
【映画】
ジェームズ・キャメロン、新作ゴジラ映画撮影中の山崎貴監督に「手伝いに行きますよ」
全世界歴代興行収入ランキング1位に君臨する映画『アバター』(2009年)、同ランキング3位の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)に続くシリーズ最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が、12月19日に公開される。最新作のプロモーションのため、監督のジェームズ・キャメロンが約3年ぶりに来日し、10日、都内で開催されたジャパンプレミアに登壇した。
【写真】嬉しそう!熱い握手を交わすジェームズ・キャメロン監督&山崎貴監督
この日のイベントには、キャメロン作品の大ファンを公言する俳優の宮世琉弥に加え、山崎貴監督が撮影現場から駆け付けるサプライズもあった。山崎監督は「実は某怪獣映画の撮影中だったのですが、“午後5時までに終わればキャメロン監督に会える”と話したところ、スタッフが“キャメロン監督なら仕方ない”と総出で巻いてくれました」と舞台裏を笑顔で明かした。
キャメロン監督が描く3D映像やVFXについて問われた山崎監督は、「物語に感動する自分と、技術の凄まじさと、その手間に“もう勘弁してくれ”と思う自分が同時に存在する」と率直な驚きを口にした。
とりわけ、ハイフレームレート(1秒あたりに表示するコマ数を通常より多くする映像方式)については、「水しぶきが空中に浮かんだまま透明度を保って見えたり、木の揺らぎが本当の輪郭を持って目の前に現れたりする。技術が“技術のため”ではなく、感情に直接訴えかける映像表現のために使われているのが本当に素晴らしい」と称賛した。
さらに山崎監督は、「『アバター』以降の3Dは、物を飛び出させて驚かせるものではなく、その向こうに“世界”がある。観客は宇宙旅行をして、パンドラの風景を実際に眺めている感覚になる」と、圧倒的な没入感を高く評価した。
これを受けてキャメロン監督は、「同じフィルムメーカーから、技術への理解と評価をいただけるのは非常に感動的だ」と応じ、「VFXは自己目的ではなく、物語の一部として使われるべきだという考えに深く共感している」と語った。
さらに話題は、山崎監督の代表作『ゴジラ-1.0』(2023年)にも及び、キャメロン監督が「“ゴジラ”の正しい発音は?」と会場を和ませつつ、「次回作もとても楽しみにしている」と期待を寄せた。加えて、「もし撮影が遅れるようでしたら、セカンドユニットとして手伝いに行きますよ」と冗談交じりに申し出ると、山崎監督は「そっちの方がいいシーンができて、僕の立場がなくなる可能性があります」と返答。世界的クリエイター同士の軽妙なやり取りに、会場は大きな笑いと拍手に包まれた。
イベントでは観客からの質問にキャメロン監督が答える時間も設けられ、大学生の女性が「人生のアドバイス」を求めると、次のように語った。
「私たちはいま、確かに困難な時代を生きています。だからこそ、希望を持ち、互いに協力しながら、世界を少しでも良い場所に変えていくことが大切だと思います。もちろん、生活のために働くことは必要です。それでも、自分にできる形で何かを“還元する”方法を見つけ、世界をより良い場所にしていってほしい。物語に登場するサリー家には2つのモットーがあります。『決してあきらめないこと』、そして『仲間とともに生きること』です。だから皆さんも、あきらめずに、家族や友人、同僚と力を合わせてください。すべてを一人で背負う必要はありません。チームでいいのです」
さらに上映に向けて、「日本の皆さん、そして世界中のどんな方にも、この映画を“感じて”ほしい。そして、それがご自身やご家族、人生とどのようにつながるのかを受け取ってほしい。その中に、何か心に響くものがきっと見つかるはずです。だからこそ、この映画を作りました。この作品がこれまでのシリーズのように成功するとしたら、それは、言葉や宗教、国の違いを越えて、私たちが皆、同じ存在なのだということを伝えられた証になるでしょう。希望も、不安も、夢も、愛も、そして家族を想う気持ちも、世界中どこにいても同じなのです。私は、この映画を通して、人間とは何者なのかを、もう一度思い出してほしいのです」と、力強いメッセージを送った。












