トランプ氏、敵性外国人法を活用

【ワシントン共同】トランプ米大統領は15日、ベネズエラから不法に入国した犯罪組織メンバーの送還を加速させるため、敵対国の市民を拘束、送還する権限を大統領に与える敵性外国人法を活用する布告を発表した。1798年制定の戦時法で、第2次大戦中にルーズベルト政権が日系米国人を敵視して強制収容した際に使われた。
布告に先立ち、ワシントンの連邦地裁はベネズエラ移民の強制送還を差し止める仮処分を出した。人権団体が、戦時下ではない現在での同法活用は違法だと事前に訴えていた。トランプ氏は犯罪組織が「米国に侵略し、非正規戦を展開している」と主張している。
トランプ氏は2期目就任演説で、外国人の麻薬カルテルを排除するため、敵性外国人法の発動を宣言していた。政権は人身売買や麻薬密輸で知られるベネズエラの犯罪組織トレン・デ・アラグアのメンバーで、14歳以上の不法移民を「敵性外国人」とみなすとしている。
日米は1941年12月の真珠湾攻撃を機に開戦。日系人は敵性外国人として扱われ、家を追われて各地の強制収容所に送られた。
(共同)