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成宮寛貴×宮本亞門、25年ぶりの舞台再会 原点から『サド侯爵夫人』へ――特別対談

成宮寛貴×宮本亞門、25年ぶりの舞台再会 原点から『サド侯爵夫人』へ――特別対談


 数ある三島由紀夫の戯曲の中でも最高傑作と称される『サド侯爵夫人』が、来年1月より上演される。演出を手がけるのは、かねてより本作への強い想いを抱いていた宮本亞門。そしてタイトルロールのルネ役には、昨年芸能界復帰を果たした成宮寛貴が挑む。2人の顔合わせは、成宮の俳優デビュー作以来25年ぶり。さらに今回は男優6人による“オールメール(全員男性)”での上演という大胆な試みにも注目が集まる。稽古開始を前に、2人は今どんな思いでこの作品と向き合っているのか、その胸の内を聞いた。(取材・文:野上瑠美子)



【写真】芸能界復帰を果たし『サド侯爵夫人』に挑む成宮寛貴



――宮本さん演出の舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』(2000年)が、成宮さんのデビュー作です。当時印象に残っていることは?



宮本 あのときいくつ?



成宮 17歳です。



宮本 そうかぁ~!



成宮 何も知らない17歳ですね。オーディションで選んでいただいたのですが、3000人くらい受けていたので、まさか受かるとは思っていなくて。



宮本 いろいろ思い出してきた!成宮くんは本当に初々しくて、キラキラした目が印象的でしたね。だから僕には演じているのがとても楽しそうに見えて、それがいいなと。



成宮 作品としては重い内容で、正直17歳の僕にはわからない部分もたくさんありました。それでも楽しくやらせてもらえたのは、その後事務所の先輩になる木村佳乃さんなど、共演の皆さんが解きほぐしてくださったから。何より亞門さんが明るく、太陽のように、いつも高い温度で接してくださって。だから僕も、その温度を保っていなければという想いで臨んでいました。



――ご一緒されるのはその時以来25年ぶり。成宮さんにとっては芸能界復帰後初の舞台になりますが、そこに三島由紀夫の『サド侯爵夫人』を選ばれた理由は?



宮本 まず前からどうしてもやりたいと思っていた三島作品だったからです。三島さんの最高傑作と言われるほど完成度が高い戯曲で、演じる側にもスタッフ側にも本当に壁が高く、だからこそ、いつか演出してみたいと思っていました。そんなとき、成宮くんと偶然会って…。



成宮 ちょうど僕が復帰しようかなと思っていたタイミングに、材木座海岸(神奈川県鎌倉市)でお会いしたんですよね。



宮本 そうだ、そうだ!たまたま海の家のイベントでね。



成宮 そこで復帰のご報告をしたら、ご飯に誘ってくださって。



宮本 そしたら復帰を考えていたみたいで「やっぱり演技が好きだ」って話を聞き、じゃあ本気でやってみる?と。そうしたら「ぜひ、本気で」って返してくれたので、じゃあ三島由紀夫だ、ドン!みたいな(笑)。正直、慄(おのの)いて断られると思っていたけど…。



成宮 もちろん驚きました。久しぶりの舞台で、『サド侯爵夫人』、夫人だしなぁ…って(笑)。



宮本 (笑)。



成宮 でも亞門さんはもう絶対にやると決めているだろうし、僕の芸能の勘のようなものも、これは絶対にやるべきと言っている気がしたんです。



――成宮さんという大きな柱を得て始動した『サド侯爵夫人』ですが、そもそも宮本さんをこれほど魅了する理由とは?



宮本 これまでも『金閣寺』や『ライ王のテラス』を舞台化してきましたが、僕が三島作品に惹かれるのは、やっぱり彼の生き方ですよね。現代人が生きるうえでのテーマもガンガン投げかけてくるので。『サド侯爵夫人』に関しては、セリフ量も含めて、役者さんにとっては地獄に落とされるような、非常にスリリングな作品だと思っています。徹底的に自分と向き合わないとやっていけないので。本気で三島戯曲に挑戦したい人が集まったら、面白くなるだろうなと。



成宮 僕が演じるサド侯爵夫人のルネは、すごく強い女性だと感じています。さまざまな制約がある中、自分の生きる道を自ら選び、貫き通したキャラクターなので。確かに復帰一作目としてはとても高いハードルだと思いますが(苦笑)、これを超えられたら絶対に次がある。そんな確信はありますね。



――さらに気になるのがオールメールでの上演です。



宮本 三島って筋肉に固執するような男性性があるのと同時に、ものすごく繊細で優しい女性性もある。そのバランスが絶妙で愛おしい。だから本質的なことさえ伝われば男性が演じても、女性が演じてもいいと僕は思うんです。ただ三島自身はやはり男性なので、彼が作った世界観を一番露骨に出せるのはオールメールなのかなと。しかも今回はロココ調ではなく、なるべくシンプルに、省いた形での表現を目指していきたいと思っています。



■上演情報

東京公演:2026年1月8日(木)〜2月1日(日) 東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

大阪公演:2026年2月5日(木)〜2月8日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール

豊橋公演:2026年2月13日(金)〜2月14日(土) 愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT

福岡公演:2026年2月17日(火)〜2月18日(水) 福岡・福岡市民ホール 中ホール



出演:成宮寛貴、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也

演出:宮本亞門

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