
【音楽】
Mrs. GREEN APPLE、ドームツアーに込めた思い 大森元貴「情けないところも弱いところも、いったん俺が愛してやる!」【独占写真あり・ライブレポート】
Mrs. GREEN APPLEが開催した5大ドームツアー「Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”」は、12公演で計55万人を動員して締めくくった。ドームのスケールを演出で活かした壮大な物語は、多くの観客をどっぷりと世界に引き込んでいた。16日の公演をレポートする。
【写真多数】ミセス「BABEL no TOH」ステージショット(独占あり)
今回の「DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”」は、「ARENA TOUR “EDEN no SONO”」(2019~2020年)、「ARENA TOUR 2023 “NOAH no HAKOBUNE”」(2023年)、「DOME LIVE 2023 “Atlantis”」(同)へと物語が紡がれてきた「ストーリーライン」と呼ばれるライブシリーズ。当日はドーム周辺のいたるところで「バビロンの街」にちなんだ演出が仕掛けられており、会場入りする前から「バビロンの街の住人」気分が味わえた。
客席に入ると、ステージ上ではすでにキャストが“バビロンの街の住人”として日常を演じていた。立ち話をしたり仕事をしたり散歩を楽しんだりと、思い思いに過ごす住人たち。背景の巨大スクリーンには、白い雲と美しい海。鳥が羽ばたき、中央には大規模なセットの街並み。客席はブロックごとに「騎士」「踊り子」「詩人」「宝石屋」などと役割が振り分けられており、アリーナの通路ではキャストが観客に交じって自然なふるまいで歩いている。開演直前になると「街のみなさまへ、ようこそお戻りになられました」「まもなくバビロンの街の物語が動き出します」とアナウンスが流れ、ますますムードは高まった。
照明が落ち、スクリーンに映し出された本のページがめくられて物語がスタート。客席のライトスティックが一斉に点灯し、街並みの中央に大森元貴(Vo/Gt)、両サイドに若井滉斗(Gt)と藤澤涼架(Key)が登場。大森がうれしそうな表情で「バビロン!会いたかったよー」とあいさつし、「Love me, Love you」で華やかに幕を開けた。
大森は「元気にしてましたか?声出せますか?」とあおると、観客は大声で応えた。「CHEERS」「アンラブレス」と祭りのような賑わいが続く。「Feeling」ではアリーナ席にカラフルなバルーンが投入され、キャストは楽しそうに歌い踊り、観客は「ラララ」の歌声で参加。バビロンの街は幸せいっぱいな空気に包まれた。
ここで照明が落ち、ステージは一変。「パブリック」の激しいギターサウンドと力強いリズムが流れると、住人たちは踊りをやめて、塔を作り始めた。続く「おもちゃの兵隊」では、会場が真っ赤な照明に包まれる中、大森が「若井!」と声をかけ若井のギターソロへ。藤澤のピアノとの掛け合いもみせ、息の合ったサウンドで盛り上がると、いつの間にか中央には高さ約20メートル、重さ約100トンという巨大な“バベルの塔”がそびえ立っていた。
最初のMCで、大迫力の塔の前に立つ大森は「バビロン、おかえりなさい!」「声がかれちゃ困るという人もたくさんいると思うんですけど…からしてください!」などと観客をあおる。藤澤は「みなさん、ごきげんよーう!みんなと会えるのをめちゃめちゃ楽しみにしてたんです」と喜び。若井は「今日という日を楽しみにしてきたので万全の状態なんですよ。みなさんはついてきてくれますか」と盛り上げた。
3人の賑やかな会話が続き、温かな雰囲気のまま「WanteD! WanteD!」でふたたび演奏がスタート。観客はこぶしを突き上げ、一緒にコールして熱くなった。続く「ライラック」では、若井がギターテクニックを大画面で見せつけ、観客はふたたび大歓声。巨大な塔は、まばゆい光を放って存在感を示していた。
ここでステージがまた一変し、静寂へ。美しい歌声が響き渡った。今までのカラフルな世界とは打って変わり、大量のスモークが立ち込める中、真っ白な衣装に身を包んだキャストが登場し、シンプルな演出のまま「Soranji」へ。巨大な塔をバックに歌い上げる大森の姿は圧倒的で、観客は藤澤の繊細なピアノの音色にも酔いしれていた。
そしてその後の「フロリジナル」で、ふたたびバビロンの街に緑が戻った。大森は胸に手を当てながら大切に言葉を紡ぐ。その後も「ゼンマイ」「君を知らない」と続き、「Soup」ではオレンジ色に染まった街の明かりが、人々の温かさと切なさを表現しているようだった。
しっとり余韻に包まれる中、ステージはまたもや急展開。真っ暗な空間となり、突然光の帯が飛び交う。光るバトンを持ったキャストが登場して踊り出し、何が起こるんだ…と息を呑んで見守る観客。すると、怪しげな仮面をつけたキャストが集団で登場し、激しく不気味に踊り出した。会場中を光と音が飛び交い、不穏な空気が続く。まるで天変地異に見舞われたかのような雰囲気のまま、巨大な塔の中央フロアに真っ赤なマントを羽織った大森が登場。鋭い目つきで両手を広げて「絶世生物」を歌い上げてオーラを放った。
アリーナ前方にあった巨大な塔は、じわじわと動き出し、客席に向かってせり出している。続く「Ke-Mo Sah-Bee」「ア・プリオリ」では、ドーム中を稲妻のような光が包み、会場はまるで嵐に巻き込まれたかのよう。スクリーンに楽曲の歌詞が表示されるが、その日本語は謎の字体でかき消されてしまう。塔には大きな亀裂が入り、世界が壊れていく。続く「Loneliness」では、青い光に包まれた大森が冷たい表情を浮かべていた。
ようやく目まぐるしい展開から落ち着き、静寂が訪れると、藤澤のピアノが優しく鳴り響いた。メンバーの表情も穏やかになり、ステージが温かな光に包まれていく。ここで「ダーリン」を歌い出す大森。じわじわと感情が高まり、クライマックスでは観客もコールで応え一体に。「コロンブス」へと続き、3人はカメラ目線で観客をさらに盛り上げる。塔は緑に包まれ、頂上では花火が噴き出していた。
怒涛の展開を迎え、ここでふたたびMCへ。大森は「みんな、ついてきてますか?バベル!ここまで駆け抜けてきてますからね」と声をかけ、「塔出てきたら…びっくりするよね」と冷静に語った。そしてドーム公演についてあらためて「東京ドームでできるようなグループになれるようにがんばってきた」「デカくて大きくて、とんでもない規模だと思ってたんですが、今から言うことはいい意味でね、すごくみんなと心の距離が近い感じがするのよ」と呼びかけた。
若井は「フェーズ2」の活動を振り返り、「本当にたくさんの方が、僕たちの音楽を聞いてくださってうれしい。たくさんの方にミセスの音楽を届けることができて、届けられたのは先(相手)があるからであって…。みなさん一人ひとりの愛だったり、力だと思っています」と感謝を伝えた。そして「楽しいのよ、ライブで直接会える時間。(心を)通わせられる時間は、かけがえがない。うれしい。感謝です」と話すと、大森もしみじみした様子で「感謝だよね」と共感した。
藤澤は「3年間走ってきて、ライブの思い出がたくさんあるんです。今もまさしく、みんながいろんな表情をしていて」「その時間は、楽曲と出会ってくれてる瞬間。すごく伝わるんだよね。それがすごくうれしい。みんなと出会えて本当によかったなと思ってます」と笑顔で伝えた。
ここで大森は、「ストリーミングが110億回だとか、『年間一番聞かれているアーティスト』が何年続いたとか、すごいみたいに言われます。もちろんすごいことで、僕らも信じられない。一人ひとりが日常の中でミセスの音楽と出会って触れてくれて、聞いてくれるのが本当にうれしくて」と感謝を込めた。そして、感謝をどうしたら伝えられるか考えたが「結局は、曲を真摯に作って届けることだと思ってます」と吐露。来年開幕する「フェーズ3」について「いろんなことが待ってるから。みんなと思い出をまだまだ作りたい。新しい景色を見てみたい。ちゃんと今ある景色も大事にしたい」と期待を込めた。
また今回のツアーについて、「人はネガティブなものだから、日々を生きていくために自分を鼓舞していくしかない。大事にしていたものが崩れたり、傷ついたり。たくさん生活の中であると思います。けれど、どこかはつながっている。いろいろなことがあると思いますが、それでも自分や相手、社会を好きでいようと。情けないけど愛おしい。“BABEL no TOH”がひとつの大事な起点となって、今日がどこかでつながっていけるといいと思います」と気持ちを込めて伝えた。
そして「今日は本当にありがとう。いろんなことがあると思いますが、どうかいいエネルギーに変えて過ごしていきましょう」と呼びかけ、「行けるか、バベル!盛り上がっていくぜ!」と掛け声をかけて「ANTENNA」へ。イントロで「情けないところも弱いところも、いったん俺が愛してやる!」と大きく叫ぶと、観客は大歓声で応えた。
続く「GOOD DAY」では観客みんなでコール











