
【エンタメ総合】
ZOZOTOWNが20周年で開催した「ZOZOFES」、記憶に残る企画となった背景とは
2025年は、エンターテインメントと企業コミュニケーションの関係性が大きく変化した一年だった。その中でも、ファッションEC「ZOZOTOWN」の20周年を記念して行われた一連のプロジェクトは、単なるアニバーサリー施策の枠を超えた取り組みとして、強い印象を残した。
【写真】YOASOBI×LE SSERAFIMのコラボレーションショット
象徴的だったのが、10月に神奈川・Kアリーナ横浜で開催された記念イベント「ZOZOFES」だ。2日間で約4万人を動員したこのイベントは、企業の周年イベントでありながら、企業色を前面に押し出すのではなく、純粋にファンが“行きたい”“体験したい”と思えるフェスとして受け止められた。
この20周年企画の根幹にあったのは、単なる“打ち上げ花火”的な周年企画で終わらせず、次の時代をどう提示するかという未来志向の視点だ。音楽、ファッション、アニメーション、リアルイベントといった異なるカルチャーが交差する、ミックスカルチャーを体現したプロジェクトとして展開され、それぞれを個別に切り分けるのではなく、すべてを一つの世界観として束ねることで、「ZOZOTOWNの20年」と「次の時代」を同時に描き出していた。
音楽面では、YOASOBIとLE SSERAFIMがタッグを組んだ20周年記念楽曲「the NOISE(Contains a Samples of 夜に駆ける)」を制作。YOASOBIの代表曲「夜に駆ける」をモチーフに、シティポップとY2Kという異なるカルチャーを融合させたアレンジが施され、世代やジャンルを横断する一曲に仕上がった。YOASOBIにとっても、こうした形でのコラボレーションは初の試みだったという。音楽とファッションカルチャーの両方に精通する音楽プロデュースユニット「Tokyo Coffee Break」がサンプリングし、新たに歌詞を書き下ろしたのも面白い。
この楽曲の世界観をさらに拡張する形で、アニメーションスタジオ「NOSTALOOK」による映像作品も制作。YouTubeで公開された映像は、音楽・ビジュアル・ファッションの要素が交差する“体験型コンテンツ”として機能し、オンライン上でも周年プロジェクトの存在感を強く印象づけた。
ファッション領域では、YOASOBIとファッションブランド「doublet」によるコラボレーションアイテムを展開。「ZOZOFES」のライブ会場での販売という形をとることで、ライブ体験を“記憶”だけで終わらせず、日常へと持ち帰る導線が設計されていた点も、このプロジェクトの完成度を高めていた。
こうした複合型プロジェクトを成立させた背景には、異なる分野を横断しながら全体を設計・推進するプロデュース体制があった。今回、企画・制作の中核を担ったのが、エンターテインメントとクリエイティブ領域で数多くの実績を持つ「STARBASE」だ。
同社は、国内外のエンターテインメントコンテンツやIPのプロデュース、コンサルティングを主体とした少数精鋭の総合エンタメ商社。「ZOZOFES」では、イベント制作から全てのアーティストキャスティング、記念楽曲や映像制作に加え、ファッションコラボレーションまでを横断的に手がけた。異なる専門性を持つ企業やクリエイターが、それぞれの強みを最大限に発揮できる環境を整えたのだ。
特徴的なのは、あらかじめ完成形を固定するのではなく、関係者同士が価値を持ち寄りながら形を磨き上げていく“共創型”のアプローチだ。複数のカルチャーやトップアーティストが関わる大規模プロジェクトにおいて、全体のビジョンを共有し、最終的に一つの体験へと束ねていく。このオープンイノベーション型のプロデュース手法があったからこそ、ZOZOTOWN20周年企画は、企業イベントの枠を超えた完成度に到達した。
2025年も記念事業やフェスは数多く存在した。その中で「ZOZOFES」が強く記憶に残ったのは、周年を祝うイベントであると同時に、“次のカルチャーを提示する場”として機能したからだろう。ZOZOTOWN20周年企画は、これからの企業とエンターテインメントの関係性を考える上で、一つの指標となる取り組みだった。











