強制動員否定にあらがう
太平洋戦争中、労働力不足を補うため朝鮮人を強制動員した歴史を否定する動きをけん制しようと、東京都新宿区の高麗博物館で企画展「『強制連行』『強制労働』の否定に抗う」が開かれている。全国各地の追悼碑や市民団体の活動を紹介し「歴史の否定を放置し、反省することをやめれば、次の戦争につながってしまう」と訴える。
追悼碑を巡っては今年、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」で朝鮮人追悼碑が県に撤去された。過去には、強制動員を説明する長野市「松代大本営」の案内板が書き換えられたり、相模原市「相模ダム」の看板が傷つけられたりした。長崎県の端島(軍艦島)や新潟県「佐渡島の金山」を巡る展示で強制性があいまいにされる問題も生じた。
企画展では、これらの問題や、北海道の雨竜ダム、福岡県の三井炭鉱など、各地の強制動員の現場や追悼活動をパネルで詳細に紹介した。
同館理事の加藤真さん(66)は「歴史教科書からも消された問題だが、若い人を中心に大勢の来館者がある」と手応えを語る。入館料一般500円、月・火曜休館、来年1月26日まで。
(共同)