【エンタメ総合】
リアム・ギャラガーが仲間や家族と通う六本木のライブハウス――オアシスとAbbey Road Tokyoの特別な関係

オアシスのリアム・ギャラガーのほか多くのミュージシャンを魅了する、ザ・ビートルズトリビュートバンド「ザ・パロッツ」


■今回の来日公演ではリアムの息子たちが来店



 ザ・ビートルズのトリビュートバンド、ザ・パロッツが拠点とするライブハウス・六本木「Abbey Road Tokyo」。ここは、オアシスのリアム・ギャラガーが来日するたびに足を運び、「日本での楽しみ」としてテレビ番組でも名前を挙げた店だ。リアムが友人バンドを連れて訪れたり、ステージに上がってメンバーとハグを交わしたり──そんなエピソードが積み重なり、「オアシス御用達」のライブハウスとして世界中のロックファンにもその名が広まってきた。



【写真】かっこいい…!Abbey Road Tokyoに来店したリアム・ギャラガーの息子たち



 オアシスが再結成ツアーを開催し、世界中の音楽ファンが沸いている。そして16年ぶりの来日公演も大きな話題を呼んだ。今回は残念ながらリアムは来店できず、代わりに息子のレノンとジーンが遊びに来たという。Abbey Road Tokyoを訪れ、ザ・パロッツのメンバーたちに話を聞いた。



 「関係者の方が事前に来店してくれて、リアムは今回来たかったけどどうしても行けないと。再結成の話題もすごいし、ファンが集まってしまうようなところに行くな、みたいなところもあるのかなと。今回は無理かと思っていたところで、リアムの息子たちが来てくれたんです」



 来店した息子たちに理由を尋ねると、返ってきたのは、いかにもリアムらしい“指令”だった。



 「お父さんに、東京で遊びに行くんだったらAbbey Road Tokyoに行ってこいって言われたって。自分が行けないから行ってこいって」



 店に入ってきた瞬間から、その佇(たたず)まいにミュージシャンらしさを感じたという。彼らは女性と一緒に席に着き、最後まで約3時間のステージを真剣に見つめた。演奏曲のリクエストには、父リアムやオアシスとのつながりがにじむ選曲があった。



 「すごく真剣に聴いて、拍手して、最後は立ち上がって手を上げて。どんどんノリノリになって、最後は『アンコールもやってくれるの?』みたいな感じで楽しんでいました。リクエストはやっぱり、お父さん、オアシスがやってる『アイ・アム・ザ・ウォルラス』とか『ヘルター・スケルター』とかでしたね」



■最初の来店時はリアム&ノエルが一緒に



 リアム本人が初めて店を訪れたのは2001年までさかのぼる。



 「最初はなぜ来てくれたのかはわからないんですけど、何曲かやってる間に感動してくれて、ステージに上がってきて、無理やり全員にハグしてきたんです。それから来日するたびに来てくれるようになったんですよ。毎回すごくライブを楽しんでくれて、歓声をあげたり、『あの曲をやってくれ』ってリクエストをしてくれる。今回は来れなくて残念でしたけどね。しかも最初は兄弟で来てくれたと思います。仲も良かった頃だったので(笑)」



 オアシスとザ・パロッツの深い関係を決定づけた出来事のひとつが、音楽番組『ミュージックステーション』での発言だ。オアシスが出演した際、「日本に来て何が楽しみですか?」と聞かれたリアムは、「お酒と、ビートルズバンドのパロッツのライブを観に行くこと」と答えた。その翌日、店には「昨日オアシスに名前呼ばれてたよ」という声とともに、多くの来店客が詰めかけた。



 初来店以降もリアムはブラック・クロウズやトラヴィスらを引き連れて来店し、彼らもリクエストを飛ばしながら楽しむ常連となった。ザ・パロッツのステージは、海外アーティストたちにとっても“六本木の遊び場”として浸透していく。



 その輪はさらに広がる。アークティック・モンキーズがデビュー間もない頃に「オアシスに言われて来た」と店を訪れ、大満足の様子で帰っていった。その約1年後、彼らが世界的バンドへと成長したタイミングで、英マンチェスターのスタジアムで開催したライブにザ・パロッツを招くことになる。



 「そのバックステージでもスーパーグラスのギャズが『お前ら六本木で見たことあるぞ』って。『お前らも来てたんかい』っていう(笑)。こっそりジェフ・ベックも来てたことがあるみたいですし、もっと注意深く見てないとダメですね」



■彼らを釘付けにする理由



 来店したアーティストとして、スティングやコールドプレイらイギリスのスターたちの名前が挙がる中、ザ・パロッツのメンバーたちは、彼らを釘付けにするその理由をこう語った。



 「私たちはもちろん、完全なビートルズではないです。見た目も違いますし、僕(ポール・マッカートニー役のゴードン氏)はポールみたいに左利きでもないです。ビートルズはもちろんですが、ブリティッシュロックの良さを、僕らを通して聴いてもらいたい気持ちがあって、キンクスだったり、ザ・フーだったり、いろんな要素を取り入れながらライブをやっています。だから彼らは、自分たちの国のロックをやってくれてる!みたいに感じ取ってくれてるのかなと思うんです。考えることは一緒。好きな音楽は一緒ですから」



 また、「Abbey Road Tokyo」という同じ場所に立ち続けることにも音楽ファンを惹きつける理由がある。



 「同じところでやり続けているだけに、ビートルズと同じように音楽的な実験がいっぱいできるんです。ビートルズの曲を発展させたり、“ビートルズの曲をクイーンやツェッペリンがやったらどうなるか”みたいな遊びもできる。そういう部分も、もしかしたら気に入ってもらえているのかもしれないです」



 いつもの環境、いつものステージだからこそ、細かなニュアンスや遊び心を積み重ねていける。その“実験”に観客が付き合い、一緒に楽しんでくれる。その空気こそが、リアムや多くのロックスターたちの心をつかんできたのだろう。



 リアムが息子たちに託した「東京で行くべき場所」。ザ・パロッツは、ビートルズとブリティッシュロックへの尽きない愛情を鳴らし続けながら、このライブハウスを、世界中のロックファンから注目される特別な場所に変え続けている。

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