【音楽】
Mrs. GREEN APPLE、5大ドーム公演で55万人動員 高さ20メートルの“巨大な塔”&100人超キャストで見せた壮大な“物語”【ライブ写真複数】

「Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 "BABEL no TOH"」より(C)Jordan Munns


 Mrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)が20日、東京ドームにて、自身最大規模となる初の5大ドームツアー「Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 "BABEL no TOH"」ファイナル公演を開催した。10月25日に愛知・バンテリンドーム ナゴヤを皮切りにスタートさせ、きょうまで全12公演を実施。合計55万人を動員した。



【画像】ミセスドームツアー「BABEL no TOH」ライブショット(複数)



 今回のツアーは、「EDEN no SONO」(2019〜2020年開催)から始まり、「NOAH no HAKOBUNE」 (2023年開催)、「Atlantis」(同)へと物語が紡がれてきた「ストーリーライン」と呼ばれるライブシリーズ。高さ約20メートル、重さ約100トンの巨大な“バベルの塔”が出現し、100人以上のキャストが携わるイマーシブな演出など、他のコンサートでは類を見ない、エンターテインメントの領域を超えた規格外のライブを披露した。



 巨大なステージセットで造られたバビロンの街を舞台に、100人を超えるキャストとともに繰り広げられたのは、ミセスというバンドがこれまで紡いできた音楽をひとつに繋ぎ、彼らが音楽を届け続ける理由を人々に伝える、人間の弱さと強さ、そして意思と愛の物語だった。



 荘厳なオープニングに続いてマーチングドラムが高らかに鳴り響き、ステージ中央から大森元貴(Vo/Gt)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)が登場。両手を耳に当てて歓声を浴びた大森が華々しいサウンドとともに歌い出したのは「Love me, Love you」。バビロンの住人を演じる多数のキャストが行き交う街の風景のなか、大森の伸びやかな歌声と東京ドームを埋め尽くしたJAM’Sの声が交差し、「BABEL no TOH」はお祭りのような賑やかなムードとともに幕を開けた。



 続く「CHEERS」でライトスティックがカラフルに瞬くなか5万人と“乾杯”すると、「もっと声を聞かせてくれるかい、バビロン?」という大森の言葉にオーディエンスが全力で応えた「アンラブレス」では若井のギターも藤澤のキーボードもファンキーに跳ね回り、大森も手振りを交えながらリズムに乗って歌を響かせる。「Feeling」ではアリーナに色とりどりのバルーンが投げ込まれ、東京ドームはますます晴れやかな雰囲気に。キャストたちもアリーナに繰り出して、オーディエンスと一緒に盛り上がっていく。会場が本当にひとつの街になったかのような一体感だ。



 そんなワクワクに満ちた序盤から、ストーリーは少しずつ進み始めた。ドラムのラッシュと若井のギターが爆発的なエネルギーを放射するなか突入した「パブリック」では、バビロンの街の人々が塔の建設を始める。今回のセットリストのなかで唯一ファーストアルバム『TWELVE』からピックアップされたこの曲のギターロックサウンドに滲む焦燥感が一心不乱にツルハシを振るう人たちの姿に重なり、エモーショナルに響き渡る。



 若井と藤澤のソロも勢いに満ちていて、東京ドームはプリミティブな熱狂に包まれた。さらに赤いライトがステージを照らすなか、「まだまだいけるか?」という大森の声とともに「おもちゃの兵隊」が鳴り出す。そして楽曲がクライマックスに差し掛かった頃、ステージにキラキラと輝く巨大な塔が出現した。高さおよそ20メートル、重量はじつに100トンという、ステージセットというよりは「建造物」という言葉のほうがしっくりくるような存在感は圧倒的だ。



 「お帰りなさい、バビロン! Mrs. GREEN APPLEです!」。ここまで6曲を終えて改めて声を張り上げて挨拶をする大森。「我々も全身全霊で楽しみに来たので、みんなも全力で楽しんでいってほしいなと思います」と大森がさらなる盛り上がりを求めると、若井も藤澤も精一杯の大声でオーディエンスとコミュニケーションを取り、そのたびに会場中から大歓声が沸き起こる。そして「みんな、今まででいちばんの声聞かせてくれよな!」という若井の曲振りから「WanteD! WanteD!」でライブは再開。肩の力が抜けたMCで3人だけでなくJAM’Sの緊張もほぐれたのか、さらに大音量のシンガロングが広がった。



 その後「ライラック」で瑞々しい青春の風景を描き出すと、ここでライブの雰囲気は一変する。ステージには雲海のようなスモークが満ち、白い衣装に身を包んだバレエダンサーがパフォーマンスするなか、大森が静かに「Soranji」を歌い出した。



 その後、スクリーンには生い茂る緑が映し出され「フロリジナル」へ。大森の内面にあり続ける孤独と赤裸々に向き合ったこの曲が、それでも愛を求める人間の性(さが)を象徴するようなキャストのカップルダンスとともに届けられる。「ゼンマイ」に「君を知らない」、そして「Soup」と曲が重ねられ、季節が移り変わるなか、ひとつの「歴史」とそのなかに生きる人間の営みが浮かび上がっていく。



 ここから一気に物語は加速。暗闇に包まれたステージで光るリボンやバトンによる不穏なパフォーマンスが展開し、足音とともに怪しげなマスクをつけた人々が現れる。そしてノイジーな音とともに大森の叫びが響き渡った。塔の上で王のような赤いマントを身につけた彼が歌うのは「絶世生物」。レーザーライトが迸り、重厚なサウンドが地響きのように東京ドームを揺らす。人の上に立った人が力を誇示するようなその存在感が、先ほどまでののどかな世界を一変させてしまう。



 そして雷鳴が轟き、気がつくと塔が客席のほうに大きく迫り出していた。その巨大な仕掛けにも驚くが、それ以上にステージから鳴らされる「Ke-Mo Sah-Bee」の音と大森のパフォーマンスに目を奪われる。燃え上がる塔の火を必死に消そうとする人々を横目にアジテーションのような歌を繰り広げる大森。スクリーンには歌詞が映し出されるが、その文字は時折象形文字のような記号に変換される。「ア・プリオリ」を経て、再び稲光が走るなか、大森の声にも若井のギタープレイにもいつも以上の激情が宿る「Loneliness」でその混乱は極限に達したのだった。



 と、そんな荒れ果てた世界を癒すように、藤澤の弾く美しいピアノの音色が聞こえてくる。大森の表情も先ほどまでとは打って変わって感情豊かに。「ダーリン」の混沌の果てに残った愛を希求するような切実な歌声とストリングスの響き、そして会場の大合唱がストーリーの続きを描き始めるのだ。塔の壁は苔むし、長い年月が過ぎたことを物語っている。ここからライブは再び輝きを取り戻し、美しいフィナーレに向かって駆け上がっていく。そこで鳴り響いた音楽たちは、分断と孤独と混沌を耐えて生き抜いてきたひとりひとりへの祝福のようだった。その幕開けとなったのはパーカッションのリズムから始まった「コロンブス」。スクリーンには活気を取り戻したバビロンの街の景色が描かれ、開放的なサウンドが鳴り渡る。大森の歌も若井のギターも軽やかに弾む。「せーの!」とみんなの声を求める大森の表情はとても晴れやかだ。曲を終えて、「すごいよ、めちゃくちゃエネルギーもらってます!」と大森。そして3人はフェーズ2を振り返りつつ、来年1月1日から始まるフェーズ3に向けた思いを語り始めた。



 藤澤は、「フェーズ2、たくさんのみんなに出会えて、皆さんに楽曲を聴いていただいて、本当に幸せでした。フェーズ3はもっともっとミセスのこと、メンバーそれぞれのことをより深く知ってもらって、こんなところがさらに好きだなってポイントを増やしてもらえたら」とコメント。



 若井は「みなさんがいるから僕たちはこうしていろいろな活動ができてるし、届ける場所があるから、表現を通して次はどんな楽しいことをしようかなってワクワクできる。いつもありがとうございます!」と伝えた。



 そんな2人の言葉のあと、「きっと、塔は建てられなかったんだろうね」と、大森はここまで進んできた物語を振り返って語り始めた。「でも、大事にしていたものが壊れたり、期待をしていたことが無駄になったり、生活はそんなことの繰り返しなんだろうなと思います。僕も自分のことを惨めだな、情けないなって思うこともあるんです。人というのはネガティブな生き物だと思っています。なので、どうせなら楽しいことをしたいと思って曲を書いています」。そんなふうにこの物語に込めたものと自分自身のことを言葉にし、彼はこう続けた。「今日、めちゃくちゃ楽しかったです!」。この「BABEL no TOH」のストーリーが聖書の「バベルの塔」をモチーフにしていることは明らかだが、むしろ大森が伝えかったのは、塔が崩れ落ちたあとの世界、つまりいろいろなものを失いながら今を生きる我々の物語だったのだろう。オーディエンスもその物語の一員だということを表現するために、この「BABEL no TOH」は演劇的という言葉すら当てはまらない、世界そのものを創造するようなスケールを必要としたのかもしれない。



 そして「みなさんへの感謝の返し方はたくさん露出することではなく、ちゃんと我々がいいと思えるものを真摯に作って、1曲

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