
【アニメ】
安彦良和、幻の名作『ヴイナス戦記』鑑賞「案外いいじゃないか」 アニメ界本格復帰への意欲も
東京・池袋で開催中の「東京アニメアワードフェスティバル2026」で15日、アニメ功労部門の顕彰を記念した特別上映として、劇場アニメ『ヴイナス戦記』のトークショーが行われ、原作・監督・キャラクターデザインを手がけた安彦良和(78)が登壇した。
【画像】「東京アニメアワードフェスティバル2026」アニメ功労部門顕彰者
同作は1989年に公開された後、約30年にわたり上映の機会がほとんどなく、“幻の作品”とも呼ばれてきたSFアニメーション。音楽を久石譲が担当し、主人公ヒロの声をアイドルグループ・少年隊の植草克秀が務めたことでも話題となった。
長らく再上映されなかった理由について安彦は、「ソフトを出すのを拒絶していたんです。だから僕も含めて誰も観ていないという事情がありました」と明かした。今回の上映を客席で見届けた感想としては、「封印解除ということで、久しぶりに大スクリーンで観て、案外いいじゃないかな」と笑顔を見せた。
制作当時の裏話にも言及し、「当時はデジタルがない時代ですから、オール手描きです。今見ると手描きの良さが感じられると思う」と語った。また、「実はこれ、大変低予算で、僕の会社で作ったんです。会社といっても僕と家内、息子、友人の4人だけ。大きな会社だと“制作管理費”という経費がかかってしまう。言葉は悪いですが、ネクタイをしめている人たちを食わせるための経費ですね。自分の会社なら低予算でも全額を現場に使えると考えて制作しました」と打ち明け、「スタッフロールの字幕も、当時は人数が少なくてスッキリしている。それが昭和という時代だったんですね」と懐かしんだ。
『ヴイナス戦記』以降はアニメ界から距離を置いてきたと語る安彦は、今回の顕彰について「僕は今でもアニメ界の人間ではなく漫画家だと思っています。賞をいただいていいのかなという感じがする」と謙遜した。
近年は『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』などで再びアニメ制作に関わったが、「言ってみれば“ガンダムに忘れ物を取りに来た”という感覚。心残りがあって、人に頼むより自分でケリをつけようと思った。だからまだ“復帰”ではない」と説明した。
久々にアニメ制作の現場に戻った印象については、「最近のアニメはとても綺麗。ただ少し無機的に感じることもある」としながらも、「撮影のデジタル化で土壇場まで修正できるのは夢のよう。AIがアニメ制作を助けてくれるなら使えばいい。違うと思ったら後から手で直せばいい」と持論を展開した。
さらに今後の展望については、「これまでは“忘れ物”としてガンダムに限定して活動してきたが、喜寿を過ぎてもまだ頭も手も動く。ガンダムという限定を外して何かやりたい。2、3年のうちに」と自ら切り出し、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
続けて「それできたら本当の意味での“アニメ界復帰”になるのかもしれない」と、意欲をにじませ、「何かさせてもらえそうな気配があるので、健康でいなきゃいけないなと思っています。早めに形にして皆さんにお見せしたい」と笑顔で語っていた。











