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「苦いから食べない」を科学で解決? 乳製品が小松菜の苦みを消す…研究が示した意外な効果

小松菜


 大手乳製品メーカーの森永乳業株式会社と東京家政大学の共同研究により、「小松菜の“苦み”(=食べにくさ)が乳製品によって抑制される」ことが先ごろ示された。特に乳脂肪量が多いほど、その効果が高まるという。国民の野菜摂取不足が叫ばれる今、その問題点を解決できる一つの光明となりそうだ。今回の研究の背景や実験内容について、さらに家庭料理での活用法や、今後の商品開発について、森永乳業の担当者に聞いた。



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■苦さ辛さを和らげるには「牛乳を飲む」説、科学的には解明されていなかった



 数ある野菜の中でも、特に“苦み”や“渋み”を感じた経験をした人が多であろう小松菜。カルシウム、ビタミンK、β-カロテン、ビタミンC、葉酸、カリウム、鉄、食物繊維が含まれ、1つの野菜で“複数の重要栄養素”をまとめて摂ることができるが、家族や子どもに食べてもらうには味覚や手間の面でハードルが高くなる。



「小松菜はどこのスーパーでも買うことができて、頻繁に調理される野菜です。カルシウムやビタミンC、鉄分などの栄養素もたくさん含まれています。ただ生では食べにくいので、茹でる、炒めるといった調理をすることが多いのですが、加熱調理をするとビタミンなどなくなってしまう栄養素もあるんです。なので、小松菜を生で食べるために『乳製品を合わせると小松菜が食べやすくなる』ことを科学的に研究しようと思いました」(森永乳業 研究本部 フードソリューション研究所アプリケーション研究室に所属する佐瀬睦子さん、以下同)



 同社製品を用いた調理方法やレシピの開発を担い、様々な料理の試作をする過程で「野菜は乳製品と組み合わせると食べやすくなる」という現象を経験してきた佐瀬さん。小松菜と牛乳でスムージーを作ったり、シチューに小松菜を入れてみたり…苦みや辛味を和らげるためになんとなく行っていたことは、意外にも科学的に証明されていなかった。



 こうして、同社と東京家政大学との共同研究で、小松菜を生でいかに食べやすくするかの実験が行われた。「東京家政大学は食関係、栄養系、健康系に強い大学で、生活者視点の研究を実践的にスピーディーに進められると思いました。過去には、乳製品による野菜の加熱処理に関する研究に取り組まれた先生もいらっしゃいましたし、そうした専門知識を組み合わせれば、より科学的で信頼性の高い研究につながるのではないかと考えました」。



■乳脂肪、乳糖、乳タンパク質の3つが合わさることで効果が倍増



 今回の研究では、小松菜の”食べにくさ””好まれない味”の要素を『辛味』『酸味』『渋味』の3つに分類。これらに対して、乳製品の主要成分である乳脂肪、乳タンパク質、乳糖がどう影響するのかを、成分分析や官能評価(味覚、嗅覚など人間の五感を用いて製品の品質を評価する方法)により確認していった。



 実際に、乳脂肪、乳タンパク質、乳糖を小松菜の青汁に入れた場合、原液の青汁と比べて、どれだけ「辛味」「酸味」「渋味」が抑制されたのだろうか?



「青汁に乳タンパク質を単体で入れると、辛味と酸味が抑制されました。また乳脂肪と乳糖は辛味、酸味、渋味のすべてに作用しました。濃度による違いも確認しましたが、特に脂肪分は濃くすればするほど、どんどん効果が高くなって飲みやすくなります。なので、乳タンパク質と乳糖を入れた上で、乳脂肪を増やしていくと飲みやすくなるという結果になりました。



 小松菜のネガティブな味として最も強いのは『辛味』だと思いますが、これは大根やワサビにも含まれるイソチオシアネートという成分が影響しています。乳製品に含まれる乳タンパク質と乳脂肪は、このイソチオシアネートに吸着したり結合したりしているのではないかと考えられます。また乳糖は甘いので、味の遮蔽、マスキング効果が大きいのではないかと思います。ちなみに『酸味』『渋味』に関しては特定の成分はまだは分かっておらず、現在も研究中です」



 普段レシピを研究している過程で、経験値として「野菜は乳製品と組み合わせると食べやすくなる」ことは分かっていたが、「そのことを、今回データとしてはっきり出すことができました」と佐瀬さんは満足気に話す。「乳脂肪、乳糖、乳タンパク質の3つの成分はそれぞれ単体でも(好まれない味を)抑制する効果はありますが、3つが合わさることでさらに効果があるという点は新しい発見だったと思います」



■「研究を他の野菜にも広げたい」今後の生食レシピ、注目野菜はブロッコリー



 研究結果を受けて、同社は「小松菜×乳製品」のおすすめレシピとして、「ビヒダスソースをたっぷりかけて食べる小松菜サラダ」「小松菜パンナコッタ~白みそれん乳クリーム~」「小松菜&チーズでヘルシーディップ」「小松菜冷製ポタージュ」と、小松菜を生で食べることができるレシピを発表。以上のような研究結果が出たことも大きな成果だが、「この研究結果を活用して製品開発に活かすことが最終ゴール」だとしている。



「具体的には、乳の成分を使ってサラダが食べやすくなるヨーグルトドレッシングや、野菜を美味しく飲めるスムージー用の加工乳、美味しく食べられるチーズのような商品開発につなげれたいと思います。さらに、そういった商品を通じて、国産の野菜や乳製品の消費拡大にもつげたいと考えています」



 今回の研究テーマは小松菜だったが、今後は他の野菜にも広げていき、「乳製品を上手に活用して、野菜が美味しく食べやすい形で食卓に並んでいければ…」と佐瀬さん。



「小松菜の好まれない味に関与する成分はイソチオシアネートと考えられますが、それを含む野菜には(今回の研究は)応用できると思います。最近の注目野菜としてはブロッコリー。消費量が多く国民生活に欠かせない指定野菜が現在14品目ありますが、2026年度からブロッコリーもそこに追加されます。実はブロッコリーもイソチオシアネートがそれなりに含まれているので、この研究を応用できるだろうと。調理する時は大体加熱料理が多いと思いますが、ブロッコリーを生で食べていただくレシピの開発もありだと思います。生で食べた方が多くの栄養素を摂れますからね」



 いま、野菜不足が国の健康に関する課題の一つになっている。野菜を食べてくれる人が増えること、国産の乳製品を合わせて美味しく食べてもらうことは、佐瀬さんの願いでもあるという。「私はレシピの開発・研究の担当者として、乳製品の良さを知ってもらって、健康になっていただくことをイメージして発信しております。”野菜”という切り口にしていますが、やはり当社としての一番のメインストリームは国産の乳製品の消費拡大です。野菜とともに乳製品の消費拡大をしていくことが一番のテーマだと捉えています」。

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