
【音楽】
日向坂46、新体制で臨んだ初の全国ツアー完走 鳴りやまぬ拍手にキャプテン・高橋未来虹は涙【ライブレポート】
アイドルグループ・日向坂46が21日、東京・国立代々木競技場 第一体育館で、日向坂46 ARENA TOUR 2025「MONSTER GROOVE」ツアーファイナルを開催した。二期生~五期生までの新生・日向坂46として臨んだ初めての全国ツアーを無事に完走した。
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ライブがはじまりを告げる「Overture」が終わると、“MONSTER GROOVE”の名の通り、会場には重低音が鳴り響く。王冠をかぶった地球が真っ二つに割れ、今回のツアーの座長を務めた二期生の小坂菜緒&金村美玖が登場して「NO WAR in the future 2020」がスタート。そこから続々とメンバーがステージへと姿を現し、のっけからグルーヴを響かせる。鋭く刻まれるダンストラックが間に差し込まれ、序盤からエネルギーが爆発するような開幕となった。
「夕陽Dance」では、つい最近までグループ最年少だった渡辺莉奈が堂々とセンターに立ち、まっすぐに観客へ煽りを飛ばす。その覇気に満ちた姿からは、先輩へと成長した責任感と、この2年間で手にした確かな自信がにじむ。最新シングルでも二列目センターに抜てきされ、Wセンターの間から存在感を示していた渡辺が四期生を引っ張り、頼もしさにあふれたパフォーマンスを見せた。
そのまま続く「キツネ」では、会場の四方に配置された“小ステージ”に、メンバー2~3人ずつが散開。メンバーがこれまで以上に観客の近くに立つことで、お互いの熱が直に交わるような距離感が生まれ、フロアのグルーヴがまたひとつ引き上げられた。
「君はハニーデュー」を経てのMCでは、五期生・大野愛美が「五期生は初めて全国ツアーに参加させていただいて、初めは不安や緊張でいっぱいだったんですけど、おひさま(日向坂46のファン)のみなさんのおかげで、胸を張ってステージに立てることを実感しました」とまっすぐに思いを伝え、その言葉に客席から大きな拍手が広がった。
そして次の曲「Love yourself!」では、センターの小坂菜緒がピアノの旋律を背に、ひとりで1番までを歌いあげた。儚(はかな)さと強さが共存する歌声が会場に響きわたり、観客も静かに聴き入る。後半はいつものフォーメーションに戻りながらも、楽曲が持つ可能性を新たに示すような1曲となった。
五期生曲「空飛ぶ車」では松尾桜がセンターに。ツアーや『新参者』ライブを経て急速に身につけたスキルが、ここで一気に開花する。フレッシュさを残しつつも豊かな表現力でステージを支配し、その姿に客席も引き込まれていく。
「足の小指を箪笥の角にぶつけた」からはユニット曲・期生曲をオリジナルメンバー以外が歌う挑戦的なコーナーへ。大胆にアレンジされた楽曲が次々と披露され、それぞれのメンバーの新たな魅力が発掘された。さらに、曲間のブリッジではメンバーがさまざまな音楽に挑戦。大野は特技の音ゲーを生かしたサンプラーさばきで魅せ、正源司陽子はギター、金村美玖はドラム、平尾帆夏はピアノを担当。松尾が大野のサンプリングに合わせてラップ“SAKURAP”を放つと、会場は歓声に包まれた。東京公演では、地方公演からさらにアップデートしたパフォーマンスを見せるメンバーもおり、会場をさらに盛り上げた。
ラストスパートでは、「あの娘にグイグイ」「好きということは…」へとつながり、DANCE TRACKを経て「アディショナルタイム」「見たことない魔物」で一気に空気が沸騰。「愛はこっちのものだ 2025」では、一期生の意思を受け継ぐアップチューンが炸裂。高橋が「きょうイチの声でブチ上がっていくぞ!」「代々木騒げ~!」と吠える様子からは、すべてを出し切ろうとする覚悟が見えた。
そこから一転、空気が一度静まり、小坂と金村だけが姿を現す。“なおみく”によるしっとりとしたペアダンスが流れるように展開され、2人のユニット曲「See Through」へ。初日とは異なり、ここでユニット曲を挟んだ予想外の流れに客席からどよめきも起きた。重低音を強くうならせた同ツアー限りの「See Through」で視線をくぎ付けにした。そして続く最新シングル「お願いバッハ!」では、そんな小坂&金村がWセンターを務めあげ、2人はハグをして本編を締めくくった。
アンコール明けの1曲目は、グループのデビュー曲「キュン」。シンプルなツアーTシャツに着替えたメンバーたちは、色褪せない名曲をフレッシュにパフォーマンス。
MCでは、グループ最多のセンター作を持つ小坂が、実は自身がセンター=座長として回るツアーは今回が初めてだったことに触れ、「このツアーを通してメンバーみんなの笑顔を見れたことが個人的にはすっごく幸せ」と語った。高橋は、新しい挑戦が多かった今回のツアーに不安があったことを告白し、「みなさんの期待は超えることができましたかね」と問いかける。それに応えるかのような会場からの鳴りやまぬ拍手に高橋は涙を見せながら、感謝を伝えた。
そしてグループに課せられた期待と未来への思いを歌った楽曲「Expected value」を歌う。間奏中に、高橋がグループを代表してスピーチをした。
「地方公演を乗り越えて、こうして代々木の地に戻ってきて、改めてこの長いようで短い2ヶ月が、もう幕を閉じようとしていることを実感しています。改めて、ここまで支えてくださったおひさま(日向坂46ファンの総称)の皆さん、本当にありがとうございました。私はツアーのセットリストが配られた日から、このツアーが本当に楽しみで。でも新しい挑戦も多くて、不安や緊張ももちろんあったんですけど。一緒にライブを作り上げてくれるおひさまの存在に、すっごく支えられた2ヶ月間でした。新しい挑戦も多い中、メンバーはステージに立って見えている部分だけではなくて、本当にひたむきな努力を重ねてここまで駆け抜けてきました。それが皆さんの目にはどう映ったのでしょうか。もしよかったら聞かせてください。グループの現在地点と向き合うこと、それは時に悔しくて、もどかしい気持ちになることもありました。だけど、そういった気持ちを乗り越えてこそ、今日みたいにみんなで心から笑える日があるんだなと私は思いました。日向坂46は、誰かが落ち込んだりうつむいたりした時に、そっと手を取って寄り添ってくれるメンバーもいたり、その手を強く引っ張ってくれるメンバーがいたり、本当に素敵な子たちの集まりなんです。そんなこのグループをたくさんの人に知ってほしいという思いで、強い気持ちを持って、このツアーに臨んできました。こんなに素敵なメンバーと、いつも愛をもって接してくださるスタッフの皆さんと、そして何より、どんな時も味方でいてくれて、助けてくれる、そんなおひさまと、このツアーが幕を閉じてもまだまだ見たい景色があります。これからも、日向坂46とともに横一列になって、歩いていってくれると嬉しいです。これからも、日向坂46の応援をよろしくお願いします」
さらにこの日は、ツアー最終日にふさわしくWアンコールが。メンバーたちが全ステージに散らばって、グループの初期からのライブアンセム「誰よりも高く跳べ!2020」を歌う。大サビ前には、高橋が「おひさまー、跳べー!」と絶叫し、ファンとメンバーが一緒になって大ジャンプ。会場は揺れるような盛り上がりを見せた。
歌い終えたメンバーたちはマイクをおろし、生声で最後のあいさつをする。「本日は、本当に、ありがとうございました!」という全員の声は、アリーナの後ろの席にも響いていた。
メンバーたちが退場した後は、モニターで嬉しい発表が。2026年1月28日、日向坂46の16thシングル「クリフハンガー」が発売されることが発表。前日の公演では、2026年4月4日、5日に横浜スタジアムでグループの周年ライブ『7回目のひな誕祭』が行われることも発表されている。
今回のツアーでは、メンバーによる楽器演奏や、シャッフルユニットといった新しい試みも取り入れられつつ、今までより多くのダンストラックも披露した。今年加入したばかりの五期生も先輩たちと同じステージで踊り、ツアーを通して、アンコールではこれまでのすべての表題曲が披露された。今年始動した高橋未来虹キャプテン体制の日向坂46は、どんな姿を見せてくれるのだろうか。7周年を迎えるグループの新しい形に期待したい。
■「日向坂46 ARENA TOUR 2025「MONSTER GROOVE」東京公演最終日セットリスト
01.NO WAR in the future 2020
02.夕陽Dance
03.キツネ
04.君はハニーデュー
05.Love yourself!
06.空飛ぶ車
07.What you like!
08.足の小指を箪笥の角にぶつけた
09.この夏をジャムにしよう
10.どうする?どうする?どうする?
11.恋












