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どうなる?「部活動の地域展開(移行)」2026年に神戸市などでの完全移行を前に、 田島良輝教授(スポーツマネジメント)が分析する課題、そして部活の未来とは?
学校法人大阪経済大学
文部科学省は、2023年度より「部活動の地域展開(移行)」を推進してきました。(※1)2026年度からは「改革実行期間」に入り、「休日については、原則、全ての学校部活動において地域展開の実現を目指す」とし、さらに「平日の部活動についても推進していく」と掲げています。(※2) 2026年度には、兵庫県の神戸市や伊丹市などが中学校の部活動を完全に地域へ移行予定で、地域の実情に即した課題対応や持続可能な部活のあり方の検討が求められます。
こうした動きを受けて、運動部活動の社会的価値や地域展開における社会的投資効果などを研究し、スポーツ庁の調査分析チームコアメンバーで地域展開の組織・財務分野の担当委員を務める、人間科学部の田島良輝教授が解説します。
2026年度からは、兵庫県の神戸市や伊丹市などで中学の部活動を完全終了、地域クラブ活動へ
2019年頃から加速した「部活動の地域展開(移行)」の議論の背景には、「教員の働き方改革」「少子化によるチーム減少」「指導者の専門的スキル不足」など様々な問題がありました。これに加えて、田島教授は、学校部活動の構造的な問題として「活動時間やレベルの選択肢が限られていること」や「就学期によって分断される“輪切り型”スポーツシステム」である点を指摘し、地域展開による生涯型スポーツへの移行が進むことに期待を寄せています。
関西では、兵庫県が国の実証事業における多様な課題に取り組む重点地域(※1)として採択されています。神戸市では、2026年9月から中学校の部活動を休日・平日ともに完全終了し、生徒が地域の人々とともに活動する地域クラブ活動『KOBE◆KATSU(コベカツ)』を開始予定です。また、伊丹市や播磨町も2026年度中の完全移行を発表しています。
多くの自治体で、「指導者の確保」と「持続可能な収益構造の構築」が課題に
2024年5月にスポーツ庁が全国の自治体を対象に実施した調査によると、 休日の部活動における地域連携(移行)に取り組んでいる部活動数(運動部)は21%でした。地域クラブ活動の課題としては「指導者の確保」が71.9%と最も高く、次いで「持続可能な収益構造の構築」が59.4%になりました。(※3)
成功のカギは、マネジメントができるコーディネーター。地域の人間関係に頼りすぎない指導者の確保を
田島教授は、休日の部活動の地域展開を完了した自治体を視察・調査し、円滑な地域移行の実現には、マネジメント機能を担うコーディネーター組織や人材の存在が重要なカギを握ると指摘します。
茨城県神栖市では、民間企業がコーディネーターとしてプログラム作成、指導者の確保や保護者・生徒への説明対応などを行っています。特に、希望する教員が地域活動に関わるための兼職制度や研修制度の整備に力を入れており、指導者確保に積極的に取り組んでいます。一方でコーディネーターを入れず、地域の人間関係のなかで指導者を確保しているケースでは、環境整備やガバナンスの脆弱性が懸念されます。
「受益者負担」をシミュレーション。社会的投資効果を見える化し、新たな財源確保を提言
田島教授は、部活動にかかる費用を「受益者負担」とするシミュレーションも行っています。スポーツには、場所や指導者の確保にコストが発生しますが、これまで学校部活動では、それらがほぼ無償で提供されてきました。田島教授は、経済的援助が必要な生徒の負担軽減を前提としつつも、スポーツに対する社会の価値観を「専門的スキルを持つ指導者が、質の高いサービスを有償で提供するもの」へ転換していくべきと提言します。
また部活動の「社会的投資効果」を可視化し、持続可能な財源を確保して環境整備を進める必要性も強調します。夜間の学校施設を塾や市民スポーツの拠点に活用するなど、学校資源を活かした事業展開が有効ではないかと考えています。
参考データ
(※1)地域スポーツクラブ活動体制整備事業(令和6年度予算等)
▼事業について
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240401-spt_oripara-000028257_001.pdf
▼実証事業参加自治体一覧(令和6年6月時点)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240618-spt_oripara-000028257_2.pdf
▼地域クラブ活動への移行に向けた実証事業(重点地域における政策課題への対応)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240628-spt_oripara-000028257_3.pdf
(※2)地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議(第4回) 配付資料:スポーツ庁(令和7年5月16日)
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/039_index/jsa_00013.html
(※3)学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインに係るフォローアップ調査結果(確定値) 運動部 令和7年5月
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250515-spt_oripara-000042251_05.pdf
◎スポーツ庁 部活動ポータルサイト
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/1372413_00003.htm
◎地域スポーツクラブ活動体制整備事業 報告書検索システム
https://activitycasestudy.jp

大阪経済大学 人間科学部 人間科学科 教授
田島良輝(たじまよしてる) プロフィール
https://webj8.osaka-ue.ac.jp/ouehp/KgApp?resId=S000170
1973年生まれ、大阪府出身。早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得後退学、早稲田大学スポーツ科学学術院助手、金沢星稜大学人間科学部専任講師、准教授を経て、2015年より大阪経済大学人間科学部准教授、2023年より現職。専門はスポーツマネジメント。
【著書・論文】
・ 『運動部活動から地域スポーツクラブ活動へ: 新しいブカツのビジョンとミッション』 (大修館書店, 2023)分担執筆
・『地域スポーツ論』(晃洋書房,2020)分担執筆
・『スポーツのあたりまえを疑え-スポーツへの多面的アプローチ-』 (晃洋書房,2019)共編著
【所属学会】
日本スポーツ産業学会、日本地域政策学会
【所属団体・委員】
・地域クラブ活動への移行に向けた実証事業における調査・分析チーム(スポーツ庁/委託 リーフラス(株))コアメンバー(2024/07/19~2025/03/31)
・「重点地域における政策課題への対応」を実施する都道府県の選定会議(スポーツ庁) 委員(2025/01/28~2025/03/31)
・地域クラブ活動への移行に向けた実証事業における調査・分析チーム(スポーツ庁/委託 博報堂(株))コアメンバー(2025/04/22~)
・大阪府日本万国博覧会記念公園運営審議会委員(2022/07~)
大阪経済大学
▼本件に関するお問い合わせ先
大阪経済大学 企画・総務部 広報課
住所:大阪府大阪市東淀川区大隅2-2-8
TEL:06-6328-2431
E-mail: kouhou@osaka-ue.ac.jp
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文部科学省は、2023年度より「部活動の地域展開(移行)」を推進してきました。(※1)2026年度からは「改革実行期間」に入り、「休日については、原則、全ての学校部活動において地域展開の実現を目指す」とし、さらに「平日の部活動についても推進していく」と掲げています。(※2) 2026年度には、兵庫県の神戸市や伊丹市などが中学校の部活動を完全に地域へ移行予定で、地域の実情に即した課題対応や持続可能な部活のあり方の検討が求められます。
こうした動きを受けて、運動部活動の社会的価値や地域展開における社会的投資効果などを研究し、スポーツ庁の調査分析チームコアメンバーで地域展開の組織・財務分野の担当委員を務める、人間科学部の田島良輝教授が解説します。
2026年度からは、兵庫県の神戸市や伊丹市などで中学の部活動を完全終了、地域クラブ活動へ
2019年頃から加速した「部活動の地域展開(移行)」の議論の背景には、「教員の働き方改革」「少子化によるチーム減少」「指導者の専門的スキル不足」など様々な問題がありました。これに加えて、田島教授は、学校部活動の構造的な問題として「活動時間やレベルの選択肢が限られていること」や「就学期によって分断される“輪切り型”スポーツシステム」である点を指摘し、地域展開による生涯型スポーツへの移行が進むことに期待を寄せています。
関西では、兵庫県が国の実証事業における多様な課題に取り組む重点地域(※1)として採択されています。神戸市では、2026年9月から中学校の部活動を休日・平日ともに完全終了し、生徒が地域の人々とともに活動する地域クラブ活動『KOBE◆KATSU(コベカツ)』を開始予定です。また、伊丹市や播磨町も2026年度中の完全移行を発表しています。
多くの自治体で、「指導者の確保」と「持続可能な収益構造の構築」が課題に
2024年5月にスポーツ庁が全国の自治体を対象に実施した調査によると、 休日の部活動における地域連携(移行)に取り組んでいる部活動数(運動部)は21%でした。地域クラブ活動の課題としては「指導者の確保」が71.9%と最も高く、次いで「持続可能な収益構造の構築」が59.4%になりました。(※3)
成功のカギは、マネジメントができるコーディネーター。地域の人間関係に頼りすぎない指導者の確保を
田島教授は、休日の部活動の地域展開を完了した自治体を視察・調査し、円滑な地域移行の実現には、マネジメント機能を担うコーディネーター組織や人材の存在が重要なカギを握ると指摘します。
茨城県神栖市では、民間企業がコーディネーターとしてプログラム作成、指導者の確保や保護者・生徒への説明対応などを行っています。特に、希望する教員が地域活動に関わるための兼職制度や研修制度の整備に力を入れており、指導者確保に積極的に取り組んでいます。一方でコーディネーターを入れず、地域の人間関係のなかで指導者を確保しているケースでは、環境整備やガバナンスの脆弱性が懸念されます。
「受益者負担」をシミュレーション。社会的投資効果を見える化し、新たな財源確保を提言
田島教授は、部活動にかかる費用を「受益者負担」とするシミュレーションも行っています。スポーツには、場所や指導者の確保にコストが発生しますが、これまで学校部活動では、それらがほぼ無償で提供されてきました。田島教授は、経済的援助が必要な生徒の負担軽減を前提としつつも、スポーツに対する社会の価値観を「専門的スキルを持つ指導者が、質の高いサービスを有償で提供するもの」へ転換していくべきと提言します。
また部活動の「社会的投資効果」を可視化し、持続可能な財源を確保して環境整備を進める必要性も強調します。夜間の学校施設を塾や市民スポーツの拠点に活用するなど、学校資源を活かした事業展開が有効ではないかと考えています。
参考データ
(※1)地域スポーツクラブ活動体制整備事業(令和6年度予算等)
▼事業について
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240401-spt_oripara-000028257_001.pdf
▼実証事業参加自治体一覧(令和6年6月時点)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240618-spt_oripara-000028257_2.pdf
▼地域クラブ活動への移行に向けた実証事業(重点地域における政策課題への対応)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20240628-spt_oripara-000028257_3.pdf
(※2)地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議(第4回) 配付資料:スポーツ庁(令和7年5月16日)
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/039_index/jsa_00013.html
(※3)学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインに係るフォローアップ調査結果(確定値) 運動部 令和7年5月
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250515-spt_oripara-000042251_05.pdf
◎スポーツ庁 部活動ポータルサイト
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/1372413_00003.htm
◎地域スポーツクラブ活動体制整備事業 報告書検索システム
https://activitycasestudy.jp

大阪経済大学 人間科学部 人間科学科 教授
田島良輝(たじまよしてる) プロフィール
https://webj8.osaka-ue.ac.jp/ouehp/KgApp?resId=S000170
1973年生まれ、大阪府出身。早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得後退学、早稲田大学スポーツ科学学術院助手、金沢星稜大学人間科学部専任講師、准教授を経て、2015年より大阪経済大学人間科学部准教授、2023年より現職。専門はスポーツマネジメント。
【著書・論文】
・ 『運動部活動から地域スポーツクラブ活動へ: 新しいブカツのビジョンとミッション』 (大修館書店, 2023)分担執筆
・『地域スポーツ論』(晃洋書房,2020)分担執筆
・『スポーツのあたりまえを疑え-スポーツへの多面的アプローチ-』 (晃洋書房,2019)共編著
【所属学会】
日本スポーツ産業学会、日本地域政策学会
【所属団体・委員】
・地域クラブ活動への移行に向けた実証事業における調査・分析チーム(スポーツ庁/委託 リーフラス(株))コアメンバー(2024/07/19~2025/03/31)
・「重点地域における政策課題への対応」を実施する都道府県の選定会議(スポーツ庁) 委員(2025/01/28~2025/03/31)
・地域クラブ活動への移行に向けた実証事業における調査・分析チーム(スポーツ庁/委託 博報堂(株))コアメンバー(2025/04/22~)
・大阪府日本万国博覧会記念公園運営審議会委員(2022/07~)
大阪経済大学
▼本件に関するお問い合わせ先
大阪経済大学 企画・総務部 広報課
住所:大阪府大阪市東淀川区大隅2-2-8
TEL:06-6328-2431
E-mail: kouhou@osaka-ue.ac.jp
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