
【エンタメ総合】
『ストレンジャー・シングス』ダファー兄弟、シリーズ完結“ラスト30分”に手応え
動画配信サービス「Netflix」の世界的人気シリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の最終章となるシーズン5・Vol.1(第1話~第4話)の配信が始まった。そのプロモーションで今月初来日を果たした、製作総指揮・脚本・監督を務めるダファー兄弟(マット・ダファー&ロス・ダファー)にインタビューを実施。彼らは「観る人を裏切らない“ラスト30分”になった」と語り、完結に向けた強い手応えとともに、双子ならではの創作スタイル、ヴェクナ誕生の裏にある“高校時代の孤独”まで赤裸々に明かした。
【動画】『ストレンジャー・シングス』最終章、ファイナル予告
――『ストレンジャー・シングス』は世界的な大ヒットになりました。成功の要因はどこにあったと思いますか?
【マット】正直、こんなに大成功するなんて全然思っていませんでした。せいぜい、僕たちのように80年代映画で育ったファンの間で“カルト的人気”になれば良いくらいに考えていたんです。でも実際には、予想以上に幅広い層に共感してもらえた。その理由はやっぱり「子どもたち」だと思います。視聴者は彼らに自分自身を重ねたり、子ども時代を思い出したりできた。SFや80年代作品のファンじゃなくても、“キャラクターたちを好きになって”一緒に物語の旅に出てくれたんです。
――最終シーズンの撮影を終えたお気持ちは?
【マット】そうですね…いま僕たちはちょっと“混乱の渦中”にいる感じなんです。というのも、まだ最終エピソードの作業が残っていて、番組が完全に終わってしまった、とは自分たちに言い聞かせないようにしているんです。撮影最終日は本当に感情的な一日でした。でもその後は、とにかく仕事に没頭して“終わり”を考えないようにしていました。
【ロス】各シーズンで最終話をどう迎えるかというのは、当初想像していたものから少しズレてしまったり、違うエンディングになってしまったりすることもあるのですが、この最終シーズンの最終話については、とても誇らしいものになったと自負しています。これは僕たちにとって大きな安心材料でした。というのも、「最後の30分」をもし観客が好きになってくれなかったら、どれだけその前を楽しんでもらえても意味がないと、ずっと感じていたからです。だからこそ、ラストを“完璧な形”にするため、本当に長い時間を費やしました。視聴者がどう受け取るかはまだ分かりませんが、僕たちは観る人を裏切らない“ラスト30分”になったと満足していますし、キャストも全員とても喜んでくれています。
――新シーズンの制作にあたり、これまでと比べて撮影手法やアプローチに違いはありましたか?
【ロス】今シーズンは、シリーズの中でも“最も”撮影の難易度が高かったです。というのも、視覚効果(VFX)の量がとにかく膨大で、VFXショットは6000に達しました。シーズン4は2000ほどだったので、3倍ですね。アクションも非常に大規模になりましたし、後半にかけてはとても感情的なシーンも多かったです。そして、一つだけ工夫したことがあります。全キャストの最終撮影日が、そのキャラクターの“最終シーン”になるようにスケジュールを組んだんです。その分、現場はとても感情的な空気になりました。でもその“本物の感情”は、きっと画面の中でも感じてもらえるはずです。
――お二人は双子として、幼い頃から一緒に映画をつくってきたそうですね。双子で映画制作をするというのは?
【ロス】僕たちは、映画を“1人で作る”という感覚が分からないんです。気づいた時にはもう一緒に映画を撮っていましたから。最初はカメラもなく、おもちゃを使って“映画ごっこ”をしていました。それから8歳か9歳くらいのときにビデオカメラを手に入れて、本格的に2人で映画を撮り始めたんです。同じ環境で育ち、同じ映画を観て、同じように好きになったので、考え方もとても近い。二人で作るのは自然なことなんです。正直、映画を“ひとりで”作るなんて、想像すると怖くて、どうやってやるんだろうと思うくらいです。
とはいえ、映画作りはそもそも“チームでやる芸術”です。これほど多くの人が関わる芸術はほかにありません。だから僕たちにとって“協働すること”は、兄弟だからというだけではなく、作品全体に関わる中心的なテーマなんです。これほど大きな規模の作品を成立させるには、たくさんのアーティストと力を合わせる必要がありますし、それは作品にも反映されています。物語の中で、キャラクターたちが“協力し合うことで不可能を可能にしていく”というのは、まさにそうした考え方の表れなんです。
【マット】僕たちは、自分たちの関係性について深く語ったり、意識的に考えたりすることはあまりありませんが、作品には確実に、兄弟として共に成長し、友人を共有しながら育ってきた経験が反映されています。成長していくなかで直面するさまざまな困難、そして、それを乗り越えるとき“そばに誰かがいてくれる”という心強さ。これは作品の非常に重要なテーマです。
――シーズン4では子どもたちがトラウマを抱えながらも支え合う姿が描かれていました。子どもたちの心の傷に焦点を当てたのはなぜですか?
【ロス】思春期というのは素晴らしい時期でもある一方で、本当に怖い時期でもあります。とくにシーズン4では、キャラクターたちが高校に入る年齢になりますが、少なくとも僕たちにとって高校時代はすごくつらいものでした。孤独を感じ、周りから浮いているような気持ちで過ごしていた。だからこそ、ヴェクナという、“人の心の中に入り込み、最悪の恐怖を突きつける存在”を書こうと思ったんです。彼らが成長するなかで避けられない“暗い側面”を描くには、ちょうどいいタイミングだと感じました。
【マット】この作品はそもそも、“居場所がないと感じている人たち”の物語です。それぞれが異なる悩みを抱えていて、年齢を重ねるにつれてその悩みもより深刻になっていきます。だからこそ、彼らが高校に進み、より大きな不安や葛藤に直面するタイミングで、恐怖や不安、迷いに付け込む“怪物”を登場させたかったんです。彼らが成長するにつれて、対峙する“恐怖”も次の段階へ進む必要がある。その成長の痛みを描くためにも、ヴェクナは必要な存在でした。
――最終話は1月1日に配信されます。年末年始の休暇シーズンということもあり、シーズン1から5まで一気見しようと考える人も多いと思います。何かアドバイスはありますか?
【マット】全シーズンを観返すつもりなら、本当はもう視聴を始めていないと間に合わないかもしれません(笑)。フルで観返すとなると膨大な時間がかかりますから。もし時間が足りない場合は、要点を押さえるという意味で、特に重要なエピソードだけを観るのもいいと思います。
それは、シーズン2の第4話「賢者ウィル(Will the Wise)」と第6話の「スパイ(The Spy)」。そして、シーズン4の第7話「ホーキンス研究所の虐殺(Chapter Seven: The Massacre at Hawkins Lab)」。これらが、物語の核心や最終話に直結する、大事なポイントになっているエピソードです。そこにもう1つ加えたいものがあります。シーズン1の第1話「ウィル・バイヤーズの失踪(Chapter One: The Vanishing of Will Byers)」です。これはシリーズ全体を理解する“入り口”として欠かせません。なので、この計4エピソードが“最重要”になります。でも本音を言えば、もちろん“全部”観てほしいですよ(笑)。全部観てもらうほうが作品としての体験が深くなると思っています。
――Vol.2(第5話〜第7話)は12月26日、最終話(第8話)は2026年1月1日に配信予定。












