
【音楽】
Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」が2025年楽曲の年間1位 全世代の心に刺さり、寄り添う名曲誕生
「第58回オリコン年間ランキング2025」(集計期間:2024年12月9日~2025年12月7日)が発表となり、年間ストリーミングランキング1位~4位をMrs. GREEN APPLEの「ライラック」(2024年)、「ケセラセラ」(2023年)、「Soranji」(2022年)、「ダーリン」(2025年)で独占する快挙を成し遂げた。そして、2025年配信開始楽曲では「ダーリン」(1月20日配信開始)が1位に輝いた。
【表組】ミセスが6曲!オリコン年間ストリーミングランキングTOP10一覧
■ミセスが年間ストリーミング1位~4位独占、TOP10の過半数を占める
7月8日にメジャーデビュー10周年を迎えたMrs. GREEN APPLEは、2025年に6ヶ月連続を含む計7曲もの新曲を怒涛のごとく発表してきた。このほかにも5月には大森元貴(Vo/Gt)がソロ曲「絵画」を、7月8日のデビュー10周年記念日にはアニバーサリーベストアルバム『10』を、11月にはRADWIMPSトリビュートアルバムに参加し「狭心症」をカバーするなど、大ヒットを連発。7月26・27日には横浜・山下ふ頭で、ミセス史上最大規模となる2日間計10万人を動員するライブを開催。10月からスタートした55万人動員の5大ドームツアー『DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”』は東京ドーム4days(12月15・16・19・20日)で締めくくるなど、ノンストップで今年の音楽シーンを賑わせてきた。
オリコン年間ストリーミングTOP10には、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が過半数の6曲を占める人気ぶり。今回の特集では、2025年配信開始楽曲1位に輝いた「ダーリン」にスポットを当てる。
■18歳世代の“本音”を受け止めて誕生した「ダーリン」
デビュー10周年『MGA MAGICAL 10 YEARS』のキックオフとして配信リリースされた「ダーリン」は、日本全国の18歳世代(17~20歳)1000人と一回限りのステージを作りあげるNHKのイベント『Mrs. GREEN APPLE 18祭(フェス)』で生まれた。大人と子どもの狭間で揺れ動き、人生の岐路に立つ18歳世代に、Mrs. GREEN APPLEは「本音」をテーマにした動画を募集。全国から寄せられた「本音」を受け止めたうえで、大森元貴が書き下ろした。楽曲誕生や感動の共演ステージまでに密着した番組は、2024年12月25日にNHK総合で放送され、ミセスと18歳世代1000人のエネルギーがぶつかりあった大合唱は、視聴者の心を揺り動かした。
クリスマスの夜に『18祭』が放送されてから約1ヶ月、Mrs. GREEN APPLEのシングルとして1月20日に「ダーリン」が配信リリースされ、あわせてミュージックビデオも公開となった。1コーラス目は、藤澤涼架が奏でる繊細なピアノ演奏のみで大森がささやくように「負けない何かが欲しい “私”だけの愛が欲しい そうすればきっと僕らは 比べないで居れる」と歌う切実な本音から始まる。若井滉斗のギターも加わり、ミニマムな演奏に乗せた大森の歌声が、胸の内に抱える孤独感や心の叫びを際立たせる。
間奏で転調すると、ストリングスも加わったダイナミックなバンドサウンドが展開され、壮大かつドラマティックなラスサビの始まりでは、大森がみなぎるエネルギーを大爆発。最後の一節で「あの子にはなれないし なる必要もないから」と自分を受容し、やさしく寄り添う歌詞は、リスナーの胸に刺さり、涙腺を刺激した。SNSでは「涙出た」「ダーリンの歌詞に救われた」「孤独な気持ちが救われた」「救われる人がどれだけいることか」といったように「救われた/救われる」という言葉が多く目に止まった。
大森は『18祭』で18歳世代1000人との共演を前に、このように投げかけている。
「悩みとか、苦しい気持ちとか、悲しい気持ち、寂しい気持ちというのは、生きていくうえでなくなっていくことが、悲しいけどないんだよね」
その言葉どおり、こうした感情は大人になってからも誰しも抱える普遍的なもの。18歳世代に寄り添った歌詞は、20代以上の学生や社会人、親世代にも共感、感動が広がっていき、YouTubeで公開された「ダーリン」のミュージックビデオのコメント欄には、50代~80代のコメントも残されている。
■オリコン年間ストリーミング1~4位楽曲の週間再生数推移
「ダーリン」は2/3付(集計期間:1月20日~26日)オリコン週間ストリーミングランキングで週間再生数1106.4万回を記録。この再生数は、初登場週の自己最高記録となった。その後も、1111.3万回→1050.6万回→1045.1万回と、ストリーミングの大ヒット曲の目安と言われる週間1000万回を4週連続で記録する反響を呼んだ。
ちょうどその頃、2024年末にTBS系で放送された『第67回 日本レコード大賞』でバンド史上初となる2連覇を達成、大みそかの『第75回 NHK紅白歌合戦』でも披露した年末音楽特番効果で、「ライラック」の再生数が最盛期を迎えていた。週間1位は「ライラック」に阻まれる形となったが、再生数は通常であれば週間1位レベル。グラフのとおり、Mrs. GREEN APPLEの「フェーズ2」(2022年3月18日~2025年12月31日)の始まりとなった2022年を代表する曲「Soranji」(同年10月18日配信開始)、2023年を代表する曲で『日本レコード大賞』初受賞曲の「ケセラセラ」(同年4月25日配信開始)を上回るスタートダッシュを切っている。
■『MUSIC AWARDS JAPAN』のフィナーレで壮観なパフォーマンス
今年5月に初開催された国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』(5月21・22日、京都・ロームシアター京都)でもMrs. GREEN APPLEは「ダーリン」で鮮烈なインパクトを残した。Grand Ceremonyでのパフォーマンスの“トリ”を務めたミセスは、壮観な60人ものストリングス隊をバックに「ダーリン」を熱唱。その後、授賞式のフィナーレで発表された主要部門の1つ「最優秀アーティスト賞」を受賞した。この模様はNHK総合で生中継、YouTubeで全世界配信されたことも相まって、「ダーリン」の再生数が盛り返した。
■“聴く”にとどまらず、カラオケでも大勢に歌われた「ダーリン」
大勢と歌うために作られた「ダーリン」はストリーミングでのヒットにとどまらず、カラオケでも大勢に歌われた。オリコン年間カラオケランキングの結果は今後の発表を待たなければならないが、7月18日発表の上半期ランキングの時点では、「ダーリン」が2025年度リリース楽曲で1位となった。ストリーミングで「聴く」行動から、さらに能動的なカラオケで「歌う」行動につながっていることでも、ミセス人気、楽曲パワーを証明している。
Mrs. GREEN APPLEは前出のとおり、2023年に「ケセラセラ」、2024年に「ライラック」でバンド史上初となる日本レコード大賞を2年連続で受賞してきた。今年は「ダーリン」が大賞候補となる優秀作品賞を受賞している。レコ大史上3組目の3連覇なるか、そして、3年連続3回目の出場が決まっている大みそかの紅白のステージでどのような「フェーズ2」の完結を迎えるのかにも大きな注目が集まっている。











