよ」というフレーズが貴樹の心情にぴったりで、作品と歌が離れていなかった。そういう“呼応”があると、強いと思います。



――実写版『秒速5センチメートル』では、『月とキャベツ』のDVDを高畑充希さん演じる明里が手に取るシーンがありました。あれは原作にはない実写版オリジナルの場面ですが、ご覧になっていかがでしたか。



山崎: 試写で観て「カメオ出演?」って思いました(笑)。知っている人はクスッとするでしょうね。「One more time, One more chance」はカラオケのシーンでも流れていて、たくさん使ってもらってありがたい反面、ちょっと申し訳ない気もします。



――映画の内容は、あまり詳しく知らずにご覧になったんですか。



山崎: そうですね。アニメ版は約1時間ですが、実写版は2時間くらいあって、シーンも増えていました。ただ、大事な部分はきちんと踏襲されていましたね。中学生の貴樹が明里に会いに行くシーンでは、当時の車両を探して撮影したと聞きました。絵作りのこだわりや新海さんの原作へのリスペクトを感じました。幼少期、高校時代、大人と時間の経過を描く中で、成長することの残酷さ、時間の非情さもよく出ていたと思います。



――成長することの残酷さですか。



山崎: 時間って残酷なんですよ。人は思い出を忘れながら生きていく。エンディングで電車が踏切を通り過ぎるシーンも胸にきました。“ふたりの距離”を象徴していて、アニメ版と同じように胸を打たれましたね。



――音楽だけでなく、映像作品やドラマなど、幅広い活動をされています。30周年を迎えて、今後挑戦してみたいことは。



山崎: 僕ができるのは歌を作って歌うこと。それ以外でも、求められることにはできる限り応えたいです。昨年出演したドラマ(『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』)は男同士の関係を描いていましたが、それも挑戦のひとつでした。新しいジャンルや表現に挑戦することは、やっぱり刺激的ですね。

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