
【エンタメ総合】
ダイアン津田の「長袖をください」 『2025 新語・流行語大賞』10語に残れず 「ひょうろく」や「ラブブ」も 政治色が強くなる
『現代用語の基礎知識』(自由国民社発行)は1日、毎年恒例の『現代用語の基礎知識 選「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」』“10語”を発表。「年間大賞」は、高市早苗内閣総理大臣の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」に決まった。
【一覧表】『2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞』“10語”が発表!
30語の候補から選ばれた10語は「エッホエッホ」、「オールドメディア」、「緊急銃猟/クマ被害」、「国宝(観た)」、「古古古米」、「戦後80年/昭和100年」、「トランプ関税」、「二季」「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」(年間大賞)、「ミャクミャク」となった。
受賞するのか注目を集めた「長袖をください」(TBS系『水曜日のダウンタウン』のコーナー「名探偵津田」でお笑いコンビのダイアン・津田篤宏が発した言葉)、「ビジュイイじゃん」(男性ボーカルダンスユニットM!LKの楽曲「イイじゃん」。TikTokでの動画投稿も話題をよび、せりふ部分の「今日ビジュイイじゃん」が流行した)、「ひょうろく」(フリーのピン芸人)、「ほいたらね」(NHK連続テレビ小説『あんぱん』の舞台となった高知県の土佐弁で、またねの意味)、「ラブブ」(香港出身のデザイナー、カシン・ローンが生んだウサギ耳とギザギザの歯をもつキャラクター)は10語の中には残れず。政治色の強い『流行語大賞』となった。
選考委員は、神田伯山(講談師)、辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)、パトリック・ハーラン(お笑い芸人)、室井滋(俳優・エッセイスト・富山県立高志の国文学館館長)、やくみつる(漫画家)、大塚陽子(「現代用語の基礎知識」編集長)が務めた。
また、「2025 T&D 保険グループ新語・流行語大賞『選考委員特別賞』は、「ミスタープロ野球」(長嶋茂雄さん)となった。
■受賞者と解説は以下のとおり。
【年間大賞】
「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」
▼受賞者は、内閣総理大臣・高市早苗さん。
ここのところとんと聞かなくなった気合の入った物言いに、働き方改革推進に取り組む経済界はド肝を抜かれた。午前3時の公邸入りはさらなる物議をかもし、議員宿舎のファックス紙詰まりという報道もあったが、一方で共感した昭和世代も実は多かったのではないか。「仕事ってそういうものだったな」と。多様性を尊重する働き方を実現しているところもあれば、道半ばのところもあるのが現実だ。初の女性総理、働いて働いて働いて働いて今があるのは間違いない。国内・外交、問題は山積み。どれも油断は許されない。働いて働いて働いて働いて働きながらも、人を活かし自分を伸ばす、高市流「シン・ワークライフバランス」で、強靭で幸福な日本をつくっていこうではありませんか。
「エッホエッホ」
▼受賞者は、マルチアーティスト・うじたまいさん。X(旧Twitter)アカウント名「うお座」さん。
ネットにあがっている画像や動画を、別の人がオチをつけて改変し拡散して楽しむミーム。今年、話題になったミームが「エッホエッホ」。オランダの写真家ハニー・ヘーレさんが投稿したメンフクロウのヒナの写真が元祖だという。手足を一所懸命動かして必死にどこかへ向かっている。これを、さして緊急でもない話を「伝えなきゃ」という動作に見立てたところが秀逸で、一気に拡散したのもうなずける。かねてより物事は「ちょっと聞いて」から動き出すもの。銭形平次だって子分が「てぇへんだ、てぇへんだ!」と走りこんでくるところからが出番である。情報が瞬時にSNSで伝わる時代、「エッホエッホ」の語感が子どもからおとなまで、つい言いたくなるフレーズとして派生し広がった。
「オールドメディア」
▼受賞者は、環境副大臣・参議院議員・作家の青山繁晴さん。
このところの首長選挙や国政選挙において、「影響力のあるのはSNS。新聞・テレビは今や不要のオールドメディア」との論評が出回るようになった。しかしSNSには宣伝媒体の面もあり、宣伝・広報戦略で商品を話題にして売り上げにつなげようというのは広告業界のセオリーだ。それが今、政治の世界に適用されてSNSでバズれば当選。選んだのは有権者だが、その政治家について検証・分析・考察する歴史のあるメディアを「オールド」と批判にさらし、切り抜き動画や短時間で一方的な意見だけを都合よく熱狂的に流すことで支持を得る方法は、あまりにも無秩序なのではないか。アメリカのトランプ政権では、ホワイトハウス報道官がインフルエンサーやネットメディア優先で会見を進め、伝統的な報道機関との対立を鮮明にしている。SNSの熱狂に流されることなく、オールドメディアとの違いを見分ける力をつけたい。
「緊急銃猟/クマ被害」
▼受賞者は、ガバメントハンター・田澤道広さん。
2025年10月15日、全国初の緊急銃猟によるクマの駆除が宮城県仙台市で行われた。今年4月からのクマによる人身被害件数は10月末時点で196人。クマが異常出没し、OSO(オソ)18が駆除された2023年の219人に次ぐ多さだ。死亡者数は23年の6人を上回る12人と過去最悪。住宅に、畑に、庭先の柿の木に、スーパーに、自動ドアを開けて役場の中に侵入してくる。アーバンベアが問題となった23年よりさらに人を避けず、一般住民への危険が高まった。登山・キャンプではクマ鈴の効果も危ぶまれ、熊よけスプレーを使ってさえも逃走しない異常行動も確認されるなど、明らかに様子の変化がうかがえる。クマは「運悪くまれに遭遇」する野生動物であったが、いま「隣にある脅威」となった年であった。
「国宝(観た)」
▼受賞者は、映画「国宝」製作委員会。
観客動員数1231万人、興行収入173.7億円を突破し、邦画実写の興行収入ナンバー1に輝いた。動画配信サービスが普及している現在、この記録的数字は劇場に足を運ぶ人の熱量そのものを表している。「国宝観た?」と聞かれたときに、「観た」もあれば「まだ」の声もある。観て感動した人は何回も観たり、原作を読み走ったりする。鑑賞後の強烈なインパクトから逃れられないのだ。鑑賞後に語られるのは、女方がよくはまった吉沢亮さん、横浜流星さんの2人に田中泯さんの凄み、そして映像の美しさだ。歌舞伎の舞台はこんなにもダイナミックなのだ、とみせてくれるのは映画ならでは。歌舞伎の有名場面カタログ的な親切さも盛り込まれた、あっという間の3時間。実際の歌舞伎も観たくなる現象を生んだ。
「古古古米」
▼受賞者は、一般財団法人日本米穀商連合会。
2025年5月31日、随意契約による政府「備蓄米」の店頭販売が始まった。先陣を切ったスーパーでは500袋が30分で完売というほど家庭にお米が足りていなかった。野党党首に「あと1年たったら動物の餌になる」といわれてしまった2021年産備蓄米・古古古古米であるが、古米、古古米、古古古米…と1年たつたびに呼び名も変わる。昨年から発生した令和の米騒動以来続いていた価格の高騰もようやく低下傾向を見せ、これで新米が出ればさらに買いやすくなるに違いないと安堵が広がったのもつかの間、今年8月から再び上昇を始めた。昨年も「新米が出れば落ち着く」と聞いていたが、その再来とはこれいかに。いったいどうなってるの?との声も多く出た。どんな商品も生産者と消費者は常にせめぎあいの関係はあっても、敵・味方ではない。ところが、お米のことになると「今度の農林水産大臣は消費者側」だの「生産者側」だのという声が聞こえてくる。日本の農業政策というものが垣間見えた騒動である。
「戦後80年/昭和100年」
▼受賞者は、ノンフィクション作家・保阪正康さん。
2025年は、1926年12月に始まる「昭和」で数えると100年という節目の年である。そして1945年8月の終戦から始まる「戦後」も80年という区切りの年となる。ふたつの節目を、さまざまなところで目にした1年だろう。1995年の「阪神・淡路大震災」からは30年、オウム真理教の「地下鉄サリン事件」からも30年という節目の年でもあるが、昭和、平成から令和へとつながる今、わたしたちはどんな時代を生きているのだろうか。簡単に答えの見つかる問題ばかりではないからこそ、だれもがさまざまな問題を抱え続け、考え続けなければならない時代なのだろう。日本の総人口に占める戦後生まれの割合は約88.8%と9割を占め、多くが戦争を知らない世代であるわたしたちは、昭和史や歴史を学び直して平和でい続けるための努力をする必要がある。歴史と向き合い、学び、見つめ直すには、書籍や舞台、映画などの学びの教材がいくらでもあるのだから。
「トランプ関税」
▼受賞者は、経済産業大臣・赤澤亮正さん。
2025年1月20日、第2次トランプ政権が発足。就任早々トランプ関税の発動が始まった。4月には日本を含む貿易












