ネコ社員と試作!「ねこずきのおくるみ」開発者に聞く

「家でも安全に飼い猫の皮下点滴ができる製品を作りたい」。猫用品を手がけるクロス・クローバー・ジャパン(盛岡市)が2023年8月に発売した「ねこずきのおくるみ」が好評だ。猫が動かないように包み、自宅での定期的な点滴を補助する。開発したクロス・クローバー・ジャパンの太野由佳子(ふとの・ゆかこ)さんにヒットの工夫を聞いた。(共同通信=増井杏菜記者)
販売価格は2万円。発売から半年の販売数量は目標の約2・2倍だった。飼い猫の平均寿命が延びており、高齢猫は腎臓病のリスクが高いとも言われる。「腎不全を防ぐため、定期的な皮下点滴が必要な猫がいます」
飼い猫を腎不全で失ったことがきっかけだ。自宅での点滴は獣医師の判断によるが「在宅介護ができていたら、もっと生きられてみとることもできたかも」と考案した。
猫を逃げないように人の手で抑えることは大変だ。「猫が嫌がることなく、1人暮らしでも簡単に装着、点滴ができる製品を目指しました」
撥水性が高い生地を採用。服のように猫に着せ、面ファスナーなどで固定する。肩から背中にかけて点滴を入れやすいよう工夫した。
ネコ社員と呼ぶ飼い猫たちと6年かけて100以上の試作を重ねた。袋状だと暴れることも。「前足が布から出ていると落ち着く習性を偶然発見し、取り入れました」
顧客から「初めて1人で点滴ができた」という声も。「猫と飼い主の双方の負担を減らしたいです」。太野さんは盛岡市出身、47歳。
(共同)