「春の四重奏」風景守る、富山

残雪をかぶった北アルプスを背に、桜、菜の花、チューリップが咲きそろう「春の四重奏」と呼ばれる風景を生み出した男性が富山県朝日町にいる。足を運んでくれた人に楽しんでもらおうと、同町唯一のチューリップ農家「チュリストやまざき」の山崎久夫さん(82)が考案した。「この町にしかない景観を守るためにもやめるわけにはいかない」と花を植え続ける。
富山県花卉球根農業協同組合によると、2024年時点で、県内には9市町村で約50軒のチューリップ農家がある。同町にも最盛期は約30軒あったが、高齢化に伴う人手不足などで徐々に減り、今では山崎さんだけになった。
約20年前、川沿いの桜と北アルプスを見ながら「チューリップの他に菜の花も植えたらよりきれいなのでは」と思い立った。グラデーションが出るよう色とりどりのチューリップを植えるなど、遊び心も忘れない。
四重奏のシーズンが過ぎても夏にはヒマワリ、秋にはヒガンバナと、一年を通じて北アルプスと花との共演を楽しむことができる。
(共同)