阪神大震災の石綿被害、拡大懸念

 倒壊した建物の解体現場=1995年2月、神戸市東灘区(中地重晴氏提供)
 倒壊した建物の解体現場=1995年2月、神戸市東灘区(中地重晴氏提供)


1995年の阪神大震災から30年を控え、被災地で飛散したアスベスト(石綿)による健康被害の拡大が懸念されている。建築材料に広く使われ、潜伏期間は数十年に及ぶ。このため、建物の損壊で飛散した石綿を吸い込んだ人が今後新たに中皮腫などを発症する恐れがある。専門家は危険性の周知と健康診断が欠かせないと指摘するが、対策は道半ばだ。
「石綿はがんを発病させる。マスクで守って!」。震災の約2カ月後、市民グループが神戸市長田区でチラシを配っていたことが分かった。調査した同市のNPO法人「ひょうご労働安全衛生センター」によると、倒壊建物やがれきで多量の粉じんが飛散したとみられる地点も示されていた。
ただ、実際の復旧作業は対策が不十分なまま進められた。被災地の石綿飛散状況を調べてきた中地重晴熊本学園大教授(環境化学)によると、震災で倒壊した神戸市内のビル1224棟中、少なくとも100棟以上で石綿が露出したとみられる。防じんマスクの着用や事前協議をせず、石綿除去作業をした事例も多く確認された。
(共同)

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